テレ東ドラマ3月シナリオ「リハあり!」

#テレ東ドラマシナリオ3月放送分テーマから私が選んだのは、
abさんの①「人生リハーサル」です。(「訪問者」と迷いました)

テーマ:人生リハーサル
ドラマタイトル『リハあり!〜これで人生ハズレなし〜』

とんとん拍子の人生を重ねてきた主人公
戸川翔、29歳。
彼の失敗しない人生のヒミツは・・・。
<あらすじ>
コンサル会社で働く戸川翔(29)。どんな緊急事態もあっさりとこなす翔には、実は秘密があった!1日を2回ずつ、月月、火火、水水〜と一週を14日間送っていた彼は前日の失敗を二回目の1日でクリアして成功させてきた。
交際2年になる恋人のまりあ(27)にプロポーズしようと決意した翔は、一日目で奇跡的にうまくいきそうになったところで欲が出て二回目へ持ち越す。すると、前にはなかったシチュエーションがやってくる。
「なんで昨日言ってくれなかったの?」とまりあに言われて驚く翔。
翔と同じ能力があるまりあは、二日目にはアクシデントがくる翔と逆向きのタイプだった。ショックを受け、ひとりぼんやり歩く翔はトラックと激突寸前でまりあのおかげで救かる。
「一日目でプロポーズしてくれてたら同じ部屋で入院できたかもよ」
まりあの言葉に、翔が返すリハなしの言葉は・・・。

<シナリオ本文> ↓ ここからシナリオ本編に入ります ↓
️翔の会社内・会議室前の廊下あたり
  翔が歩いている、後ろから肩を叩かれ、振り返る翔の顔。
部長の声「戸川くん、ほんとにこの数字でいけるのか?」
  にっこり笑顔になる翔。
翔「もちろんです。詳しいデータも、部長、こちらに!」
  周囲が拍手と歓声でわく。
  *
  社内のゲスト客(外国人)がガイド本を落とした。
  すかさず拾って、渡しつつ、
翔「Are you ok?(とガイド本を見て)oh~,we have a new guidebook, if you need
it~」などと丁寧に英語でもてなす。
  ゲスト客と周囲が拍手と歓声でわく。
翔M「さすがの連続。今日もぼくは完璧だ」

️同・エレベーター周辺
  人垣ができている。翔がやってくる。
翔「どうしたんですか?」
男性社員「エレベーター故障で閉じ込められてるって」
女性社員「佐々木さんでしょ、ひとりで大丈夫かしら」
翔「佐々木さんって、あのまりあちゃ、まりあさん!?」
  翔の顔つきが怪しく変わる。

️まりあのイメージショット
  佐々木まりあ(25)がにこりと微笑む。

️翔の会社内・エレベーターの中
  まりあの指先が階上ボタンを押す。ドアが閉まる寸前に
  走り込んでくる翔。翔も乗せて閉まるドア。
  まりあ、翔を見てひどく驚愕している。
翔「そんなに警戒されてる?」
まりあ「あ、いいえ。あ、戸川さんは何階ですか」
翔「ああ、上だけど」
まりあ「上の?(どの階か)」
翔「(まりあに見惚れる)上の・・・」
  ここで照明がおちて、エレベーターが停止する。
  しかし、まりあも翔も驚かない。
まりあ「止まりましたね」
翔「簡単な故障だよ。30分くらいで動くから、動くだろうから」
まりあ「ですよね、きっと・・・」
  翔、携帯でライトをつける。
まりあ「すみません」
  愛らしいまりあの唇が翔の目の前で動いている。
翔「あんまり話すことなかったけど、佐々木さんのことはいつも(見てた)。
  うちの派遣に来てくれて嬉しいよ」
まりあ「ありがとうございます」
翔「いつまでだっけ?」
まりあ「あと二週間になりました」
翔「そっかあ、寂しいよ、佐々木さんにはいてほしいな!」
まりあ「私は優秀でもないし、戸川さんはどんな緊急事態でもす早く対応して
  くれるって聞いてます。ヒーローですね」
翔「ヒーロー? ぼくが?」
まりあ「はい」
  突然にガツン!と大きく傾く機内。
まりあ「キャア(ほんとうに驚く)」
  転びそうになるまりあを抱きとめる翔。
翔「まりあちゃん!(と思わず呼んでしまう)」
  ふたり、抱き合ったまま、暗がりが濃くなっていく。

