シリコンバレーのエンジニアと日本のエンジニア
「DDDになぜ失敗するのか」というスクラップを2年前にまとめ、今更記事にしている
その中でシリコンバレーと日本の風土の違いについて調べたことがあった。
当時はアジャイルや規範という観点で見たが、好む技術スタックから違うのではないかと思い始めてきた。
あくまでシリコンバレーで働いたことがないので、なんの根拠もない推測で書き連ねていく。
技術と速度
とりあえず「シリコンバレーはRails」というのが2010年代ごろの情報として多く見つかる。
・シリコンバレーの「何が」凄いのか
・シリコンバレー流開発スタイル
・Start-ups at Silicon Valley are obsessed with Ruby on rails. Why? | by SJ Jamil | Medium
・Web Development Frameworks: Silicon Valley vs. Europe - JobFluent
この頃は日本のスタートアップでもRailsが多かったので、まぁ流行ってたよねって話かもしれない。
ただ日本は2020年前後に突如DDDが急速に話題に上がり、その流れでRailsが採用されなくなった感覚がある。
これはエンジニアバブルと言われ始めた時期とも近しい。
エンジニアバブルとは何だったのか|久松剛/IT百物語の蒐集家
プログラミングスクールが流行り、情報商材屋の商材になることで、「スキルアップして年収アップ」という空気感がエンジニア全体に蔓延した。
となると職場はスキルアップの場となり、モダンな技術スタックを経験して年収を上げるのが目的化する。
エンジニアの売り手市場なので、職場もエンジニアに来て居続けてもらうことが目的化し、結果的にビジネスの成功と乖離した意思決定がなされる。
「エンジニアを採用するためにモダンで魅力的な技術スタックでいきましょう!」ってなる。
そうした潮流で日本の技術的な意思決定が歪み、開発速度ではなく「経験値」や「モダン感」が優先されるようになったのかなと。
シリコンバレーは変わらず速度
対してシリコンバレーは変わらず速度が重要視されているのかなと。
シリコンバレーでもRailsの採用は減っていそうだが、それは単に速度のでる選択肢として別のAlternativeが採用されているのかなと思う。
たまに海外の求人も見るが、実際日本より軽量でスピード感の出そうな技術スタックが選ばれてる印象を受ける。(Remix + Prismaとか)
少なくともDDDという感じではない。
ドメイン駆動設計を知る必要があるのか - YouTube
特にシリコンバレーは狭い人間関係の中で人材の移動も激しいという。
そうなると「優秀なエンジニア」の基準がスキルセット並べて「こんなモダンな技術触ってます」ではなく、「あの人に頼んだらモックが1週間でできたぜ!」みたいな感じなのかなぁと。
より本質的なところが重要視されるというか、ビジネスの成功に寄与するエンジニアが重宝されるという感じだろう。
日本も落ち着こう
先ほどのエンジニアバブルの崩壊の記事がバズっていたが、お客様的にエンジニアを扱い、ビジネスの成功と別のベクトルに意思決定が向かうのは実際どうだろうと思う。
正直DDDやマイクロサービスが流行ったから日本のIT業界は何年間も無駄にしたとすら思っている。
そうした企業を何個も経験したが、「保守できなくなって1年でリプレース」「Railsだと1日でできるものに何週間もかかる」と成功とは言えないような状況だったからだ。
だからDDDが悪いとも自分はどんな状況でもDDDをしないわけでもなく、適材適所であることは間違いない。
それに自分はRailsは好きではないので、Railsを使ってる企業を選ぶことはほとんどない。
ただ結果論として、仮にRailsを使ってればこのベンチャーはこの数年間を無駄にせずにいたのになぁと思うことは何度もある。
エンジニアの待遇を悪くしろとまではいかなくても、エンジニアだけリモートワークとか、エンジニアだけ時間は自由とか、エンジニアだけ社内行事に参加しなくていいとか、何も口出さないからエンジニアの気持ち良いように自由にやってくださいとか、そういうのはやりすぎだと思う。
同じ目的意識の中、対等にそれぞれの要求とすり合わせ、お互いに譲り合うのがチームだからだ。
変にお客様的扱いをされると、一体感がなくなって冷めるからね。
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