じゃがりこ恐怖体験。
先日、母がじゃがりこをケースで買ってきた。
その瞬間、背中をつたう一滴のしずくを感じた。
それを母から受け取った瞬間。
目の前が真っ暗闇になった。
気がつくと、どこか見覚えのある場所だった。
ここは、、、
前住んでいた家?
周りを見渡すと、前使っていた直方のトライアルで買った中古の木の机。
リビングでいらなくなったソファ。
座面が固すぎて勉強に集中できない椅子。
そして、今寝ているのは、、、
IKEAで買ったロフトベッド?
何が何だかわからなかった。
前の家から今の家はさほど遠くはないし、時々通るのだがもう次の住人がいるはずだ。
ん?
僕は、クローゼットが不自然に開いていること気づいた。
吸い込まれるように、クローゼットに近づいていく。
何度落ちたかわからないロフトベッドの階段を降り、クローゼットに手をかけた瞬間。
また前が真っ暗闇に包まれた。
気が付くと、箱のじゃがりこを持ち立ちすくしていた。
思い出した。
これは、小学3年生のクリスマスの時の話。
僕の家では、欲しいものを手紙に書いて自宅のポストに入れるとその手紙がなくなり、部屋にプレゼントが届いているというサンタシステムだった。
小学3年生の僕は、そのとき狂ったように「じゃがりこ」にハマっていた。
それもサラダ味だけに。
毎日のようにじゃがりこサラダ味を食べ、
どこか買い物についていっては、じゃがりこサラダ味を買ってもらっていた。
そして迎えたクリスマス。
僕は、プレイステーションが欲しかった。
なのでいつものように、手紙にこう書いた。
サンタさんへ
プレイステーションがほしいです。
これからまいにちいい子にしているのでおねがいします。
と、、、
期待に胸を膨らませ、布団をかぶった。
明日プレイステーションがきたら、何で遊ぼうか、誰に自慢しようかそんなことを考えていた。
気が付いたら眠ってしまっていた。
翌朝、何時であろうか。
目が覚めた。
僕はすぐにロフトベッドの上から周りを見渡した。
ない!ない!
今までの行いが悪かったから、サンタさんは来なかったのだろうか?
そんな不安がよぎる中、クローゼットが不自然に開いていることに気づいた。
何も考える余裕もなく、すぐに階段を降り、クローゼットの扉に両手をかけ
勢いよく、開いた。
そこには、大きな袋があった。
よかった!サンタさん来たんだ!
すぐにリビングに向かおうとその袋を持ち部屋を出ようとしたその時、、、
「カラカラカラカラ」
乾いた音が聞こえた。
舞い上がっていて気づかなかったがプレイステーションにしては軽すぎる。
僕は、興奮を抑えながらそっと袋を開いた。
その姿に息をのんだ。
そんなはずはない。
いい子にすると誓ったはずだ。
無情にも、その袋には
じゃがりこサラダ味5個が入っていた。
そこで、僕は悟った。
「サンタさんはいないんだ…。」
完
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