見出し画像

名馬紹介 アグネスワールド

【名馬紹介 アグネスワールド】

英国インターナショナルSの投稿に記載した、英国のG1レースを制した2頭の日本馬の内の1頭、アグネスワールド(1995年生 牡)を紹介します。
彼は国内7競馬場、海外3ヵ国/4競馬場で走り、欧州G1を2勝した名馬です。彼を一言で表すと「快足」です。

◆ 輝かしい同期 ~競馬界が華やかだった季節の一つ~
1995年生まれの同期馬は、とても華やかで、輝かしい世代です。牡馬三冠はセイウンスカイ、スペシャルウィークが分け合い、牝馬三冠はファレノプシスが強い中、オークスではエリモエクセルが勝利しいています。そのほかにもキングヘイロー、エアジハードなどもG1を制しています。

さらに、この世代を華やかにしたのは外国産馬たちです。未だこの世代では彼らは三冠クラシックへの出走が認められていませんでしたが、国内外でとても強い戦績を残しています。具体的には、アグネスワールド、エルコンドルパサー、グラスワンダー、マイネルラヴなどです。

また、その前後の世代にも強豪馬が目白押しで、この時代の競馬はとても盛り上がりました。

◆ 彼の戦績 ~欧州G1を2勝の偉業~
3歳を骨折で1年間休養に充てたこともあり、4歳春までは10戦3勝と、速いけど超一流という感じではありませんでした。
転機になったのは4歳7月の北九州短距離Sです。2番手追走から、直線で他馬を引き離した走りは強く、また走破タイムは当時のJRAレコードタイムを0.4秒更新する驚異的なものでした。次走の小倉日経オープンでも勝利を収めると、一路フランスに向かいアベイ・ド・ロンシャン賞(1000m、G1)に出走、見事に勝利を収めます。帰国後もCBC賞を勝っており、彼の戦績上のピークはこの4歳秋でした。

その後日本のG1ではスプリンターズS2着、高松宮記念3着と惜敗が続きます。その後は英国に遠征します。キングズスタンドS(1000m @アスコット、G2)で2着に入ると、続くジュライC(1200m @ニューマーケット、G1)では、激戦を制し、2度目の欧州G1制覇という快挙を達成しました。
帰国後のスプリンターズSで再び2着と惜敗、米国のBCスプリントをラストランに引退しました。

◆ 特徴 ~欧州好きの不器用な好漢~
(1) 超快足
とにかく速い馬でした。スタートからアクセル全開、一度もその速度を緩めることなくゴールまで駆け抜けられる能力を有していました。それが故に道中で息を抜くことができなかったために、惜敗が多かったという特徴があります。

(2) コーナーワークが苦手
常に全速力で走り抜けているため、コーナーワークが得意ではなかったようです。そのために2回はコーナーがある国内のG1ではロスがあって勝ち切れませんでした。彼が勝利した2つの欧州G1は、ともに直線レースでした。不器用な好漢です。

(3) 勝負根性
彼は速いだけではなく、勝負根性もピカイチでした。2つ目の海外G1優勝となったジュライCで、両隣の馬に挟まれ進路が狭くなったところでも全く怯まず、進路を確保して抜け出したシーンは忘れられません。

(4) 海外が得意
国内でも15戦5勝2着5回と安定した成績を残しています。しかし、海外での成績の方が優れており5戦3勝2着1回、特に欧州では4戦3勝2着1回とパーフェクトでした。

◆ 帯同馬 ~ドージマムテキの紹介~
アグネスワールドの海外での大活躍の影に、ドージマムテキ(1990年生 牡)の存在があります。ドージマムテキは重賞も優勝した優秀な馬ですが、現役晩年は帯同馬として海外遠征を数多くこなしています。
11歳まで現役を続け、関係者からは「爺さん」と呼ばれていたとのことです。穏やかな良き兄貴分だったのでしょう。日本馬の海外での飛躍に一役買った存在でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?