チェックポイント

1度棚のものを全部ひっくり返して、ひとつずつ整理していく。ゆっくりと時間を掛けて。
全部の思い出が蘇ってくる。楽しかった事やしんどかったこと。
なにがなんだか分からなくなってくるけど少しずつ、丁寧に、心のどこかにしまっていく。
思い返してみればいつも与えられる側は無くしてからでしかありがたみに気付けないし、与える側はそのうち限界がくる。寂しいものだ。

人は臆病だから、嫌われるのを怖がる。
人は臆病だから、他人への優しさで自分を美化する。
僕自身もそうなのかもしれない。
優しさとしてやってきたことは相手に取ってどうだったかなんか分からないし、どこかで自分を綺麗に見せるためにやってきた事なのかもしれない。
自分の事を棚に上げて自分が正しいように思い込んで、後から振り返って自分を責めないように取り繕っているんだ。

あの子の優しさが好きだった。笑顔が、声が、一緒にいた空間が、気をつかえるけれど空気の読めない馬鹿なところも全部含めて好きだった。
いや、今も好きだ。大好きだ。
でも知れば知るほど目を瞑れないところや、今まで目を背け続けていた嫌な部分も見え始めて、これがもし見返りのある感情ならずっと注ぎ続けられたかもしれない。
振り返ったら苦しくて。先を見ればそこには何も無くて。
出せるものは出しきったし、叶わないのはきっと前の彼がいるからだなんて思い込むことで自分の行動を正当化していた。
「ここまでやりきったんだから。きっとこの先で、、、」
なんて映画じゃないんだから。
結末の見えない映画なんかずっと見てられない。
でもどうしても夢を見たかった。目を覚ましたくなかった。自分を騙して、自分の中の君を汚したくなかった。
僕自身のエゴであり勝手な決めつけでしかなかったのかもしれない。
完璧な人間なんていない。そんな事も分かっている。きっとこうなるって事も少し前から気付いてもいた。けどやっぱり現実を目の当たりにすると想定外なんて思っちゃったりして、裏切りなんて勝手な言葉が先走るけどそれは自分の中で留めた。

もう少しだけ頑張ってみる。走ってみる。
今度は君のためじゃなくて自分の気持ちのために
後々振り返ったときに自分が自分を責めないように、自己満足と言う優しさを注ごう。
君がそうしたように。

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