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名馬紹介 トウショウボーイ(1)

【名馬紹介 トウショウボーイ(1)】
テンポイントの終生のライバル、「天馬」と称されたトウショウボーイ(1973年生)のことを紹介します。テンポイントのファンの私も、彼の速さや美しさ、雄大さに畏敬の念を持ちました。

1. デビューから皐月賞まで
彼は足腰が弱く、デビューは3歳の1月まで待つことになりましたが、出走3戦全てを圧勝して、皐月賞に歩みを進めます。また彼が勝利した新馬戦は「伝説の新馬戦」と呼ばれています。出走メンバーには後のライバルでTTGの一頭グリーングラスや、重賞3勝の快速逃げ馬シービークインが名を連ねています。
なお、私が初めて彼を観たのは3戦目のれんげ賞です。テレビ画面越しでも分かる雄大な馬体、柔らかい良質な筋肉、美しい毛艶、大きなストライド、そして他を寄せ付けない神々しい雰囲気、まさに「天馬」です。これはテンポイントともいい勝負をするなぁと思いました。
なお、シービークインとの間に生まれたミスターシービーは、父トウショウボーイが果たせなかった3歳クラシック三冠を達成しました。また、シービークインが産んだ仔はミスターシービーだけです。デビュー戦を一緒に走った初恋相手(?)の一粒種が三冠馬ということに、競馬のロマンを感じます。

2. 3歳上半期(皐月賞とダービー)
テンポイントとの全勝馬対決で盛り上がった皐月賞は、終わってみればトウショウボーイが5馬身差をつけた圧勝でした。れんげ賞当時に感じた「いい勝負」どころではなく、テンポイントは彼の影も踏めませんでした。彼我の差を感じざるを得ない結果です。
続くダービー。天性のスピードを抑えきれず先頭に躍り出た彼は、後続を引き連れて悠々と4コーナーを回るも、直線でクライムカウザーにかわされました。最後に追い上げ直すも、まさかの2着に甘んじました。
これには裏話があります。当時の主戦騎手は若手で、ダービー前の取材で「未だ他馬に驚くところがある」と弱点を漏らしてしまいました。これをクライムカイザーに騎乗するベテラン騎手が見逃すはずがありません。直線に入ると早目にトウショウボーイに幅寄せし、彼を驚かせて減速させ、その間に抜け出しました。

3.3歳下半期(年度代表馬に選出)
秋の初戦には、当時未だダート競走だった札幌記念を選び、ダート王グレートセイカンの2着に敗れました。涼しい札幌を秋の初戦に選ぶ馬が今後増えるかもという新聞記事を読んだ記憶があります。
その後は2つの前哨戦を快勝、特に神戸新聞杯で叩き出した桁違いのレコードタイムは驚異的でした。
そんな完全無欠に見える彼でも、道悪馬場と長距離は苦手としていました。そして迎えた菊花賞(3000m)は前日夜から振り続く雨の影響で、苦手要因の2つが重なりました。少しでも足場が良い外側を走るも、グリーングラスとテンポイントに次ぐ3着に終わりました。
その後は有馬記念に向かい、ここでは好位から抜け出す横綱相撲で再びテンポイントをおさえて快勝しました。3歳時は有馬記念と皐月賞を含む10戦7勝をあげ、1976年の年度代表馬に選出されました。

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