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現実、夏、そして狂気「PROJECT: SUMMER FLARE」レポート(ネタバレあり)

※この記事ではワールド「PROJECT: SUMMER FLARE」及びワールド「夏が始まる1日前」のネタバレがあります。
※この記事では便宜上ワールド「PROJECT: SUMMER FLARE」を「夏」、ワールド「夏が始まる1日前」を「1日前」と表記しています。
※この記事は考察というよりは実際に遊びながら思ったことを書き綴った物になります、ご了承ください。

夏との出会い

時期的に「アスタリスクの花言葉」もやったことが無かったので、
最初に夏の事を知ったのは普通にヨツミさんの告知ツイート(2番目のトレーラー)だった。

VRChatのゲーム系のワールドで演出やストーリーの凝った物というと、
どうしてもホラー系のワールドが多く、夏のような非ホラー系でしっかりと遊べるワールドは少ないので「おーホラー系じゃないアドベンチャー要素のあるワールドだ!面白そう!」というのが最初の印象だった。

数日経ち迎えた公開日、最速でクリアした人たちの感想が流れてくる「おのれヨツミフレーム」「本当にあれで終わりなんか?」「いやきっとなんかたどり着けてない真ルートがあるんだ」そんな内容のツイートで溢れていた。
自分はフレンド何人かと予定を合わせて数日後に行くことにしていたので、最速クリアのツイートを見て期待に胸を踊らせていた。

偶然にも予定日の1日前にフレンドの所にJoinしたら、そのフレンドは既に夏を破壊していて「どうやらあの"夏"に繋がる前日譚のようなワールドがあるらしい」ということを教えて貰い流れでそのまま1日前に行くことに。

ポータルを出してもらい飛び込む、ワールドに入ると「ピピピッ」と何か音がなる。
流石にこの時は何も思わなかったが今にして見れば多分「頭のアレ」を装着された音だったんだろう。

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眼前に見えるのは白いL時のフロントデスクと薄っすらとアバターらしき影が見える長方形のガラス板、そして天体望遠鏡。
(この天体望遠鏡も1%の仮想展からずっとあるんだなぁと後々見に行って思った)

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フロントデスク横の扉を開けて中に入る、謎の機械と骨・中学校の教科書に出てきそうな元素表・鉄骨が吊るされた剣・頑丈そうなガラスケースに入った銃。
一緒に来た破壊済のフレンドはこの時点で「あ"あ"あ"」と何かを理解していた、きっと夏をやれば分かるんだろうなぁとその時は思った。

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一通り見て奥の部屋に進む、何やら制作記録のようなツイートの画像群とそれらを縦横無尽に行き来するQVペンの筆跡。
なんだろうなぁと読もうとした矢先眼前に「ハロー Hello.」と文字が出てくる。
おっとこれは完全に予想外、単なる展示ワールドだと思っていたら違ったようだ。(本当は最後の防音室まで行って神社に飛ばされた後のギミックだったらしく、この時は先にフレンドが行ってしまったのでこのタイミングで出てきた。)

後はまあ指示に従って機械を認証し、持ち出し可能にし、銃を手に入れてそしてガラス板を破壊してフロントデスクに置く。
相変わらずフレンドは「あー」とか「うわー」とか言ってるが当然自分には何のことやらである。
だがここまでの一連の流れで確信した「これは本物(マジモン)だ」と、一連の手順やギミックにUI、細かなセリフ回しに至るまで余りにも手が込んでいた。
数十分も掛からないような前日譚でこのレベルならいったい本編はどうなってしまうのかと思った。

かくして核は落ちインスタンスは消滅した[夏前半]

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そして迎えた夏本番、開口一番目に飛び込んでくるのは白い積乱雲と眩しい太陽。
本当に眩しい、どのくらいかと言うと海面の方を向くと隣に居るフレンドの顔すら白飛びしてよく見えなくなるくらいの眩しさ。

1日前のように声が聞こえることも無く、初期地点にある掲示板には諸々の諸注意と何やら意味深なイラストがあるのみ。
とりあえずはこのイラストの指示にしたがって鈴とボールとスイカを探すことにした。

