怪談・THE私42team100モノ
※寄せ集めた怪談です。
前回
メンバー。
解滴 榾建
心霊現象は嗜む程度だが、自覚なく怪奇現象に見舞われている。
怪談は恐らく実質ノンフィクションである。
女子大生。
獬焼 依奈巾
スポーツ好きの男子高校生。
浮気性で様々なスポーツを楽しむ。
口癖は「俺〇〇極めた。」
クラウドファンディングで心霊番組に協力するほどのホラーファン。
怪談は慣れてないからか、スポーツ関係の実体験での話が怖さを醸し出している。
ワデス竿翔冠
自称ハーフの欧米出身男子中学生。
本名不明。
何処から聞いたのか00年代のホラーよりな話が多い。
呪いをかけているつもりはないのに相手の負の予兆を直感で分かるからかあだ名は「呪詛師」
恨みの相談を頼まれることが多い。
惰鯛 船護
映画に影響された家族に見切りを付けて早くから双子の姉と共に二人暮しをしている女子高校生。
決して暗い性格ではないのだがやたらと怖い体験が多く、そんなに仲が良くない姉と怖い話の時だけ盛り上がる。
最近は話す練習のために怪談を始めた。
惰鯛 筏船
船護の双子の姉で女子高校生。
妹と仲は悪いが「自分達に大した財産ないし親族の介護もしたくない気持ちは一致してるからからいいじゃないか。」
と若いうちから未来の準備をしている。
それでもおじいちゃん、おばあちゃん子で年配者から聞く令和の怖い話を多く持つ。
手続きさえしっかり終わればある決断をするつもりでいる。
やな時代に集う心霊コミュニティ
すっかり溶け込んでしまった嫌な現実。
ついこの前まで、アイドル志望も地下から地上まで幅広く愛されていたのに。
日活浪漫作品を友人から見せられた時には衝撃を受けたけれど、普段やらなかった読書を行うようになり、きわどくない描写ではっとするフェチズム溢れる表現を文章から知ることが出来るなんてもっと早くやればよかったとこの前売り払った自己啓発本やただの有料なだけの文字の羅列本を古本屋に売って心の中でその作者を見下したあの快感が忘れられない。
解滴 榾建、女子大生。
少し数多のフェチズム本を楽しむ以外は平凡な人間。
ただ語れる範囲で誰かと違う所は、電柱からさっき売った啓発本を鵜呑みにしたまま大往生したらしい霊に睨まれていること。
別に怖い存在じゃない。
地上波やフィクションでは色々と種類がある。
けれど実際は「いる」だけなのだ。
最初見たときは怖かったのに今では榾建の日常。
そんな榾建の日常を会話で知りたいらしいコミュニティから声が掛かった。
普段は生きづらいが多数派にカモフラージュしつつ少数派を気取って楽しく過ごしているホラー好きの人たちだ。
今じゃホラー、心霊関係の番組は珍しいくらい一般化してしまった。
だって普通なら見えないんだから。
普通でなくても見えないし。
でも「いる」のだ。
ドシャッ!
少しスマホを見ていて人がいない所へ止まって眺めていたら花瓶が落ちていた。
はぁ。
霊の仕業じゃない。
少し見えた黒いコモドオオトカゲに近い長さと太さの尻尾。
霊じゃないのに誰からも見られていない。
オカルトじゃない。
怪奇現象だ。
死ぬことはない。
だが、死にそうな状況を作られる。
周りの人間が榾建を囲む。
大丈夫か、怪我はないか。
無傷なのですぐに元に戻ったけれど。
榾建は立て続けに起こる不慮の攻撃をかわせるから、運がいいと自惚れて宝くじに挑み惨敗。
ただ九死に一生は多かった。
一つ目は車にはねられたのが自分の目の前の大きなヌイグルミ。
たまたまそれを買った子供をヌイグルミが庇い、しかもヌイグルミは無傷。
宝くじの結果は四等。
二つ目は宝くじを買っている時に後ろに並んでいた人が倒れた。
普段並ぶことなんてない場所だったから驚いていたこともあって記憶に残っている。
後日その人はある容疑で捕まった。
宝くじの結果は五等。
三つ目は宝くじを買いながら、心霊コミュニティで知り合った人と話していたら後に調べれば分かるインチキ勧誘を行っていた人が肩に乗っていた手だけの霊に気がつき、何かを察してその場を逃げたこと。
どうやら榾建とは違って限定的に見えてしまう人だったようだ。
あれは何だったんだろう。
