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怪談・THE私Ver.3

※この話は、あるコンテンツ関係で一時的に知り合ったことのある現実の人から聞いた体験です。
Ver.3もそれをパロってる?
と言われれば偶々です。
ただ、意識してしまうのは夜に恐れを抱く普遍的な本能と月の光で気持ちが大きくなる欲望があるから。
あなたは今見えているものが全て、誰かに与えられる恐怖だったらどう過ごしますか?

街角の監視カメラ

ある伝説的な事件から監視カメラは設置されるようになった。
平成時期に昔は良かった、昔に戻りたいというヒトと、昭和以前の制限が少な過ぎる時代のヒトと分かり合えない境目は

「監視カメラの有無」

で判別できる可能性が高い。

私はウィンドーショッピングで綺麗な商品を見る度に、ガラス越しに写る商品ではなくガラスに反射する自分に驚くタイプなのだ。

自分の美しさや外見にコンプレックスがあるわけじゃない。
そこには必ず「監視カメラ」があるからだ。

そして、その監視カメラは「あいつ」も捉えている。

交差点から私が欲しいと思う商品を狙っている傷だらけの誰か。
私しか気づいていないのは、この世のものではない存在だから。

でも私は生きている人間より怖いものはないと思っている。
かつて生きていた人間も私を睨んでいるわけだから、死者が怖いとか生者が怖いではなくて

『余計な欲は死ぬ前に捨てたい』

と私はこの世ならざるものを監視カメラに自分も晒しながら考えるのだった。

だから私は見ているだけで充分だった。

もし、私があの商品を買ってしまったら?

私は悩みでも迷いでもなく、あの存在に関心があった。

「お買い上げ頂き、誠に有難うございます。」

背の高い恐らく十代か二十代の青年を見て関心した。
商品よりも若いのにあんな紳士的な態度をとる青年に驚いてしまった。

見惚れていたら、あの霊が居なくなっていた。
監視カメラを確かめるのも億劫になってきたので関心先を変えた。

ここの店の常連になりたい。

だがあの霊は私を一瞥してきた。
そして私は無視をした。

やはりあの霊は狙っていたのだ。

もう買い手は見つかった。
私の目的もね。

こうしてそれぞれの道を歩む

この世の私

あの世の霊

ただ一つ言えるのは、

「私は成仏出来なくても楽しめそう。」

という確信をゼロからイチとして手に入れたことだ。

「すみません、私に似合う商品はありますか?」

青年に質問をしてみた。

「分かりました。お客様にお似合いの商品を紹介致します。」

カッコいい若者。
一つの商品や物事に注目するのはやめて、全体を少しずつ楽しむ事にした私だった。

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