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名馬紹介 テンポイント その4

(4) 競走成績 三冠クラシック
迎えた皐月賞。厩務員ストの影響で開催が1週間遅れ、例年と異なり府中で行われた皐月賞はトウショウボーイの独断場となり、テンポイントは影も踏めない5馬身差の大敗を喫しました。ストライキの影響を受けたことが敗因に挙げられましたが、私はこの時点での両馬には埋め難い差を感じました。

続くダービーでは圧倒的なスピードを誇るトウショウボーイが押し出されるように逃げる展開になり、彼を目標にレースを進め、ゴール直前でかわして勝つチャンスが出たと思いました。しかし皐月賞で一度狂った歯車は戻らず、レース中に剥離骨折を発症したテンポイントは、見せ場なく7着に沈みました。レースはゴール前でトウショウボーイをかわしたクライムカイザーが勝利しました。なお、クライムカイザーは同期の中の強豪馬の一頭であったものの、ダービー後は未勝利に終わっています。

復帰戦となった10月の京都大賞典では、無名馬に敗れて3着でした。私はテンポイントの復帰を知らず、翌日にスポーツ新聞で結果を知りました。3着に敗れたショックと復帰戦を無事に走り終えた喜びの両方が混ざった複雑な感情を持った記憶があります。

そして菊花賞は前日からの大雨で重馬場の荒れた状態、流石のトウショウボーイも持ち前のスピードが活かせない展開となりました。好位を進んだライバル同士は、直線外ラチ沿いで馬体を合わせます。そこでテンポイントはトウショウボーイをかわし、最後の一冠を手にしたと思いました。ところが、最内を進んだ伏兵グリーングラスが2馬身前を走っており、そのまま1着でゴールイン。テンポイントは2着に終わりました。トウショウボーイ(3着)に勝ってもタイトルなし、その時の虚無感は忘れられません。

グリーングラスの菊花賞勝利はフロックではありません。彼もまた古馬になってから、天皇賞と有馬記念を制しました。TTG(テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス)3頭全てが有馬記念を制し、年度代表馬に選ばれています。そのため1973年生まれは「TTG世代」と呼ばれ、今でも最強世代の一つに数えられます。
因みに同期3頭が有馬記念馬になった、また年度代表馬に選ばれた世代は、夫々他にも1つずつありますが、両方を成し遂げたのは彼らTTGだけです。

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