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怪談・THE私Ver.Ⅺ
※ただ怖いだけなんて物足りないわよねぇ!?
すまさない
死んだ後の事なんて、誰にもわかるわけがない。
私達が霊になったとしてもアドバイスなんて何の意味もないわよねえ?
私、昔は社長経験もあったの。
実家が貧乏で教養も無くて。
かといって依存体質も他の奴らみたいに自分を安く売って高学歴だと名乗る相手なんかに身を委ねたいとも思わなかった。
勿論、ビジネスが絡むならこの身を犠牲にするくらいはしたかもね。
そうでないと生きていけない人生もあるという現実を目の前にして、まだ幸せだの不幸だの嘯くの?
現実を見ろなんて言わないけれど、事実は事実よ?
「あの、あなたは俺のなんなんですか?」
永住地点として私が生前暮らしていたマンションの住人ですが何か?
「分かってる。あんたが心霊系ってのは。でも、今は俺が住んでるわけだからさ…あの、曰くはやめてほしい。」
曰くって?Do you caught?
このご時世で高いマンションの一室を一人で手に入れたからと浮かれてあなたへのプレゼントよ。
元社長の幽霊とこうして対談出来るいい御身分なんだから楽しみなさい。
「いや、もう終わったんでしょ?成仏してよ?」
あのね、未練がなければこの世に残る必要が無いって今でも伝わってるみたいだけれど地獄も天国もないのよ?
必然的にこの世に残るのよ。
まあ死んでるからしょうがないけれど。
「分かった。だけど俺はあんたと話したくないんだ。もっと言うと誰とも。」
そうね。
私も身内との暮らしなんて思い出したくもないし、大家族で幸せそうにしていた子が私の友達を虐めていたから、ノートでそれを記録してそいつの両親達の弱点や秘密を一人で調べ上げ、選挙カーに乗り込んで映像込みで晒してやったわあ。
最高の気分!
私に幸せを演じた偽善の塊のあいつらが、私の唯一の友以上の苦しみを味わいながらあの場を去った時の怒りとも憎しみとも言えない無言の涙を見ると
「いつでもここにいるよぉ〜。」
と耳元で囁く悪夢をプレゼントした甲斐もあったと感じる程に。
その友は私より少しだけ長生きしたけど、付き合いは長かった。
強者を少しずつ私達の力で現実という地獄に引きずり落とす様は祟りなんていう気休めよりも最適だった。
つまり、私達に未練なんてないの。
生きていればあなたも含めて影と闇が出来る。
わかる?言ってること?
「わかりました!こんな事言われたら眠りにくいんですけど?俺にどうして欲しいんですか?」
元々は私の死に場所なんだけど?
「あなた、何だかんだ私の話を面白そうに聞いているし若くてこの地やってきているみたいだからヒ◯◯の◯みたいにタッグを組んだらこの先飽きないわよ?
彼は幽霊の私へすぐに返事をするくるいには只者じゃないのに何かを考えている。
ひと押しね。
「私は生きている人間が語っている呪いや恨みや、その他惨めなやり方しか出来ない幽霊とは違うわ。
あなたの時代に合わせたやり方を教えてくれれば、もっと生きやすくしてあげる。」
この子は苦労も多いようだから追い出そうとするのはよくないわね。
彼はすぐに許可を出してくれたわ、
少しプランが変わったけれど…
もう少しだけ彼と地獄を楽しむ事にするわ。
後は、じっくりこの時代の流れを知恵にするだけ。
彼と組めば更に刺激のある生活へ溶け込めそうね。
私達はここから始まるよ。
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