名馬紹介 ディープインパクト
【名馬紹介 ディープインパクト】
現役時代の戦績と種牡馬成績を総合すると、現時点で日本が生んだ最高傑作はディープインパクト(2002年生)だと思います。
ディープインパクトは名馬として「いの一番」に紹介すべき存在である一方、多くのファンが彼のことを、心を込めて、丁寧に、細やかにお話ししており、改めて紹介することが必要なのかと悩んでいました。もっと本音を言えば、彼を簡単に紹介することの怖さも覚えていました。
しかし、数ヶ月間熟慮したのですが、彼の紹介をしておかないと繋がらないストーリーも数多くあり、稚拙な文ですが紹介してみることにしました。
◆ 戦績 〜パーフェクト〜
総合戦績14戦12勝、うちG1勝利7つ。また無敗で三冠制覇と、とんでもない記録です。また、空を飛んでいるかの如く後方から直線だけで各馬を置いてきぼりにする勝ちっぷりは、名前の通り本当に衝撃的でした。
◆ ベストレース 〜絞り切れずに2レースを選出〜
彼のレースは全てが素晴らしいので、ベストレースもファンによって異なります。その中から私見でベストレースを1つだけ選ぼうとしましたが、2006年の春天と有馬記念の2つは甲乙つけられませんでした。優柔不断ですね。
(1)春天
ディープインパクトの唯一の弱点はスタートです。皐月賞ではあわや落馬というほど大きく躓き、日本ダービーでも飛び上がってしまい、他馬だったら致命的なほど大きく出遅れました。
春天でも、いつも通りに大きく出遅れ、最後方からのレース運びとなります。しかし、この日は残り1000mからロングスパートをかけ、4コーナーでは既に先頭に立ちました。
普通であればこれだけのロングスパートをすれば、最後にバテます。ところが、彼はそのまま加速を続け、後続との距離をドンドン広げたのは衝撃的でした。
(2)有馬記念
引退戦となった有馬記念は最後の衝撃と表される圧勝でした。引退戦でも、いつも通りに後方からレースを進めます。
4コーナー手前から上位に進出を試み、気付いたら直線の入口では既に先頭に立っていました。「ディープインパクトの本当の強さをお見せしましょう」という感じで、そのまま観客に勇姿を見せるか如く、直線の外側を悠然と進みます。
他馬がいないみたいで、一頭だけで引退式のラストランを観客に見せているようでした。
レース後に最初に思ったのは、「未だ引退しないで欲しいなぁ。もっと彼の走りを見たいなぁ」でした。
◆ ベスト実況 〜菊花賞での名セリフ〜
彼の勝利はどれも衝撃でしたので、実況も様々な表現をしています。その中で、個人的には、菊花賞での解説がベストだと思っています。
「世界のホースマンよ見てくれ、これが日本近代競馬の結晶だ!」心底その通りだと思いました。
完全なる私見ですが、私はトウショウボーイとテンポイントが日本近代競馬の鍵を開け、シンボリルドルフが日本近代競馬の扉を開けて中に進み、ディープインパクトが世界に日本近代競馬を広く知らしめたと思っています。
もちろん、ナリタブライアンやエルコンドルパサー、オルフェーヴルなどの存在も忘れてはなりませんが、時を一気に進めた感があったのは彼らです。(あくまでも私見です)
◆ 種牡馬成績 〜繋ぐサイアーライン〜
彼は種牡馬としても、とんでもなく優秀です。2012〜2022年まで11年連続で種牡馬ランキングの1位に輝きました。産駒には牝馬三冠のジェンティルドンナ、牡馬三冠のコントレイルをはじめ、7頭のダービー馬、4頭のオークス馬がいます。
またBMS(母の父)ランキングでも2023年にリーダーになりました。当面この地位を守るのではないでしょうか。
さらに、彼は世界的な種牡馬でもあります。英国ダービー、アイルランドダービー、ブリーダーズカップなど既にG1を6勝しているオーギュストロダンは代表産駒です。
◆ 種牡馬としては兄もライバル
彼の一つ年上の全兄(父母が共に一緒)ブラックタイドは、3歳時にスプリングSに勝つなど立派な成績を収めるも、弟のディープインパクトと比べると、凡庸な戦績に見えてしまいます。
種牡馬成績も弟と比較すると総合的には劣りますが、代表産駒にキタサンブラックがおり、その産駒(つまり直系の孫)にイクイノックスがいる、いま最も注目を集めるサイアーラインです。
この兄弟のサイアーラインが、暫く日本競馬界を牽引しそうです。
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