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◆全国郷土ずし紹介 12月  兵庫県香美町の「アユずし」

兵庫県美方郡加美町の香住区。香住の冬の味覚といえば誰もがうなずく松葉ガニでしょう。カニ好きな人はたまりませんね。でも、同じ香美でも山沿いの方を見てみましょう。香美が誇る水産物は松葉ガニだけじゃありません。街のど真ん中を流れる矢田川、それも旧・村岡町で獲れるアユは、釣りに詳しい方ならよくご存じでしょう。ここのアユは、アユ本来の味を持っている逸品だといわれています。今は塩焼きで有名ですが、かつてはアユずし、つまり発酵させたすしが冬場のたんぱく源として著名でした。
 すしにするアユは、本当は夏場のものがよいのですが、なかなか量がまとまらず、秋の落ちアユを使います。めずらしいのは、腹を出して、塩押しはわずか1日。翌日には塩を洗い落として、エラなどを取ります。ご飯は、熱いのが好きな人もいれば冷ましてから漬ける人もいます。そんな太っ腹な作り方で、1ヶ月から3ヶ月発酵させると食べられます。現在では作る人が激減してしまいました。やはり、発酵ずしの香りゆえに、食べなくなった人が少なくなったのでしょう。
 これを、最近、復活させた人たちがいます。塩の下漬けは数日間と長くなりましたが、懐かしいタデの葉の香りは昔そのもの。むろん、化学調味料などは入っていません。地元の道の駅なんかで手に入るようですよ。


兵庫県香美町の「アユずし」

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