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推し馬 ウシュバテソーロ ~賢いダート王~

サウジカップで2着だったウシュバテソーロ(2017年生、現7歳牡)のことを紹介します。

1.戦績
ウシュバテソーロは典型的な大器晩成型であり、主戦場を芝からダートに変えたことで才能が埋もれず、花が開いた好例です。
彼は19年8月に芝でデビューするも、初勝利に7戦、1勝クラス突破には8戦かかるなど、芝での成績は22戦3勝と、そのほか大勢の一頭でした。
しかし、22年4月にダートに新天地を求めると、先週末までで11戦8勝。国内外G1を4勝あげ、いまや世界レベルの強豪に成長しました。その中には昨年のドバイワールドカップ制覇という快挙も含まれています。

2.レビュー
22年の後半、二つ上の世代を中心に、それまでダート界を牽引していた強豪馬が次々に引退していきました。その時点での彼は、未だ新興勢力の一頭という扱いでした。そんな状況下、東京大賞典で生涯はじめて重賞参戦すると重賞初制覇をG1であげて、日本国内で有名な存在になりました。

因みに、22年後半のダート界では、ジュンライトボルトやギルデッドミラーといった芝からの転向組が活躍しました。彼らを機に芝からの転向組が増加した感があります。

23年になると、3月のドバイワールドカップで後続を突き放して快勝を遂げ、一躍世界的な有名馬に駆け上がりました。秋には米国遠征しブリーダーズカップに参戦、帰国後は暮れの東京大賞典に出走し後方から強引に捲って、2連覇を達成しました。現在のダート王です。

3.特徴
(1) 追い切りは嫌い
追い切りは常にやる気がなく、「本番の2分間だけ頑張りゃ良いんだよね」という雰囲気があるとのこと。ドバイでは追い切りに向かう途中で、追い切りを終えた馬と一緒に帰ろうとしたという逸話もあります。国内では「月曜日のサラリーマン」、海外では「怠惰な労働者」と呼ばれています。

(2)パドックではず~っとうつむいている
パドックでも下を向いてやる気を感じさせないという評判です。昨年末の東京大賞典のパドックを生観戦したのですが、確かに彼は一度も顔を上げず、ず~っと下を向いて、うつむき加減で周回していました。
しかし「ヴーッ、ブルルルル」と、馬とは思えない強い唸り声をあげていました。やる気がないというのではなく、むしろメチャクチャ気合いが入っているように見えました。

(3) 豪快な末脚
レースっぷりも「最後にトップでゴールすりゃ良いんだよね」とばかりに前半はゆっくりと後方から追走し、ゴールから逆算して間に合うところからアクセルを吹かす感じです。つまり、かなり競馬を理解しており、無駄を徹底的に排除した、合理的で賢い馬なんだと思います。

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