宝くじはハズレだった。
尽く宝くじが外れた上、心霊なのか怪奇なのか分からない不吉な出来事を見てしまったからか榾建は霊の黒いトカゲの尻尾を確認し、『怪奇現象の方』だと仮説を立てた。
「これが私の怖い話。」
今、心霊コミュニティでこれまでの経緯を話した。
心霊、怪奇現象というより榾建の日常なのだが。
「榾建さんの日常なのか創作なのか分からないけれど本当に話が相変わらず怖いですね。」
惰鯛 船護。
女子高校生で部活とバイトを掛け持つ体力の乙女。
暗い人ではないのに彼女も榾建に負けず劣らずの怖い話や体験が多い。
どうか彼女の生活が安定して怖い話よりも多く話してくれる第一志望の大学か専門学校への入学が叶うことを女子大生ながら応援している。
「あんまり他人の日常を珍しがらない。
別に今の話を信じている…というよりはクオリティが自然体なので聞きやすいです。」
惰鯛 筏船。
さっきの船護さんの双子の姉。
二人で部屋を借りて暮らしていて、学費は離れて暮らす家族と折半。
Vtuberをやっていて
「一昔前のブログ管理者で株で儲けただけで偉そうにする多分男性の方を呪い殺しました。」
と下手な小説のタイトルより刺激的で根が深い負の物語かつ重い設定なのに快活な話し方と牧場ガールなバ美肉による見た目でスパチャを頂く生活と共に副業と女子高校生を妹の生活を支えながら生活している。
だからか否定から入る人なんだよねえ。
榾建はそれでも彼女の視点で生きづらさを代弁してくれるからか気に入っている。
「現実的なホラーを間近で…しかも女子大生から聞けるなんてレアですぜ。
俺は猥談の方が興味がありますが、やっぱり実際に対面で聞ける怖い話は下手な酒より上手い!」
獬焼 依奈巾君。
髪型も格好もフレグランスも流行や逆張りをミックスして令和風にアレンジを試しながらお洒落にこの環境へ溶け込んでいる。
クラウドファンディングまでしてホラー番組のDVDを手にしている程のヘビーファンなのに怖い話を聞くときは男子高校生そのものだ。
スポーツも出来るのだから羨ましい。
彼が度々怪談に本音を混ぜているので言えるのだが、実質無料で行える運動部はホラーを楽しむための筋肉を鍛えられるから仕方なくやっているらしい。
スポーツは好きだが県大会とかには興味がないのかもしれない。
作為的な明るいキャラクターではなくて本当に爽やかな男子高校生だから面白い。
彼なら、入っちゃうよ。
そこで会話が弾み、夢中になっていると
彼が参入してきたのだった。
「スバラシイ!
その黒いコモドオオトカゲは紛れもなく悪魔の可能性は高いデス。
呪詛師だなんて不名誉を持つ私に変わってウラミゴトを引き受けてほしいほどに。
シンプルに良いクオリティの話デシタ。」
ワデス竿翔冠君。
ある意味ダークホースなので「さん」を付けたり「様」を付けたくなる。
欧米出身の男子中学生で、ハーフの方みたいな名前だが
「リングネームかもしれません。」
と含みのある言い方をするので独特な感性を待つ男子中学生と捉えている。
あまり友人が少ないらしいのは彼のキャラなのかなんなのか。
彼を遠ざける周囲の気持ちはいっちゃなんだが理解はできてしまうのだが。
「榾建さんの話は芸能人や心霊慣れしている人の話し方とは違ってプロっぽさと素人っぽさの中間に辺りマス。
世代が偏った相手に評価はされなくても記憶には残る話。
実ニ面白イ!」
「相変わらず遠回しな表現が多いなあ。
素直な結論は最初に言った方がモテるぜ。」
獬焼君は先輩としてワデス君にアドバイスをする。
二人の関係はあまり良くなさそうだ。
それから惰鯛ツインズがムードメイキングしてくれたので題材の割に話が笑いに変わった。
コミュニティの場所を借りてある大学から不審に思われそうだ。
ここで多様性を主張できない。
そんなことをしたらお互い水を差すことになる。
「怖い話ねえ。
俺たちみたいに…存在したくてしているわけじゃない立場になれば怖がることすら贅沢なのに。」
偶々生前を思い出して現れた「霊体」が不憫そうに通り過ぎるのだった。
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