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スイカはすぐに見つかった、次は目の前のイルカのオブジェがある建物に入ろうという話になった。
その建物は水族館だった、1日前で見た抽象化された魚が水槽の中を泳いでいた。
この水族館、無駄によく出来ている。入り口のゲートは通ればちゃんと回るし一方通行の方は通れない。

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本来なら必要無いバリアフリー用のスロープやエレベーターがあり、水槽の展示パターンも本物の水族館のように大小様々ある。
感心しながら最後まで進みお土産ショップ的な所でビーチボールを入手。

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最後の鈴を求めて坂を上がるとちょっとした町並みが見えてきた。
自販機はボタンを押せば缶やペットボトルが出てくるし、コンビニは入れば入店音が鳴る。
流石に一戸建ての中には入れないがそれでも外見はそれぞれ違って見える。
さっきの水族館もすごかったが、この街も同じくらい作り込まており(基本的にモデルは全部自作らしいので)
いったいどれだけのコストを掛けてるんだという気持ちになった。

町中で鈴は見つからなかったので更に先に進む、トンネルを越えた先神社の階段が見えてきた。
「なるほど、お賽銭箱の上の紐についている感じかな?」と残念ながらこの予想はハズれたが、社務所の裏手辺りで「あったよ~」とフレンドが鈴を見つけてくれた。

本殿の中にいかにも置いてくださいと言わんばかりに箱が3つあったので、
スイカとビーチボールと鈴を置いて見ると、何やら中央から機械が伸びて来る。
いざ、とフレンドが手を触れると機械の動作音と共に「プロトコルを開始します。」という謎の声。
周囲から色素が無くなっていき、暗転。

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再び明るくなったそこはさっきまでの夏と神社はどこへやら、無機質なコンクリートと謎の機械、空を見上げると球体の壁がありドーム状の構造物の中に居ることが分かる。「はえ~どこだここ~~~」というのが最初の印象。

最初はてっきり別の場所に転送でもされたのかと思ったが、何度か来て周囲の構造をよく見てみれば大まかな建造物や道順は夏の時と同じことに気がついた。つまり"転送された"わけではなく、"今までと同じ場所"で"見え方が変わっただけ"ということだ。
またしても「はえ~~~~~」である、おのれヨツミフレーム

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道なりに進んで来たるはダイダン戦、「どうにかして銃を手に入れて撃退しろ」とは言うものの全く道順が分からくてずっと同じ所をぐるぐるしていた。
最終的にフレンドの誰かが先に銃のあるところまでたどり着き、ダイダンを撃退してくれた、ありがとう。

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1週目のダイダン戦はこんな有様だったので、2周目でちゃんと入手~戦車砲同期までの流れを確認した。
どこに銃があったかと言えば白いL時のフロントデスク、そう"1日前"のあのフロントデスクである。
あの時置いた銃はこの銃、「夏が始まったあとの日で、あなたを待っています。」というセリフと共に。
ここでまた「はえ~~~~~」である、おのれヨツミフレーム

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はしごをいくつか登った先に待っていたのは直方体の柱がいくつか並んでいる広めの空間。
「あ、儀・デュランダル転送したら座標ちょっとズレて柱の上に刺さっちゃったけど、頑張って取りに行ってくださーい」とルピ。
そしてダイナミックアスレチックワールドが始まった。

登っては落ち、登っては落ちをみんなで繰り返しながら足場を展開する装置を稼働させどうにかこうにかデュランダルの元までたどり着く。
たまたま順番的にデュランダルの刺さった柱まで行く足場を展開した時点で先頭に居たのが自分だったので、そのままデュランダルを持つ担当は自分になった。
(ここが一番時間掛かった、複数人で行ったから良かったけどソロだと相当キツイんじゃないかと思う)

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妨害装置である羽を破壊して進んで先進み、見えてきたのは見覚えのあるイルカのオブジェクト。でも入り口は薄暗くきれいな魚が居た水槽の中身は車とか看板に変わっていた。なるほどこれが現実か、おのれヨツミフレーム

デュランダルは盾にもなるとのことだったので、道中のタレットは自分が引きつけて銃担当のフレンドが射撃で破壊するという感じで進めていった。
なかなか良いコンビネーションだったと思う。

