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イベント参加レポート:増刷記念「ここはウォーターフォール市、アジャイル町」-執筆者と編集者と書籍の表側と裏話と- #DevLOVE #ここアジャ

早くも増刷、#ここアジャ

以前、書評を書いた「#ここアジャ」が、発売からそう日が経っていないにも関わらず、早くも増刷が決まったとのこと。本日はその増刷を記念したイベントが開催されるということで参加してきた。

いくつかのテーマにもとづき、著者のお二人、そして編集者の秦さんの三人でトークは進行していった。

テーマ:なぜウォーターフォールとアジャイルの融合が必要だったのか

成長はふりかえりによって意味づけされる
ここに敵がいない、という状況をつくっていくのがすごく大事
「一人で悩まなくてもいいんだよ」

お三方のお気に入りのシーン、プラクティスについて談義。この話の中から浮かび上がってくるのは、「本質は課題と向き合い解決することで、ウォーターフォールとアジャイルが対立することに生産的な意味はない」ということなのかなーと感じた。

テーマ:ウォーターフォールとアジャイルが対立構造にならないためには?

Q.「新しいことをやろうとすると対立構造になってしまう」
A.「ウォーターフォール側からアジャイルを毛嫌いしないためには、アジャイルという言葉を一切つかわない。フォーカスするのは何を解決したいか。」
「日本の組織はフレームワークの活用が苦手。フレームワークに『使われて』しまう。そういう体験があるから、新しいフレームワークに警戒してしまう」
Q「アジャイルネイティブの人がウォーターフォールを毛嫌いしないためには」
A「難しいが…ウォーターフォールに伴って生まれる中間成果物は有用なものもある。そういう意味あるものをアジャイルプラクティスとハイブリッドで活用するとよさそう」

本編終了後のQ&Aであった「ワニの肉」の逸話(後述します)のように、ある先入観をもっている概念の名前を出すと有無を言わさず拒否感が先行してしまう。大事なのは課題の解決なので、名前は出さなくてよい、ということ。

テーマ:書籍の中の現場のリアル度は?

9割の実際に起こったことと1割の理想。
解説パートは10割。

テーマ:現場でのファーストステップやいま、できることは何か?

半径5メートルの課題に名前をつける。
同じ方向を見る人、ファンをみつける。
「名前をつけなきゃ妖怪はみえない」
おなじチームでおなじイベントに出てみる。するとおなじ景色がみえる。

名前つけるの大事!課題もだし、プラクティスもですね。

テーマ:執筆・編集の裏側や裏話。書籍を出版するということはどういうことなのか?

出版社・編集の仕事

出版社:商業誌を作り流通させる。
編集者:ディレクター。著者のイメージを表現できるようデザイナーに伝えたり、スケジュール管理したり、読者レベルにあわせチューニングしたり。

ウォーターフォール工程の管理者的に動く編集者と、アジャイルに執筆していく二人。この執筆工程にたいして、沢渡さんから飛び出してきた言葉がこちら。

「この書籍の執筆工程自体がウォーターフォール市のアジャイル町」

どちゃくそエモい。

テーマ:技術者・エンジニアがこれから書籍を書くには?スキルを上げるには?

目次を書く。
目次を書くとストーリーができあがる、経験体験知見が体系化される。
日々のドキュメント作成での積み重ね

「誰も読まないマニュアルをダイアログ形式にしたらすごく読まれるようになったことがある」という素敵な実体験が紹介された。これってマニュアルを読む人をユーザーとして明確に認識し、そのペルソナにあわせてUIを改善したという話に他ならないよね。

疑問:いつ「アジャイルです」というのか

イベント中、何度か「アジャイルという言葉を使わない」というキーワードが出てきた。これはある種、正しい戦術なのかもしれないが、よりレベルアップしていくためにはアジャイルと正面から向き合うタイミングが来るはずだ。それはいつなのか?というのが疑問として湧いてきた。

成功体験があったタイミングや会社イベントのタイミングでのプロモーション。
うまくいくことで好奇心をもったメンバーの出現。内発的動機が表出してきたタイミング。

この回答はとても腹落ちした。確かに「うまくいった」タイミングであれば、受け入れやすいだろう。

「ワニの肉」の話

おいしい鶏肉だとおもったら実はワニだった。最初からワニだと知っていたら食べなかった

これはなかなか衝撃の体験だw
そして、アジャイルを「ワニの肉」だと思っている人たちには、確かに名前を言わずに「食べて」もらうという作戦は有効かもしれない。

HRTに満ちた現場

お三方の和気あいあいとした空気の中から飛び出してくる裏話はどれも面白く、1時間半があっという間に過ぎ去っていった。その内容もさることながら、なにより印象的だったのが執筆チーム内の信頼関係の強さだ。

沢渡さん、新井さん、秦さんお互いがリスペクトしあい、裏話の中でも「これはつらかった」という話ではなく「書くのが早い」「レスが早い」といった「ほめほめタイム」が発生するほどだった。これって、チームに求められるHRTの精神そのものだよなー、と思いながら眺めていた。

話を聞きながら、あらためて現場に寄り添ったリアルで、かつ希望のある素敵な一冊だなーと感じたが、その原動力はこの「素敵執筆チーム」の結束にあったのだ。

まだ読んでいないという方は、ぜひぜひ手にとってみてください。


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