見出し画像

学校行事の中止について


【妹尾氏の疑問】
今日取り上げるのは、教育研究家の妹尾昌俊氏が書いた記事です。
全国20の政令指定都市と東京23区のうち、12の自治体が小中学校の運動会と文化祭、修学旅行のうち、いずれかを「中止」もしくは「中止を検討している」
という事実を挙げたうえで

疑問1:本当に選択肢は「中止」だけなのか?
疑問2:授業時間の確保ばかりが重視されていないか?
    協働的な学びの場である行事を犠牲にしていいのか?
疑問3:子どもたち不在で進めていいのか?

という3つの疑問もとに記事を構成しています。

【どうして中止にするのか】
妹尾氏の記事に引用されている資料から、運動会などの行事を中止する理由として

・児童生徒の学習の遅れは顕著で、練習などに時間を要する運動会より、通常の授業を優先 する必要があると判断した。
・新型コロナウイルス感染拡大防止のため
の2つが主な理由として挙げられています。

また、文科相は以下のような通知を出しています。
「新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業に係る学 校運営上の工夫について(通知)」(https://www.mext.go.jp/content/000051148.pdf)
(2)各教科等の指導における感染症対策について 各教科等の指導については,以下に掲げるものなど感染症対策を講じてもなお感染の可能性が高い学習活動については行わないこと。

音楽科における狭い空間や密閉状態での歌唱指導や身体の接触を伴う活動 ・家庭科,技術・家庭科における調理等の実習
・体育科,保健体育科における児童生徒が密集する運動や児童生徒が近距離で 組み合ったり接触したりする場面が多い運動
・児童生徒が密集して長時間活動するグループ学習 ・運動会や文化祭,学習発表会,修学旅行など児童生徒が密集して長時間活動する学校行事

「感染予防」「学習の遅れを取り戻す」といった観点から、運動会などの行事の中止を検討している自治体もあることがわかりました。それに対して妹尾氏は、「選択肢は中止だけか。」「運動会などの特別活動のもつ教育的な意義を考えた上での判断か。」と問いかけているわけですね。

【最後に】
感染予防や学習の遅れを取り戻せすことを考えると、少しでも授業時間を確保すべきだとする考えがありますが、運動会や文化祭などの行事が中止になると、教科の学習で1日の時間割が埋まることが考えられます。例えば、秋に運動会を開催している学校では夏休み明けの授業の中に1日数時間は運動会の練習に充てられる時間が入って来ます。「普通の授業の方がいい。」という人もいるかと思いますが、教科の学習以外の時間がちょうどいい息抜きになっていた人もいるのではないでしょうか。
それを考慮すると、単純に「運動会無くなって授業の遅れ取り戻せるね!」とは言うべきではないのかもしれません。
学校で学ぶことのできる「勉強以外のこと」とは一体何なのか、今一度学校の役割を考える時期なのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?