御唱和してました彼の名を!Z!!

今回は特別編です。ウルトラマンZについて語ります。


解説:所謂ニュージェネレーションヒーローズ(Zが入るかについては諸説あり)という括りのウルトラマン最新作。監督に田口清隆を起用し、昨今では描かれることが少なくなった防衛チームを主軸に据え、明るくなおかつ分かりやすいストーリー展開、工夫を凝らした戦闘シーンの数々、マニア心をくすぐるにくい演出や設定などが好評となり2020年のネット流行語大賞6位に入賞するなど各所で盛り上りを見せた。

本能を抑えて解説書くのしんどかった……いや暴走すると「おもしろい!!マジでおもしろい!!だから全話見ろ!!一話だけでもいいから見ろ!!」って語彙力崩壊するから、気になった細かいポイントを一つ一つ解説していこうとおもう。

ストーリー全体:話全体を貫く縦糸があまり強いものではないが、そのかわり一話一話を貫く横糸が強く、更に2~3話に渡って話を貫いていく縦糸が大きく、途切れることなく続いていくことで、しっかりとした構成となってるのが見事。昔ながらの一話完結の特撮を意識したような構成。

ストレイジ:主人公が防衛隊に所属……というのがウルトラシリーズの定石だったのは昔の話で、「防衛隊を出すと予算がかかる、玩具もあまり売れない」というような事情から防衛隊かそもそも登場しないのが多くなってきた中、「ロボット怪獣に乗って戦うから怪獣ソフビが防衛隊の玩具だ!!文句あるかええっ!!」というこの状況をうまく逆手に取った設定は最初聞いたとき「その手があったか!」と思ったね。特空機描写も滅茶苦茶丁寧だし、各機に往年のロボットアニメパロディーな必殺技もあって遊び心も感じるし非常に良かった。ストレイジ隊内の雰囲気もいい感じに緩くてアットホームなのが良い。熱血系のハルキ、クール系のヨーコ、マッド気質のユカ、頼れる兄貴分な隊長、時に厳しく優しいバコさん……俺も働きてえ。Zがレオオマージュならストレイジも全滅するんじゃないかって話だったけどそんなことなかったね。解散はしたけど。

キャラ編

ハルキ:熱血体育会系って最近の作品で全く見なくなったのを逆手に取った、一昔前のタイプの主人公。12話の声を震わす演技が非常に印象に残ってる。ゼットとの掛け合いもおもしろい。

ヘビクラ:いやこれが最初見たとき一番驚いたかな。ジャグラーと同じ青柳さんで隊長……これは後半でジャグラー出演あるで!と思ってたらまさか一話から怪しい演出、二話で「あっ、こいつ間違いなく……」と思わせ、四話ラストの次回予告で「オイ!!お前!!オイ!!(語彙力崩壊」いやまさかそんなドストレートな玉投げてくるとは思わないじゃん……何か目的があるのを匂わせつつ、あくまで防衛隊の隊長であるというスジは通すというスタンスが、自分の中の光と向き合った結果らしくて良かった。最終回でゼットを応援してるの見てちょっとウルっときたよ。憧れであり憎しみの対象でもあったウルトラマンに素直に声援を送れるようになったったんだなって……あと俺は最終回で死亡or光の戦士になるみたいなクソ安い展開したらキレる気だったけど死ななかったし、あくまでジャグラーに大きな変化がなくてウルトラ良かった。ジャグラーが光の力手にしたらもうそれジャグラーというキャラクターとしての「死」だからね。心の中の光と闇に葛藤しつつ、光にも闇にも染まりきれずに何が答えなのかを這いつくばって探していくのかジャグラーだと思ってるから……あと普通にいい隊長だった。あんな上司ほしい。尻は捕まれたくないけど。

リク君:出番こそ正直少なかったけど、台詞一つ一つが重かったし、存在感はでかかった。ジードどころかベリ銀から見てる身からすると龍臣プロもといリク君の成長を実感できててちょっとうるっときた。
これは本人も言及してたけど、ギャラクシーライジングの変身音がultra spiralなのが非常に熱い。もっと出番ほしかったなあ。

セレブロ:ニュージェネ恒例の話を通じての悪役かと思いきや、出たり出なかったり。かと思えば終盤で話を掻き回して「文明自滅ゲームだ!!」お前エボルトか?最終死ぬんでも殺されるのでもなく解剖されるという死より恐ろしいオチが。ニューイヤーズエキスポの舞台だと脱走してまた復活しそうだけど……セレブロに寄生された人の演技はみんな最高。最後のカブラギ君のテンションの高さも最高だった。

