怪談・THE私98× 心霊抹殺Radiateコラボ最終
※個人の怪談です。
関連作品
心霊抹殺Radiate
team100モノ第1話
心霊幻想・終
女子大生と青年は海際で互いに怖い話をしつづけた。
女子大生の話は怪談寄りで、飼っている黒い尾のモンスターをあまり絡ませないように生きざるを得ない、世の中の怖さを心霊体験を通して伝えてくれた。
まあ概ね盛っている。
画質が4Kの時代で古くからスタンダードな女性の幽霊は流石に遅れてると彼女は笑っていたものの、彼女が語る怪談には、時代を超えて逞しく生者と戦う等身大かつ今までの幽霊が猛威を振るった話ばかりだった。
更にあらゆる性別年齢国籍の幽霊が、明らかに成仏したはずなのに孫世代に墓参りの通達や死してなお血の繋がらない大切な人や動植物を守る先達や後世の話を忠告から警告をしていることなど、青年は自分と同世代と思えない彼女の話に圧 倒され続ける。
青年は彼女に負けじと復讐代行業を続けて経験した話をコンプラを守りながら創作した。
彼女からはフィクションだとバレているが興味深そうに耳を傾けてくれた。
そして彼女はため息を漏らして呟く。
「いつまでも進歩しない人間の特徴って、分かりやすい。
ずっと当時の常識に囚われて義務教育に縛り付けられ、ぬるい人生で育ってきた者達を見ていると、自分自身の末路さえ他人事なんじゃないかと笑えてくる。」
彼女は彼女で辛い過去があるようだ。
聞かなかったことにしたいが返事はしておかないと今までの礼儀に反する。
「恨みがあれば、いつでも聞く。
お題はその時考えておく。」
「無料にしてくれない?だなんて無茶ぶりはしない。
人間の中で頼れる誰かがいるのも誰しもにとって当たり前のことじゃないしね。
でも、それで私がラクを覚えたら先人やこれから先、遅れ続ける連中を馬鹿に出来なくなる。
それが一番退屈で悔しい。
倫理観も簡単に守れない人間如きがどんぐりの背比べをしていてもつまらない。」
青年は女子大生の肩をそっとだいた。
「だから必要悪である俺達がいる。
わかった。怪談の御礼は安くしておく。
だが、君の頼み程度の復讐なら安く終わりそうだ。」
女子大生は黒い尾を使わない。
すっかり名コンビになってしまった。
「これから幽霊だけ、潜入捜査だけ、若さを頼るだけの時代じゃなくなる。
でも、差別なき世界で成り立つ多様性を謳いながら女性解放なんて今更とも私は思うの。
ホラーも例外じゃない。」
「なら、君は何と戦うんだ?」
女子大生は不気味に笑い、青年の方へ振り向く。
「蚊帳の外だと思い込んでいる人間に、身近に潜む非日常を継承させること。」
なるほど。
そりゃあ、苦労知らずの年寄りから子供にまで効きそうだ。
「良い考えだ。
だが人出が足りない。俺も手伝う。」
「人手不足なのはあなたもでしょう?
なら、私もあなたの復讐代行を手伝うかもしれない。
心霊系の悩みを聞くってことは、つまりはそういうことでしょう?」
グッド!
勘の良い自分達に、潮が満ちる海が賛同してくれたようにしぶきをあげる。
心霊幻想は正論を超える。
そう互いは信じて胸が昂ぶるのだった。
出演者
解滴 榾建
team100モノから
遥伐
心霊抹殺Radiateから
そして取り巻く怪異の皆様
99本目のロウソクへ
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