怪談・THE私91 パレルの場合
※この物語、怪談はあるキャラ視点です。
霊体アイドル地方公演
人間としての一生を終えて随分経つ。
人間の姿じゃ叶うものも叶いやしない。
地下も地上もいったりの我々霊体アイドルは、この世ならざる仲間達にエンターテイメントを提供するのだ。
最初は死んだ後にそんな飛んだり跳ねたり歌ったりなんて非常識だと考えていたが
そんなことはなかった!
美も醜も全ては生者…否、誰かが居酒屋とかどこかで適当に定めたもの。
我々はこの世ならざる無害な存在達とマサイ族が如くはしゃぎ続けた。
『歩き続けるだけで疲れても
周りと違う世界で走りたい
いくつもの 可能性が 信じられますように』
普段は人間からケダモノだなんて馬鹿にされて隅で暮らしている霊も、このライブのために都会から地方まで乗り継いでいるらしい。
現実の霊はワープができないから。
そして推しは私、『赤羽のパレル』
だと言ってくれた。
次の霊化アルバム『提灯鮟鱇』を出すまで私は怪談を考える。
貴重なファンになんで、怪談を話すのか。
それはファンが死してなお怖い話を好きだというから。
生きているアイドルじゃやる必要がないからこそ需要があると思う。
それが私、パレルのエンターテイメント魂だ。
赤羽のパレル日記より。
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