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名馬紹介 ソングライン

【名馬紹介 ソングライン】
2022~2023年、マイル界の絶対女王に君臨していたソングライン(2018年生 牝馬)を紹介します。

◆ 2歳~3歳時
2歳時は2戦のみ、新馬戦2着、未勝利戦1着で終えました。年明けは1月の紅梅賞から始動、私が彼女を始めて見たのは、紅梅賞のパドックでした。
他の少女たちがワチャワチャしているのを横目に、彼女だけは良家の子女のように気品を感じさせる、落ち着いた雰囲気で周回していました。そして、レースでは直線で他馬を置いてきぼりにする鋭い末脚で圧勝しました。
この時点で、個人的には、桜花賞は本命ソダシ、対抗ソングラインで決定するも、桜花賞ではレース前半でメイケイエールにタックルまがいの幅寄せをされた影響もあったのか、15着と大敗しました。
次走に選んだNHKマイルでは直線で一旦先頭に立つも、ゴール前でシュネルマイスターの猛追に遭い、ハナ差で敗れました。それが永遠の好敵手シュネルマイスターとの出会いでした。
夏の新潟の関屋記念で3着の後、富士Sを快勝して、阪神カップに挑むも15着に敗れます。彼女は右回りが決定的に苦手なようで、その後左回りしか走っていません。

◆ 4歳時
古馬初戦にサウジアラビア・リヤドの1351ターフスプリントを選ぶと、中東の観客を驚かせる末脚で差し切り勝ちしました。この日のリヤドの勝ち馬は殆どが先行勢だったので、とりわけ彼女の末脚に魅了されました。
帰国後初戦は同級生のソダシが勝ったヴィクトリアマイルです。このレースでは、スタート直後に外側からコースを狭められて後ろに下げざるを得なかったことと、向こう正面で大きく躓いた2つの不運が響き5着に敗れました。
続いて出走した安田記念は、残り200mでも誰が勝つか分からず、最終的に0.2秒以内に8頭がひしめき合う大混戦を制して、G1初優勝を飾りました。2着はシュネルマイスター、前年のNHKマイルの雪辱を果たしました。
下半期のマイル競走は国内も香港も右回りばかりで、左回り専門の彼女にとって目指すべきレースがありません。そこで目標を米国のブリーダーズカップ(BC)に定めるも、喉の不調で遠征中止。そのうえ脚部不安も発症し、秋は休養に充てました。

◆ 5歳時
5歳の初戦もリヤドの1351ターフスプリントを選ぶも10着と大敗、不安を抱えつつも前年同様にヴィクトリアマイルから安田記念というローテーションを選択します。
ヴィクトリアマイルは、過去1度も先着したことのないソダシと、一つ下の3強(スターズオンアース、ナミュール、スタニングローズ)が勢ぞろいした豪華なレースでした。彼女は中団後ろ目でユッタリと進むも、直線では状態の良い外側の進路をとれず、覚悟を決めて馬群の中に突っ込みます。その判断に応えて素晴らしい切れ味の末脚で突き抜けて、ゴール前でソダシをかわしました。
続く安田記念は圧巻のレースでした。最後の200mの末脚は天馬のように軽やかで、観客を魅了しました。これで安田記念の連覇と、ヴィクトリアマイルと安田記念の連勝を同時達成しました。これはウオッカしか成しえていない大変な偉業です。
秋には2年越しのBC遠征を実現するも、小回りの4つのコーナーを回る忙しい展開への対応が難しく5着に敗れ、それを最後に引退しました。

◆ 好敵手 シュネルマイスター
ソングラインを語る時に、同級生のライバル、シュネルマイスターとの戦いに触れざるを得ません。2頭は4回顔を合わせました。4回ともソングラインが中団に位置をとり先に直線で抜け出すのを、シュネルマイスターは彼女の後ろに付けて激しく追撃するという、同じ展開です。そして、常に両馬は3着以内の僅差でゴールします。
勝敗は時の運が左右する感じもありますが、ソングラインが3度先着しました。そして、2頭はほぼ同じタイミングで引退を発表しました。

◆ 大輪が咲き並ぶ同級生
この年の牝馬は華やかで、強く、美しい大輪が咲き並ぶ、とても魅力的な世代でした。百花繚乱とはこの世代を指し示す最適な言葉だと思います。
ソダシ:白毛でG1を3勝の才色兼備馬、ソングラインとは2勝2敗
ユーバーレーベン:オークス馬
アカイトリノムスメ:三冠牝馬アパパネの娘、秋華賞馬
サトノレイナス:桜花賞2着、ダービー5着
ファインルージュ:重賞2勝、G1では2着2回、3着1回
メイケイエール:重賞6勝、超前向き弾丸娘
スルーセブンシーズ:重賞1勝、宝塚記念2着、凱旋門賞4着
ヨカヨカ:重賞1勝の九州産馬
リフレイム:直線で右斜めに走ってしまう個性的な馬

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