見出し画像

大阪杯の戦評 ~紙一重の大激戦~

さすがG1レースという感じで、人馬一体の素晴らしいレースっぷりを楽しめた一戦です。上位3頭は三者三様の作戦をそれぞれが完遂し、文字通り紙一重の大激戦を演じてくれました。以下で各馬の作戦を振り返ります。

1着 べラジオオペラ(4歳牡)
戦前の作戦会議で、横山和生騎手と上村調教師は、場合によっては逃げることまでを視野に入れて、先行すると決めていました。好スタートを切り狙った通りに2番手をキープと、人馬が戦前の作戦を完璧に遂行しました。
道中はそのまま落ち着いて走り、向こう正面でローシャムパークが外から捲って来た時も、外から蓋をされないように少しだけ加速し進路を守り切ったのは気の利いたナイスプレーです。そのまま直線早めに先頭に立つと、しぶとく凌ぎ切りました。すべてが作戦通りに進んだ完勝だったと思います。

2着 ローシャムパーク(5歳牡)
本当は彼も先行したかったようですが、スタート後に二の脚がつかず、一旦後方まで下がりました。しかし、スローペースを読み切った戸崎騎手が向こう正面で思いっきり外から捲り、4コーナーの手前からべラジオオペラとの一騎打ちに持ち込みました。ただし、捲った時に脚を使ってしまったためなのか、最後はべラジオオペラと同じ脚色になってしまい2着でした。
スタート直後に加速できず後方に下がったこと、思いっきり大外を捲ったこと、直線精一杯走るもべラジオオペラを交わせなかったこと、すべてジョッキーカメラに映っています。
レース後のインタビューで戸崎騎手は「道中の上がって行き方がこれでよかったのかは分からない」と素直に話していますが、スローペースを読んで、大胆なレース展開を実行した戸崎騎手の好判断が光ったと思っています。

3着 ルージュエヴァイユ(5歳牝)
彼女は先着した2頭とは全く別のレース展開を選びました。スタートで少し不利を被るも何とかしのぎ、道中はうまく内側に滑り込むと、そのまま後方待機し脚を溜めました。4コーナーを回っても、外に出さず最内の進路を選びました。菅原明良騎手はとてもうまく馬群をさばき突き進みましたが、前の2頭を交わす前にゴール板前を通過し3着どまりでした。1コーナーまでに、とても上手に内側に滑り込む姿がローシャムパークのジョッキーカメラに映り込んでいます。
インタビューで菅原騎手が「悔しい」を連発していたのが印象に残ります。人馬が一体となった直線内差しは美しく、一昨日のベスト騎乗だったと思います。それでも勝てない時もあるのが、競馬の難しさだと痛感しました。
彼女はこれで昨秋のエリ女に続く、2戦連続のG1.2着でした。それだけではなく、昨日で重賞6回参戦するも、2着3回、3着1回と重賞未制覇です。彼女のような馬が、次こそ重賞初制覇してほしいなぁと思います。

4.最後に
2、3着馬よりもシンプルな作戦を選択し、その作戦を完遂した横山和生騎手のエスコートと、それに応えたべラジオオペラの素直な性格が勝因だったと思います。ローシャムパーク/戸崎騎手、ルージュエヴァイユ/菅原明良騎手のコンビも素晴らしかったのですが、結局は「シンプル・イズ・ベスト」だった、本当に紙一重の大激戦だったと思います。
上位3頭の人馬は、経験に裏打ちされた戦略眼、プロの高い技術、腹を据えた覚悟、完璧な遂行力を見せてくれました。ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?