最後の上下に並んだエレベーターのところまでたどり着き、下の方のエレベーターの妨害装置を解除すると謎のドクロマーク。
なんだか嫌な予感がした。スイッチを押し開くとそこには公衆電話BOXが。
ピピピと鳴り、フレンドが受話器を上げる。
「核攻撃です!」とルピ、「え?核攻撃?」と思う間もなく視界いっぱいに非常事態ですと言わんばかりの真っ赤なHUDが広がりサイレンやアナウンスの声が聞こえてくる。

「ひええ~」と思いながらも指示の通り来た道を引き返す。視界いっぱいにHUDが広がってものすごく見づらい、おのれヨツミフレーム
あっちにいったりこっちに行ったりしながらなんとか水族館を脱出。

ダイダンと戦った辺りまで戻ると何やら部品が色々置いてある、すごく気になったが見ている場合でもないので一旦スルーして先へ進む。
「橋をオーバーライドするのでそのまま進んでください」とルピ、切断された橋の部分に来ると何からどっかの地形が見え反対側まで渡ることができた。何だその超技術、凄い。

最初にルピの端末があった建物まで戻り「2141」というコードを入手。
「ただちにインスタンスから脱出して、コード2141に電話してください」とルピ、「え?さっきの所に戻るの?」と危うく水族館の公衆電話に戻りかけたが、その後のセリフ「あの夏の電話ボックス」と「インスタンスから脱出して」という部分から「別のインスタンスを立てて、最初の街のどこかに電話ボックスがあってそこで入れるんじゃない?」とフレンドが推測。
なるほどそういうことかと納得。

時間もあったので核ミサイルが着弾するまで待つことに(一応その後水族館の電話ボックスまで戻ってみたがとくに反応することは無かった)。
あと30m・・・20m・・・15m・・・とこの辺りで着弾したのか視界が真っ白に。
視界が戻るとそこは地面の1点から同心円状に一定間隔で直線と円が広がる不思議な空間、でもすごく見覚えがある。
そうSteamVRの起動画面にそっくりなのだ、つまりは核ミサイルが着弾しそのインスタンスが消滅したということだろうか
(VRchatが落ちてSteamVRの起動画面に戻された的な)。

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せっかくなのでインスタンスが消滅した後の空間で記念撮影

現実(いま)を変え、人類を救う[夏後半]

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新しくインスタンスを建てて公衆電話を探す、ほどなくして町中で発見しコード「2141」をフレンドに入力してもらう。
電話が掛かり、出た相手は「FAS」と名乗った。

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ファスの指示に従い先に進むとトンネルを抜ける辺りで「並行世界理論は否定されていること」「未来も過去も変えられない、変えられるのは今この瞬間だけ」
という話をされたかと思うと、轟音が鳴り響き木々の向こうにきのこ雲が見え視界が真っ白になり戻るとまたあの無骨な世界が広がっていた。

「過去を変えて未来を変える」というのはタイムリープ物ではよくある展開だが、PSFはそうではなくあくまでも「干渉できるのは今この瞬間だけ」という点は中々面白くしびれた。

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その後改造したダイダンを転送して扉をレーザーでこじ開けたり、冷却装置の風に煽られたりしながら先へ進んでいく。
(冷却装置?の辺りもアスレチック要素が強くて中々苦労した。)

少し高い所から飛び降りると、BGMが変わり柱の向こうにダイダンが2体出てくる。
前半ルートは銃があり戦車砲をオーバーライドして撃退したが今は無い、絶体絶命。
そこでファスから告げられる「オーバーライドでサポートできるのはここまで」「ここから先は言葉も通じなくなる」「視界を機械で覆っても何も変わらない」「だから頭のソレを外して、前に進んで」と。

眼前に出てきた「外す」と言うインターフェイス。意を決してそれに触れ使用すると「ピロロロン」とPCからUSB機器を取り外したようなSEが鳴り視界が色素が薄くなる。
そこで手に持っていたデュランダルが単なる鉄のパイプを組み合わせだけの物になっていることに気づく。
思わず「え、ちょデュランダルが単なる鉄パイプになってんだけどw」と叫んだ。しかし返ってくる反応は無い、そうさっきファスが言ったようにもう言葉は通じないのだ。
自分の声は他のフレンドには聞こえないし、自分が他のフレンドの声を聞くこともできない。
(公衆電話を使用して裏側と繋がったり頭の装置を外して本当の世界を見るのなんだかマトリックスっぽいなって思った。)