️同・エレベーターの前あたり
  人垣ができている。エレベーター修理のスタッフが手で開けていく。
  扉がゆっくりと開かれると—。
  現れたのは翔とまりあ。まりあをエスコートするように中からヒーロー
  さながら出てくる翔。
  「戸川くんも一緒でよかったねえ」「まりあちゃん、ひとりだったら心配だ
  ったわ」「ふたり、お似合いねえ〜」など声が飛ぶ中、笑顔のふたり。

️タイトル
  『リハあり!〜これで人生ハズレなし〜』

️翔の会社内(しきられたワンランク上の個室)
  テロップ—「2年後」。
  「マネージャー」の真新しい札を置く翔。少し貫禄も出てスーツもいい
  感じに着こなしている。
部長「戸川くん(と入ってくる)」
翔「部長!(と握手しにいく)」
部長「最年少のマネージャー昇格だな。よろしく頼むよ」
翔「はい」
部長「そろそろ、いっしょになるんだろ」
  部長の視線の先にはデスクに飾ったまりあの写真がある。 
  翔の肩を叩き去っていく部長。
翔M「理想通りの人生。それがぼくだ」
  翔、自分の居場所となった部屋を見回しつつ。
翔M「そりゃ、そうだ。ぼくには同じ日が二回ある、つまり、月月、火火、水
  水、と14日間で一週間。前日にあった失敗を次でリカバーしてきた」 
  翔、まりあの写真を手にとる。

️翔の回想(2年前・エレベーター故障の一日目)
  会社のエレベーターの前。人垣ができている、その中に翔もいる。
  エレベーター修理のスタッフが手で扉を開けていく。
  扉があくと、疲れた顔のまりあがひとりで出てくる。
  安堵の声が周囲からあがる、まりあを遠くから見ている翔。
翔M「前日に起きたアクシデントを次の日に利用することもできた」

️高級レストラン内(現在・数日後・夜)
  テーブル席に翔とまりあ。
まりあ「昇進祝いで予約したって、ここだったの。もっとオシャレしてく
 ればよかったな」
  翔、席を立って、まりあの首にネックレスをつける。
翔「うん、よく似合うよ」
まりあ「覚えててくれたんだ(感動)ありがと」
翔M「正直に言えば指輪はよくわからなかった。まりあがほしいと言ってたネ  
 ックレスでまずは様子を見ることにして・・・」
  近くのテーブルで老夫婦の金婚式(50年)祝をしていて、その声が聞こえ
  てくる。拍手。まりあも会釈して拍手している。
翔M「おいおい、プロポーズぴったりの雰囲気になってないか。ぼくたちも 
 あんな夫婦になろうよ。とか。まりあとだったらぼくもあんな幸せそうな   
 おじいさんになれる気がする。これじゃ長いか」
まりあ「夢みたい・・・。ね、訊いてもいい?」
翔「なに?(ドキリ)」
まりあ「翔は私のどこが好き?」
翔「どこって」
まりあ「全部って言うのは女子的には嬉しくないからね。ちゃんと言って」
翔「(小さくぽつりと)リハないときついな」
まりあ「え?」
翔「ああ、ええとね、誰の話も目を見てきちんと聞くとこ。美人なのに上から
  目線じゃないとこ」
まりあ「なにそれ、小学生みたい」
翔「え〜、こういう高級レストランがすごく似合うとこ」
  同時にギャルソンがミニ花束をまりあに持ってくる。
ギャルソン「あちらのご夫婦からお客様へと」
  華やかな花束に驚くまりあ。
翔M「超サプライズ!プロポーズを今、今こそ!か! でも次ならもっとうま 
  く言えるし、まりあが喜んだところで結婚を申し込み、花束をサプライズ
  でもらって、これは運命だねってぼくが言ったら、まりあももっと・・・」
  老夫婦がまりあに会釈している。
  まりあ、輝いている。
翔「ほらね、まりあは愛されキャラなんだよ。美しい花にはみんな引き寄せら  
  れる」
まりあ「翔・・・(戸惑い気味)」
翔M「めっちゃ可愛い! やっぱり、もう一回見たい!」
  ひとりでほくそ笑んでいる翔。

