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フェブラリーS戦評 〜厩舎の努力が透けて見える横綱相撲〜

全体観でいえば、各先行馬がハイペースで共倒れする中で、同じく先行したペプチドナイルは唯一しぶとく粘り、後続勢を抑えて快勝しました。彼はG1初出走、戦前の評価は低く人気薄でしたが、レース内容は横綱相撲でした。

スタート前で気になったことは、人気の一角ウィルソンテソーロの発汗量が非常に多く、彼が引っかかりハイペースになることです。というのも、今回のフェブラリーSは逃げや先行を得意とする馬が多く、レース前半戦のペースに注目が集まっていたためです。

ゲートが開くと、抜群のスタートをしたドンフランキーが、戦前の予想通りにハナを切りました。そこで全馬が淡々とポジションを取ればペースが落ち着くのですが、ウィルソンテソーロとペプチドナイルを含む4頭が後ろからつつき、ペースが上がりました。昨年と比較すると、レースタイムは0.1秒差とほぼ同じなのに、最初の1000mまでは今年の方が1.2秒速かったです。

そのため直線に入ると先行勢はバテて、バタバタと後退しました。その中で見せ場を作ったのはイグナイターです。内ラチ沿いで一度は先頭に立ち、史上2頭目のNAR馬によるJRAの G1制覇の夢を見せてくれましたが、残り200mで脚がピタッと止まりました。しかし、ナイスファイトでした。

残り200mを切ると、道中後方待機していた馬たちが一斉に追い上げてきて、先行馬を飲み込んでいきます。そんな中でもペプチドナイルだけは粘り、早めに先頭に立つとそのまま押し切りました。今後の超一流馬たちとの戦いがとても楽しみになりました。
彼の能力を信じてレースを進めた藤岡佑介騎手の好騎乗もありましたが、彼を完璧な体調に仕上げた武英智厩舎の大変な努力が透けて見えました。関係者全員の素晴らしい勝利でした。

オメガギネスに騎乗したルメール騎手のジョッキーカメラを貼付しました。道中彼は勝ったペプチドナイルの後ろに位置したので、画面の真ん中に常にペプチドナイルを捉えており、直線で加速していくところまで映っています。

また、本題とは無関係なのですが、スタート直後に内側から4番の馬に幅寄せされているところや、直線で10番の馬が突然に真横を突き抜けていく様子が映っています。いずれも画面からでも緊張感が伝わり、騎手という仕事の大変さ、危なさが認識できます。同時に毎週素晴らしいレースを魅せてくれる騎手の方々に、改めて感謝しました。


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