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他のフレンドも音声が聞こえないことに気づき、身振り手振りで意思疎通を取るようになった。
最初に扉に行った人が後から来た人を待ち、問題無ければ親指を立てて「OK!OK!開けてヨシ!」と。
最後の装置の杭?を抜くまでずっとこんな感じでめちゃくちゃエモかった。

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月面基地にたどり着き、声が聞こえるようになって一安心。
いかにもな感じのハンドルを回してハッチを開ける、実際に回して開けるのめんどいと言えばめんどいがVRっぽくていいなと思う。

道なりに進むと頭の装置の変遷を象った展示が並ぶ、まるで1日前のようだ。

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2回目来て気づいたが、2103~2116は企業名が書いてあるのに対し
M8PRはハッキリと「FAS+LuPI+PLAYERS」と書いてあった。

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更にハッチを開けた先にあったのはファスとルピの本体。
大小様々なスマホやタブレット、更にはPCの集合体なのがルピ。
一方でファスは無機質なサーバーの集合体に見える、ファスの方が後続モデルだからなのだろうか。

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二人を越えた先には大きめのガラス窓と変わり果てた地球の姿が見えた。
禍々しい亀裂は七度落ちたという核によるものなのだろうか。

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「この世界の記録を、この世界が作られる前に送る必要がある」とファス。
そして中央にあるモールス信号の送信装置で文章を送る、そう「BREAK THE SUMMER」と。
最初の数文字は自分が入力したものの、意外と文字数があったので途中からは一人一文字な感じで打っていた。
声が聞こえなくなった時と同じ用にここもエモさを感じたポイントだった。

「プロトコルを終了します」というアナウンスが流れ、自分達が居た位置からM8PRが出現し最後に「あなた達の意思は今も人類の中に生きています、ありがとう」とファス。

段々と画面が暗くなり、再び明るくなった時そこはよく似ているけど色素の薄いあの"夏"だった。
「Than you for (re)playing」--------これにてPROJECT: SUMMER FLARE、完。

この世界はワールドを遊んだだけでは完結しない

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PSF進捗まとめ #1より抜粋

とまあそんな感じで夏を破壊したのだが、夏の本当にやばい部分を感じたのはその後だった。
考察記事を見てたら「あのワールドはヨツミさんとルピとファスの共同制作」「ルピとファスからメッセージを受信した所から制作が始まった」
「いくつかの製作中の動画には動いているファスやルピが写ってる」等々作者が公開のおおよそ2年前から夏に対する関連するツイートをしていたことを知り「ーーーーは?」となった。

もちろん夏は夏で一個のワールドとしてきれいに完結しているので、
別段作者の過去ツイとか見なくても体験としては変わらないのだがそれでもそれほど前から仕込んでいたのかと思うと正直ぞっとした、おのれヨツミフレーム。

特にワールド内ではあくまでもオペレーターとして文字での会話しかしなかったファスとルピが動画で動いている様子はマジでなんなんだってなった。

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破壊したあとでもう一度1日前に行ってみたら、ガラス板に思いっきり「FAS」「LuPI」って書いてあった。

もちろん夏の話はあくまでもフィクションなので本当にルピやファスが実在するわけは無いのだが、それでもどこまでが現実的な話でどこまでが夏に対するものなのかもはやラインが完全に分からない。

一番の狂気は作者

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最初の掲示板には「この世界には狂気的な表現が含まれます。苦手な方はプレイを控えて安全なワールドにとどまってください。」とある。

が、ヤバいと思った一連のツイートも氷山の一角でしかなかったことを知ることになる。
それはヨツミさんの公式サイト内にある「PSF進捗まとめ(#1~#5)」の中でとあるツイートを見たときである。

「ユーザーの動きをコピーしてそれを再生する」というUDONギミックを作ったという内容のツイート。
だが夏本編や1日前にアバターとしてファスやルピが出ることは無く、他の演出等でも使われてた形跡は無い。
このツイートに引用する形でヨツミさんはこうつぶやいている。

「この動画はこのギミック自体を利用した一人芝居です」と。
つまりは他に動画で写っているファスやルピは、ヨツミさん以外の誰かが演じたりしているわけではなく全てヨツミさん本人による一人芝居だとしたら?そしてそれをおおよそ2年もの間何食わぬ顔でやっていたとしたら・・・?

