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怪談・THE私38夏
※個人の怪談です。
高校生くらいまでになると飽きてくる物事が多い。
けど、飽きられたからってやらなくなる必要はないんじゃないかな。
どこでも事件は起きる。
生あるものは死は避けられない。
全ての生物にとって一致する都合の良い時間が無いように、寿命はどうにも出来ない。
この前書店で雑誌を探しに行ってたらやたら本を買い込んでた中学生がいた。
少しだけ見えたのをなんとか解読すると恐らく、スポーツ関係やビジネス関係…よくて占い師とかの本を高騰中だとぼやきながら買ってるのかも。
馬鹿にするつもりも賢いとも思うつもりもない。
俺も今時雑誌を探している。
規制関係で袋とじを期待できるような代物は見つからなかった。
二つ上の知り合いに
「うろ覚えでしたけどあなたの性癖にささりそうな単語を見つけました。
詳しくは直接見ないとわからないので、上手く俺に鯖を読ませてください。」
こんな言い方じゃ捕まらないと思ったが余程飢えてたのか上手くメイクをしてもらえた。
そこまでやってもらって何だったが、結局約束通り知り合いの性癖を満たす作品を紹介できただけだった。
幼い頃にたまたま見えた言葉では伝えられないあのポルノ的な作品はもう探すのは現実的ではないか。
結構リスク犯して探してるんだけどなあ。
インターネットじゃスパムが危ないし、ここしばらくの間で成人から二十一歳を迎えたばかりの人達なら微かに俺が目当てとしている作品を楽しめているかもしれない。
二次元でもいいが、あの辺りじゃメジャーどころでさえ怪しい。
最早飛び越えて婚約しているとか。
その人達の特徴が長身、強そう、自然界の怖さを宿す若手先輩男性陣ばかりが候補に浮かぶのは、俺の環境と趣味によるものかもしれない。
ただ、それも飽きた。
雑誌を探しているのはカモフラージュ。
どうせならここにある素材を覚えて、そして知り合い達から判断した現実と絶望をキッカケに新たな趣味を探すのもありかもしれない。
心霊現象の大半は女性が多い。
死んでるわけだし、元になったあるホラー映画の霊も生前は両性具有だったとか。
今を生きる俺くらいの歳じゃ、そこまで。
サバイバル関係のインフルエンサーを調べてもまあ、エピソードも格好も内容も小綺麗で山奥でも暮らせそうな野生的な雰囲気をもつタイプの雑誌…
アウトドアは他の生物とかつて人間だったという何者かの残骸が合わさって噂となる。
俺は別に憎しみや蔑みをこめるのではなく、何者かになりたいと言っていた歳上達が霊かオーブになれたのは本望じゃないかと考えている。
そんな都会か先進国に西洋かぶれのじいさんばあさんみたいな趣味を押し付けていた奴らが化けて出る話がアウトドア雑誌のぷち心霊?体験談か何かで載っていた。
もし俺が転生ハーレムを書くのなら、自称コワモテの若手男性陣達を登場させて霊媒師を仲間にさせ、自己投影した俺を人外と呼ばれている何かにさせる。
作家になるためじゃない。
俺にとってこの恐怖体験探しは今のしがらみを乗り越えるために必要なものだからだ。
スマートホンかパソコンに頼るのは後だ!
もう興奮するポルノを探すより、目的の雑誌に載っているあの場所で見つけるのだ!
*
「今回、お前から頼まれた刺激ってやつを経費は俺の自己負担…驕りで持ってきた。」
「へえ。思ったより早かったな!
さっすが知り合いを利用して楽しんでるだけある。」
「世界を広げるのには刺激が必要だろ?
つまらなければ捨てても構わない。」
頼まれた約束は果たせた。
やっぱり、人間は欲深い。
捨ててもそれは掃除しただけ。
先へ進むための上書き保存。
約束をしてきた相手は俺の伴侶になる可能性だった子を
「オス同士戦って俺が勝ったらお前の彼女は俺のものだ。」
高校一年生の時に言われ、そして結果は最悪のものになった。
だからこの機会は逆転時。
あいつの叫び声が鳴り響く。
約束通り…彼女持ちな男子高校生に性癖に刺さる刺激的な体験を手渡した。
細工も何もしていない。
ただの写真。
曰く付きのを。
不自然発火。
肌を焦がす正体不明の炎を想像しながら何食わぬ顔で研究成果を記録し、スマートフォンで撮影。
ぱっと見はただの男子高校生が燃えた写真。
だが俺には見える。
寝取られた恨みをもつ霊の悪戯。
霊というより、残滓。
こればかりは運頼みだった。
いいギャンブルだ。
それに死にはしない。
これからはなぜ心霊現象が生まれたのかを調べるとしよう。
俺の趣味も増えるし、非暴力と些細でちゃんとしたコミュニケーションで狂気をプレゼントすればいいのだから。
だがただ撮影した写真に他の違和感もある。
それはそれで俺が飽きてしまった虚無感を埋めてくれそうだ。
恐怖体験もこれから時代と共に変わるかもしれない。
転換期はしっかり確認する。
それでいい。
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