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名馬紹介 テンポイント その6

(6) 伝説の有馬記念
レースはTTGの強さに恐れをなしたのか、宝塚記念同様に有力馬は出走を控え、僅か8頭立てでした。しかし、出走頭数の多寡は全く関係ない、2頭だけの熱いマッチレースが行われました。50年近く競馬を見てきましたが、後にも先にも、この有馬記念ほど2頭が他馬を完全無視して、スタートからゴールまでマッチレースを展開したレースを見たことがありません。

レースはスタート直後から圧倒的なスピードで、トウショウボーイがハナを切りました。テンポイントは逃げられず、宝塚記念と同じ2番手での追走です。ただし今回は、時に外から、時に内からとプレッシャーをかけ続けました。その展開がこのレースを伝説に昇華させた一因です。

向正面あたりで、2頭のつばぜりあいが激化しペースアップして後続を引き離しました。しかしそこでテンポイントが譲り、一息入れたことが展開のポイントでした。
そのまま2頭は4コーナー手前から馬体を合わせ、直線を向いても抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じ、まるでライバルと走る最後の機会を楽しむかの如く並走しました。残り100mでテンポイントが抜け出し、初めてトウショウボーイに完全勝利しました。私はテレビ前で嬉し泣きしました。

直線に入ってからはグリーングラスも2頭を追走し、4着以下を大きく引き離したことで、TTGの強さが際立ちました。しかし、トウショウボーイの武邦彦騎手も、テンポイントの鹿戸明騎手も、グリーングラスの存在に気づいておらず、馬も騎手も完全なマッチレース状態だったことが伺えます。

テンポイントは7戦6勝と充実した1年を過ごし、1977年度の年度代表馬に選出されました。

https://youtu.be/fWU5fqnRvSo

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