️翔の会社内(翌日・同じ曜日の二回目)
  仕事をしている翔。携帯をとって(出る)
翔「はい(と席を立って)予定通りの待ち合わせでいいよ・・・え!」 

️通りを走ってくる翔(夜)
  時計を見ながらあわてて走っていく。

️まりあのアパートの部屋内(夜)
  駆けつけた翔の上着をハンガーにかけるまりあ。
  小さなテーブルにはまりあの手製のパスタとサラダが並ぶ。
  料理とまりあを交互に見ている翔。
翔M「二回目なのにレストランじゃない、どうなってるんだ」
まりあ「ごめんね・・・急にうちに来てもらって。どうしても出かけられなく
 て・・・」
翔「ああ、うん。ちょっと驚いたけど」
  様子を互いにうかがう翔、まりあ。しばらくの沈黙。
まりあ「なんで昨日、言ってくれなかったの?」
  ギョっとなる翔。
まりあ「なんで前の日のうちに・・・」
翔「なんで・・・って、まりあ、あのさ」
まりあ「私、1日を二回送れる特殊な人間みたいでね、必ず二回目にはアクシデ
 ントが起きるの。エレベーターだって二回目は大きな故障になってたし、翔
 がいっしょにいなかったら私は怪我してたかもしれない。だから、大事なこ
 とは最初の日に全部して欲しかった!」
  翔、あまりの衝撃で言葉が出ない。

️住宅街の通りから大通りへ(夜)
  ひとりで歩いている翔。
翔M「実は自分も、とは言えなかった。ぼくにとっての1日目はリハーサル。
  いつだって二回目の勝負で完璧に決めてきたんだ」
  閃光。急ブレーキの音。翔の目の前にトラックが迫ってきた!
翔「うわつ!!!」
  白い光の中にすべてが呑み込まれていく。

️病院のベッドの上(時間経過・深夜)
  目をゆっくりと開ける翔。傍に看護師がいる。
看護師「気がつきましたか。それ、ガチガチに握ってましたよ。よっぽど大事
 なものなのね」
  翔、右手にまりあに渡すつもりの指輪の箱を握っている!
翔「!」

️翔の回想(まりあの家に行く前・夜)
  宝石店に駆け込んだ翔。
  *
翔「指輪! プロポーズの指輪をください!!」
  *
  袋を手に店から駆け出していく翔。

️元の病院のベッドの上(深夜)
  起き上がった翔。
看護師「打撲だけで奇跡だわ。恩人に感謝しなきゃね」
翔「恩人?」
看護師「若い女の人。あなたを咄嗟に引っ張ってくれたみたい。今、検査中で」
  翔、聞くなりあわてて駆け出す。止めきれない看護師。

️同・検査室前の廊下(深夜)
  薄暗い中を走ってきた翔。検査室から出てきたのは、まりあ。
  向かい合って近づいていく二人。
翔「・・・よかった、まりあ」
  まりあ、頭に包帯はまいている。
翔「ごめん。ぼくが欲張らないで、最初から全力でやってたら」
まりあ「プロポーズしてくれてたら同じ病室で入院できたかもしれないのに」
翔「え?」
まりあ「私、決めた。今までは二回目の日が怖かったけどもう逃げない」
翔「まりあ」
まりあ「翔が無事でよかった」
  見つめ合う翔とまりあ。
翔「まりあはすげえかっこいい。いざとなったら絶対に逃げない強さを持って 
  るまりあがぼくは好きだ。まりあが大好きだ!どんな人生でもこれだけは
  譲れない、変わらない」
   二人、近づいて・・・。
翔M「ぼくたちは結婚した」
  
️街の中(数ヶ月後)
  手をつないで歩いている翔とまりあ。
  カフェの前で足を止める。店内をのぞくと休業で誰もいない。
翔「まさかの三回目だ」  
まりあ「三日もあるとどうでもよくなってきちゃうね」
  まりあ、確かめるように指折数えている。
翔M「不思議なことは続いていた。でも、同じ日が三回続くと人間は飽きてく
  る。リハあるなしもどうでもよくなる」
翔「じゃ、また家に戻ろうか」
まりあ「うん」
翔M「同じような日が続く。それが幸せってことかもしれない」
  歩いてく二人の姿。
  カフェの看板には「本日休業」の文字がある。
                            (終わり)

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