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4月 北海道沿岸部の「カスベのすし」

カスベ。東北や北海道地方以外の人には、魚の名だとわからないでしょう。カスベとは、前回このコーナーで出しました、韓国の「ホンオ」、つまりガンギエイのことです。ただ「ガンギエイ」といってもいろいろあって、正確にいうと、ガンギエイ目の総称を指します。名前の由来は、一説にはアイヌ語がもとになったともいわれますが、一般には「カスにしかならない」から「カス」「カスッペ」と呼んだから、と伝えられています。やはり、長く放っておくと、アンモニア臭が漂うのが原因でしょう。

もちろんカスベは、新鮮でありさえすれば、低カロリーで高タンパクなヘルシー食品。刺身などモチモチとして弾力ある食感が特徴で、非常に美味しいそうですが、とにかく痛みやすく、というより臭くなりやすく、しかも冬場の一時期だけしか食べることができません。私も、食べたことはありません。握りずしにしたらどうでしょうねぇ? 4月以後が産卵期だといいますから、その直前のカスベは、脂が乗り切って美味しいでしょう。

そんな折り、千歳空港で見つけた、いわゆる「空弁」。「かすべの押し寿司」というのがありました。もちろんカスベはなま身ではなく、オボロ状にまとてありました。味は、ちょっと甘めでした。「これがカスベの味だ!」と主張するものではなく、どこか懐かしさを感ずる、優しい味でした。アンモニアの臭い? まったく感じませんでしたよ

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