将軍と呼ばれて
私はギークなのですが、無理やり美容室に通う羽目になっている。
何故なら1000円カットを私が使うと北の◎軍になってしまうからだ。
髪を切っていただくという行為の有り難みよりもまずは選ぶ段階から冒険が始まる。
今は床屋も美容室も理容室もお洒落でダンディか淑女な方々で潤っている。
古くから経営されている年配者が集う床屋にも飛び込んだ事がありまして、そこでは気を遣われて何も喋られることも無く愛想よく全てを終わらせてもらいました。
その時の髪型は無難なサラリーマンでした。
せめて髪型だけでも正規雇用っぽく魅せるのも生き様かな?だなんてコスパのいい見栄を張ってみる。
人は幾つでも青春を味わえるんだな。
そして一人で謳歌する青春は自己満足というより季節によって哀愁、無念、孤独を味わう事になる。
なあに。
ある方はソロ結婚式で涙を流したのだから私の生活なんてまだ彩りがあるさ。
私はオーヴァーロード・テオス様に人間の勝利を宣言した津上翔一(本物)のように高らかな笑顔を内に秘めて無表情を貫き髪型を変える。
そんな経験も五年に一度体感出来る時もあれば無い時もある。
ただし1000円カットに髪を切ってもらう場合は違う。
トイレにも行けず、切られた後にブラシで綺麗にされず、泣く泣くトイレへ飛び込んで顔を洗うという外では恥ずかしい行為も勇気を持ってせざるを得ない。
その時に周りは然程、此方を気にしていない事を知る。
のだが!
その後に映画館へ行ってグッズを買っていたり、入場まで準備をしていたら若手の案内人?に
「将軍がいる。」
と女性店員と話しているでは無いか。
偶々聞こえたけれどわざと?
私を指していなかったから気にし過ぎかなと思いましたが薄々トイレの鏡で私の髪型が北野正念龍に似ている事は把握していた。
「あなた方も韓流が好きで似たような髪型にしたり、好みのアイドルを楽しんでいるでしょう?」
と意地の悪い私は心の中であの方々にそう思いながらビジネスフェイスで沈黙し入場した。
それ以来、コストはかかっても私は床屋か美容室を使う。
しかし美容室を使っても北野正念龍だった事もあって私は人間不信になりかけた。
近くに美容室や床屋が多く存在しているので選択していくうちにこの悩みは解消されたが。
ちなみに1000円カットって今、多いのですね。
見栄を張り過ぎて男性モデルの髪型の画像を見せたら
「毛が短いので無理です。」
「直毛なので。」
と言われたので私の髪型の基準は
「◎軍じゃなきゃいい。」
に変わり、そういう方向へ誘導して整えている。
潔く短髪のままサラリーマン風ヘアーを貫き通します。
贅沢は言えないですし、私は北野正念龍と笑われたくはないから抵抗している。
これは見栄でもプライドでもなくて流石にお洒落ではないよなあと自分でも感じている事だから。
(※失礼かもしれませんが)
関係ない話になりますが私は「何かモノマネしてみて?」という無茶振りにはダイナマイト四国さんのモノマネをゴリ押して抵抗しています。
「しっこく、しっこく!しっこく、しっこく!」
の動きを強調させるだけでいいので慣れてしまいました。
いずれ、あの方の長髪の維持方法をマスターして身体を絞れば北野正念龍に成らず、無茶振りにも答えなくていい人生が待っているのではないかと妄想しながら一人定食を楽しむ時もあるので。
三ヶ月に一度は信頼できる場所で髪を切ってもらえる事って奇跡なのかもしれませんね。
そうすると何故、昔の私は「いつもの」と頼んだら◎軍にされてしまうのでしょうか?
具体的に言ったら短いからと拒否される。
おお何と小賢しいこと。
漆黒の現実って奴でしょう。
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