昨年のアイビスサマーダッシュのレビュー 〜魂のこもったレース〜
アイビスSDは唯一の千直の重賞として、ファンの多いレースです。昨年は相性抜群の人馬が一体となって、魂のこもったレースを見せてくれました。
◆ 千直の特徴
日々多くの馬が走っているので馬場が荒れている内ラチ沿いと、滅多に走る馬がいないので綺麗な馬場の外側で、馬場状態が大きく異なるため、千直では外枠が圧倒的に有利です。
そのため内枠の馬がスタート直後から外に向かって、斜めに走る姿が見られます。
ただし、アイビスSDは開幕週の開催のため、内ラチ沿いもそこまで荒れていません。
そこで一昨年は内枠の4頭は外に行かず、そのまま内ラチ沿いを走りました。しかし5着が最上位と、外側が有利の結果は変わりませんでした。
◆ レース展開
そのため、昨年は再び1頭を除いて全馬が外ラチ沿いの進路を選択しました。優勝したオールアットワンス(6歳牝、昨年末に引退)は、3年前のアイビスSDの優勝馬です。
先ず一昨年のレースを振り返ると、彼女は内枠の3番枠だったので、内ラチ沿いを進んでみましたが、6着に敗れました。
昨年も同じ内枠の3番枠でしたが、一転して前半500mはややユックリと走って、馬場状態の良い外側に馬を運びました。そして後半500mは進路を探し、前が空いた瞬間に、「待ってました」とばかりに、そこから閃光のように突き抜けました。
スパート途中に内側に切れ込みコース取りは完璧でしたし、彼女も騎手の指示に素早く反応しています。
彼女はこのアイビスSDが一年ぶりの復帰戦で、感動の勝利でした。そして、昨年末にアイビスSD2勝の実績を誇りに引退しました。
◆ 石川騎手
3年ともに鞍上は石川騎手です。ただし、昨年の彼女の鞍上は当初別の騎手の予定でした。しかし、負傷に伴い石川騎手が急遽乗り変わりになっての騎乗です。
石川騎手が勝利騎手インタビューで「彼女のことは僕が一番わかっていると、自信を持って乗せていただきました」と力強く話していたことが、とても強く印象に残っています。魂のこもったコメントでした。
騎乗内容も彼女の末脚を信じ切った、最も彼女のことを知っている騎手ならではの、素晴らしい騎乗でした。人も馬も生き物なので、相性ってあるんですよね。
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