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怪談・THE私XXVI:Turning 誰の死骸?

  四つの死骸を見てきた。

生への抗いなんて美化は出来ない。
死んでるも同然だ。
俺なんて。

  今日も一人、また一人。
倒れる誰かを見ていた。
傍観なのか?
自身に問うぐらいには己の生へ執着はしていない。

見覚えのある死骸。
まるで人形…まるで人間。

  喰われた海老、轢かれた鴻、潰された甲羅、齧られ捨てられた植物。

氷山の一角だがこれだけの死骸を散歩中に見てきた。

  そして一人が倒れている。
もう息はない。

  その死骸に人間を憎んでいる可能性が高い先程の四つの死骸が囲んでいる。

糾弾だ。

『何故自分達を殺したのだ!』

と。

  そう言われても仕方がない。
私が殺した死骸ではなくても、私は刺される理由がある。

  しかし四つの死骸は一人の死に涙を流し、沈黙はしているが悔しさを噛み締めていたり、摘もうとした手を引っ込めたり。
根を張って耐えたり。

  初めて人間が生命として認められた気がした。

俺もそこへ手を伸ばす!

変わってくれ!

頼むから!

  次第に意識がハッキリするといつの間にか私が四つの死骸に囲まれていた。

変われた?
まさかな。

という事は俺が死んだ?

なら、あの死骸は?

私は?

まあいいか。

願いが叶った。

  生きても死んでも、人でいる内は変わらないのか。

一体あの死骸は俺か私か誰なのか。

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