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地獄でメスがひかる~ひとは美しさのみで愛されても満足しないのか~

 泥棒猫です。

 私が子供のころ、姉は「りぼん」、私は「なかよし」を買ってもらっていた。

 あのころ読んだマンガが、私の性格を形成したと言っても大げさではないと思う。

 当時のなかよしは、おはようスパンク、キャンディキャンディ、メイミーエンジェル、フォスティーヌ、あいつがヒーロー、思いっきりピーマン(時系列はバラバラ)と豪華絢爛だ。

 もちろん、りぼんも負けていない。樫の木陰でお昼寝すれば、砂の城、ときめきトゥナイト、稲子が行く、ミッキーなど、こちらも全部面白かった。


 そんな少女漫画キラキラ路線とは別に、怖いマンガ系もすごく充実していたのだった。夏になるとよく掲載されていた気がする。


 そんな中でも私は今だに脳裏に焼き付いているのがこれ。


 『地獄でメスがひかる』

 医療心理サスペンス?なのか?

 主人公のひろみは、私生児。父に引き取られてはいるが継母、姉たちにいじめられている。

 それだけ聞くとシンデレラ風だけど、ひろみは美しくなかった。さらに先天性側弯症(せむし)で、そのことでさらにひどく疎まれて折檻を受けていたのだった。

 もう死のう、と家を出たひろみ。

 そんなひろみを、ある男が助けたのだった。

 その男は天才医師、巌。


 しかし巌は、ある意図をもってひろみを助けたに過ぎなかった。

 自分が作り出した美しい肉体(死体つぎはぎ?)に、脳を移植するために、ひろみを助けたのであった!!!!!!衝撃★


 美しく生まれ変わったひろみ。

 しかし次第にひろみの精神は崩壊し、巌はひろみを愛するように・・・・って小学生のころだったので心の機微まで理解できていなかった。

 だけどとにかくいろいろ、怖かった。

 まず、タイトルが怖かった。地獄で、メスが、ひかるんだもん。


 他にも「血まみれ観音」「化石の島」や「赤い沼」など、高階良子先生のマンガは本当に印象に残っている。いまではポリコレ的に糾弾されそうだけど、あの当時のまま読みたいわ。


 結局、美しくなったらなったで、「外見だけでちやほやされる私」にも耐えられなかったということなのか。

 その辺りが「カンナさん大成功です」とは真逆だ。

 だけど当時の、やたらと斜に構えていた可愛げのない子供だった私は、

「容姿だけじゃなく内面をみて愛してくれないといやだ。なんて、なんちゅう贅沢なやっちゃ。全部丸ごと愛してくれとは、図々しくないか?」

 と思っていた。

 今も若干、「私の体が目当てなんでしょ?」という内容のセリフを聞くと、「体だけでも目当てにしてもらえてよかったじゃん・・・」と、ミもフタもないことを思ってしまうのであった。

 男性だと、「俺の肩書が目当てなんだろ?どうせ」ということかな?

 本当の美人、本当のすごい肩書のひとほど、これは言わないんだけどね。

「彼は私の顔が美しいというだけで近づいてきたのだ」とは言わないもんね。


 しかし、いきなり拾ってきて手術って・・・・・

 医療界に反逆しているからって、破天荒すぎるだろ、巌さん。(医師免許も剥奪されているし・・・)


 このほかにも、「なかよし」には美内すずえ先生の傑作『妖貴妃伝』というのもあった。こっちもガクブルになってでも引き込まれて読んだものだ。

 こちらはまた別記事で書こうと思います。

 





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