ゼット:今までのウルトラマンに時折見られた天然ボケな部分を更に推し進めて、軽いアホの子に仕立て上げて尚且つ「日本語が不得手」というキャラ付けがそれを更に際立せてた。一話のやりとりはほんと必見。ファーストコンタクトと24話の演出が初代オマージュなのも泣かせるポイント。もうちょいゼロとの師弟関係を全面に押し出しても良かったとは思うけど、ボイスドラマで十分なほど補ってたしなあ。「ウルトラマンが喋るな!!神秘性がなくなる!!」って愛染が言ってたのに素直に頷くオタクだったけど、終盤「何かいうだけで面白いからゼットもっと喋れ!!」ってなってたよね。最初ゼットの顔見たときは「シンプルかつ凛々しくてかっこいい!」だったのに今や「何考えてるかわかんねえぽけーっとした顔だなあ……」見たいに見えるもんなあ。

特空機周り

セブンガー:最初ロボット怪獣部隊って聞いたときに連想したのがウィンダムだったけど、まさかセブンガーが来るとは思ってなかった。見た目の緩さがストレイジのゆるーい空気感に繋がってると思うの。必殺技がロケットパンチ、最後にドリルハンドに換装ってあたりが男心をくすぐると思うの。マーカーセーテー(幻聴

ウィンダム:むしろこいつが一号だと思ってた。登場回がロボットアニメあるあるみたいな話だったのがおたく心に来るね。必殺技はまさかのゴッドフィンガー。

キングジョー・ストレイジカスタム:あの無機質でかっこいいキングジョーが!ついに!人類の!!味方に!!初戦黒星だったけど!!12話の上半身分離からのペタニウム粒子砲がかっこ良かった。スパロボならトドメ演出になってる。


特撮回り
毎回特撮パートはいろんな見せ方を意欲的にやってて、これだけでも見る価値ある。7話のあの特撮パートマジでどうやって取ってるの……?ガンマフューチャーの分身は「いやそれ分身って言うの?」とは思ったけど単にガンマフューチャー三体出てくるよりかっこいいしグッとくるしなあ。



総評:特撮初心者にも玄人にもオススメ(玄人は大体見てる気がするんですがね)。初心者にも見易い癖のない話から始まって、どんどん話が加速してってほぼ中だるみしないから一気に駆け抜けられると思う。一話だけでも見てくれ。上に動画貼ってあるから。一話の完成度はほんと特撮界隈でもトップクラスだから。

……やっぱりべた褒めになるな。ここからはあえての不満点をいくつか上げてこう。

・デビルスプリンターどこいった問題:なんか重要そうに出てきたかと思えばカブラギの玩具で終わった印象。キーワードにすらなってなかったよね後半。折角ちゃんと成仏したベリアルを掘り起こして使うならもっとちゃんと扱ってくれと思う。まあ次作以降の要素として取っておいてあるのかもしれないけどさ……
デビルスプリンターが活性化すると、ジードの活躍が無駄になると文句を言いたい自分と、またリク君が出てくるかもしれないって期待する自分と板挟みになるのかね?

・総集編が多い:いやまあ、昨今の事情から見てしょうがねえんだけどさ。キングジョーの回の途中で撮影ストップしたって聞いたし……恐らくカネゴン回が通常想定された総集編だったんだろうけど、他に三回もあるのはちょっとねと。でもクウガとかも総集編多いけど傑作だよねって。


・幻の三エピソード仮説:これは厳密に言えば不満ではないんだけどさ。前述の総集編の多さから導き出される仮説がひとつあるんだけど、最初のインタビューで「最終回の展開から逆算して物語を書いた」って話をしてたんですよ。つまり本来はこれ以上綿密にストーリーは練られてる筈。尚且つ撮影の事情で総集編を三本挟んだってことは、そこに本来入る筈だったエピソードが三本はあるのでは?これならリク君の出番が少ないことにも納得がいくし……円谷さん!!映像化するなら盛り上がってる今ですよ!!

12/30 追記:コメントからの情報によると「元々オリンピックで二週間ぐらい潰れる予定で穴を開けてたけど急遽総集編を入れざるを得なくなった(要約)」だそうです。仮説は幻に終わった……


ここからは3月ぐらいに公開の筈の劇場版に望むことを描き連ねていきますね

・リク君もっと活躍させて:これに尽きる。ベリアロクを戸惑いながらぶん回してもらいたい。

・ガイさん出して:これを望んでる人も多い筈。ストレイジにガイさんが顔出してジャグラーが気恥ずかしくなったり、闇落ちしそうなガイさんに喝入れるジャグラーとか見たくない!?俺は見たい。

・歴代ゼロ変身者の共演:一人滅茶苦茶ハードルの高そうな人がいるけどやってほしい。見たい。揃えて何が起こるんだって話だけどさ……

・劇場限定フォームは人様の力を借りない方向で行ってほしい:これもみんな思ってるような気がするけど。ずっと人の力借りてきたからね。成長したところ見せてほしい。


こんなところです。以上。長くなりすぎた。次は更に特別編を投入したい。俺のツイッターに長いとこ付き合ってくれてる人ならよく知ってるアレです。

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