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🟦半導体サプライチェーンの影響

 ウクライナ危機による半導体サプライチェーンへの影響、回答企業の57%が材料価格高騰を懸念していることが明らかに

https://www.semi.org/jp/news-resources/press/20220420

🟦半導体サプライチェーンへの影響

 半導体の業界団体SEMIは、ロシアのウクライナ侵攻が半導体のサプライチェーンに及ぼす影響について調査結果を発表しました。製造工程で使う希少ガスや希少金属の供給が不安視され、回答企業の57%が材料価格の高騰を懸念しています。自社で取り扱う材料に関して3割強に当たる8社が「影響が出そう」と回答しました。半導体メーカーは数カ月分の在庫を確保しているものの、事態の長期化で製品値上げや供給減につながる可能性があるとみています。
 ロシアは半導体消費量は、半導体市場全体の4.47兆ドルのうち約503億ドルで、つまり世界市場の0.1%程度となります。ロシアへ半導体輸出の影響は大きくないが、半導体材料の安定供給は懸念となっています。

🟦価格高騰懸念はネオンとパラジウム

 価格高騰を懸念する具体的な材料は、ネオンやクリプトンといった半導体製造用ガスや、パラジウムなど希少金属を挙げる回答が多くを占めました。

ネオン

 希ガスであるネオンは、半導体の露光工程で使うレーザー光の発振に用いられます。半導体に使用するネオンの年間の世界需要は約7億リットルで、世界生産能力の約7割をウクライナが占めます。2014年のロシアによるクリミア侵攻時には、ネオン価格は最大600%上昇しました。
 希ガスは地上の大気中にわずかしか存在せず、空気から希ガスのみを取り出すの生産効率が悪いです。そのため、ネオンは製鉄所に酸素や窒素を供給する装置からの副産物として製造されています。ロシアの製鉄工場の副産物から、ウクライナ企業が精製し、海上輸送でウクライナ南部のオデッサから黒海を経て需要地に届きます。
 ネオンの日本のロシア・ウクライナからの輸入比率は6%程度で、日本国内企業は在庫も抱えているためすぐに影響が出るわけではありません。台湾でもネオンの在庫は半年以上あり影響はすぐには出なさそうです。

パラジウム

 レアメタル(希少金属)のパラジウムは、半導体のリードフレームのめっきに使われます。パラジウムの年間総需要は311トンで、8割超が自動車の排ガス触媒に使われます。ロシアはパラジウムの生産能力の43%を占めています。
 国内メーカーのルネサスではパラジウムの供給不足リスクに備えて、調達先の部材メーカーと協議を始め、ロシアではない他国産地からの調達に切り替えるなど、代替手段を検討することを要請しています。

🟦まとめ 

ウクライナ侵攻への半導体サプライチェーンへの影響、ネオンとパラジウムの材料価格高騰を懸念

 半導体の材料よりは、天然ガスなどのエネルギーのほうが影響が大きそうです。

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