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確かなことは設定資料集なりなんなりでヨツミさん本人の口から語られるまでは分からないが、最後の月面基地のホワイトボードの記載でも基本的にヨツミさんの記載しかなくファスとルピはあくまでも3Dモデルとしての
記載しか無かったことからおそらくはそうなのだろうと思う。完全に狂人のそれである。

UI/UXとしての体験の良さ


ストーリーや世界観、他ワールドとの繋がり以外にも夏は一個のゲームワールドとして非常に細かい所まで作り込まれているのが印象的だった。

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まずはUI面から、基本的にインタクト可能なオブジェクトは全て専用UIが表示されるため非常に分かりやすい。
序盤の収集アイテムであるスイカ・ビーチボール・鈴は一度持てば専用UIが表示され対象までの距離や誰かが持っていれば使用中と表示される。
こちらも分かりやすくて良かった。

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銃やデュランダルに関しては、一定以上の距離があると「手のひら を向ける」と表示され手のひらを向けるとゲージが溜まっていきMAXまで行くと自分の手元に飛んでくるというスターウォーズのフォースの力みたいな機能が実装されていた。
これに関してはUIの分かりやすさと体験としてのかっこよさを両立しており純粋にすげーとなった。

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後は目的地UI、一般的なゲームではよくある物ではあるがVRChatのゲームワールドでこれがちゃんとある物はそうそう無く、よってどこへ行ったらよいか分からなく場合が多くある。その点夏は進行毎に更新され迷わずに先に進むことができた。

ここらへんのUI周りも基本的に全部自作らしい、おのれヨツミフレーム。


あの月形のUIは設定的にサテライトが頭のアレを介して見せているという感じなので、外した後の月面基地では「サテライトリアリティ互換インターフェイス」という物にちゃんと切り替わっていた。

つづいてサウンド、印象的だったのはインタラクティブミュージックがしっかりと実装されていたこと。

一例として上記の2点を上げるが、これ以外にも様々な箇所で実装されており(代表的なのはダイダン戦とか)物語の進行と盛り上げに一役買っていたと思う。
UIと同様にインタラクティブミュージックに関してもここまであるワールドは少なく作り込みの凄さを感じた部分の一つだった。

他にもタブレットの開閉アニメーションと追従挙動、鎖やハンドルをあえて手回しにした部分等々UI/UX部分でも本当に細部まで作り込まれており、それはもう何か執念のような物を感じるほどだった。

まとめ

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結局の所「PROJECT: SUMMER FLAREとは何なのか?」という問に対する個人的な回答は「VRChatのワールドという形式をとったメディアアートの一種」だと考える。
「1%の仮想展」は文字通りメディアアート作品の展示会場であるが、あっちはワールドの中に作品が色々展示されていたのに対し夏はワールド全体として一つの作品なのではないかと、そういう感じ。

メディアアート自体明確な定義があるわけでは無いが、
「ワールド単体で完結した上で、他ワールドとの明確な繋がりがある」
「ワールドに関連する物として、Twitterや個人サイト等のVRChat以外のメディアを利用している」
「ワールドの設定が現実と地続き、あるいはノンフィクションのように感じる部分がある」
といった辺りが理由として上がるだろうか。

まだまだニッチなサービスであるVRChatというメディアの中でこれだけのことができるのかと、クリアした直後はそういう感想を持った。
そして考察記事を読み、作者の過去ツイを漁り本当の意味での狂気を知った。
この世界には数千人~数万人に一人くらいの割合で常人とは一線を画する「マジでヤバい人」が居るという自論があり、度々そういう人に遭遇することがある。ヨツミフレーム氏も間違いなくそちら側の人間だろう。

「VR機器を外させ本当の現実を見せる」という演出が日常的にVR機器を被り仮想世界に入り浸っている我々に対するアンチテーゼじゃなかという話もあるようだが、個人的はそれよりも「どんな状況になったとしても人類には前に進む力がある(たとえそれが人類の意思を引き継いだ人類では無い何かだったとしても)」というメッセージを夏からは感じた。

当面の間は夏の設定資料集を楽しみにしながら、ヨツミフレーム氏の今後の活動に期待したいと思う(次回作は何年後になるのやらであるが)。
以上-------2021.10.1

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