泥土梨夢

水が降ってくる
夜想(野草)
森の奥から
呼び声
it calls your life
or

タイを正してソックスにそれが撥ねる
この制服で
濡れた樹間木々のあいだに入るとは
とても佳いもの
なにかに呼ばれ
 呼ばれたいという欲望
  希え
   みちびかれていたい
    この私の意思など
          いらない

露営のともしびが
幻のすがたを照らし
わが思いしずしずと
樹間にのぼる

ギヨーム・アポリネール『露営のともしび』
訳・堀口大學

泥中へしずんで還らない(帰らない)
もう十分だ もうなにも求めないから、許してほしい この糸をあざやかに裁ち浮遊する その歌のなかへ 壜詰めしたらもうなにも変わらない ただそこに満たされているまま、ああ偉大なる主

ごめんなさい、ごめんなさい、ほんとうはあなた様を望んでいるわけではなかった、信仰ですらなかった、世界の再生や破滅、悲願の成就、超越する威光、なにひとつ違った、わたしは、わたしを手放してゆるされたかった、しもべ、信徒、従者
いいえそのうちのどれでもなく、なにもできない木偶となって、それこそを正として、わたしは正しいものとして、自我に靄をかけられるほどに請い・焦がれることができたならば、わたしはきっと、いや、もうそこにわたしは


《daydream》

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?