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もしもネットがなかったら5

「あしたまでにコンテなんて無理。無駄。無謀。」「そこをなんとか。」「なんともならんよ。だいたいなんで明日までなの?どうせ寝かしてたんでしょ?それそっちの都合だよね。」梅蘭のかたやきそばをガツガツ食べながら、正論をガシガシぶつけてくる。ただ、これはなんていうか、様式美であって、最後にはやってくれることは分かっちゃいる。ただ、人間らしいやり取りを経て、自分の意思で、しょうがないからこの無能な営業を助けてやるか、という気持ちで動きたいだけなのだ。ああ、めんどくさくて、かわいくて、チョロい奴だ。
「で?なんの商材だっけ?」「車の部品会社のリクルート広告」「リクルート?」「要は就職したくなるような広告」「免許ないんですけど」「就職はしただろ?」「入る会社は間違ったけど」「問題ない。だいたいそうだ」「ターゲットは学生ね」「クルマの未来を描いてほしいらしい」「ふーん、本当にそれで入りたくなるもんかなあ」クライアントのオリエンに疑問を抱いた時点で、その仕事はそいつのものになる。

「もっといい方法があるよ」

ほら。

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