いくつもある橋

「攫われないようにね」

紅い波に
つれていかれるよ

いつでも待っている
いくつもの手をのばして

かえろうか██の果て
彼此の滲んだこのあわいに
赤赤と声の跡だけがのこる

以下、memorandum

かえらない過去を待つ 帰ってこないとわかっていてなにを待つか やっぱり未来なのかな あーなんかちがう 来る/来ない可能性どっちも待つ? いや待っている間結果が出ることはない(世界が決まらない)、来たらそこで終わりだ 大事なのは、「来なかった」が確定しないことではなかったか? 来なければ永遠に待てる、わたしたちが待つのをやめなければ。

「わたしたちはいつでも一緒にいる
 互いの眼には見えないだけ」


「おばさま、田村のおばさま。暖かくなったら、また、きっと、いらっしゃい。春になっても、あたいは死なないでいるから、五時になったら現われていらっしゃい、きっと、いらっしゃい。」

室生犀星『蜜のあわれ』 四、いくつもある橋 

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