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引越したらすごくよかった話

ゴールデンウィークの初日に引っ越したら、めちゃくちゃよかった。その良さというのはなんだか多層的で、物理的に広くなったこととか、便利になったことといった、部屋そのものの良さだけじゃなくて、精神的にも、生活習慣においても、もしかしたら、働き方にまで良さが影響しそうなくらい良かったので、良かったという話をします。ごめんなさい。ほぼ自慢です。それくらい良かったんだわ。

物件探しで、賭けに勝つ。

物件探しには、賃貸物件検索というアプリを使った。スーモとかアットホームとかの物件検索会社すべての情報をまとめて見られることや、家賃、広さ、駅、そのほかの諸条件をわがままに打ち込んで、間取りで比較しながら探せるのが便利で、半年くらい前から毎日のように見続けていた。

間取りを並べて比較できるのが便利。

住みたい駅をいくつか選択できて便利。

いい物件を見つけては、現地集合で内見して、なんかピンとこず決めきれないみたいな日々を過ごしていた。乃木坂の日が当たらない部屋。都立大学の暗い部屋。中目黒の不思議なマンション。どれもなんとなくグッとこない。更新のことなど気にせず探し続けていたが、3月頭頃に、あっけなく今の部屋と出会う。

場所は恵比寿から4分。やたら広い。なのに安い。怪しい。

とりあえずメールを打ち、いつものごとく内見を希望する。さらに次の日の朝に電話してみる。人は死んでないですよね?と聞いたら、「ちがうんですよ、正直ボクもひくくらい安いんですけど、実はね、オーナーが関西の億万長者で、恵比寿の家賃相場とか分からず購入した部屋なんですよ。しかもその息子が好き勝手リノベしてるんで、ウォシュレットついてたり、モニター付インターフォンになってたり、扉とかキレイだったり、もうね、めちゃくちゃお買い得です。ただ、今住んでる人が4月にならないと退去しないんで、内見なしでも決めるって人優先にさせてもらってるんですよ」とのこと。

出た。こういうセールストークで、なんらかの裏があるかも、みたいなことを一瞬思ったけど、もう条件が良すぎて、すぐ言ってしまった。「わかりました。もう決めるんで、どうしたらいいですか?」

連帯保証人の印鑑証明、敷金礼金契約手数料などなどの振込、鍵の受け取りや引越し業者の選定などなどがトントン拍子に進む。不動産屋さんの担当は関西人の店長。LINEで連絡してくるので、対応が素早くて良かった。なぜかスイカペンギンのスタンプを多用する店長だった。

3月から、4月の間、仕事の企画を考えていたらいつのまにか間取りを考えていた、みたいな日々を過ごす。

引っ越したら、視点が変わった。

広告業界は、働き方改革が割と本気で進められている業界だと思う。それまでどれだけ深夜だろうが打合せは続き、プレゼンのための映像編集は朝まで続き、提案した企画はことごとくクライアントからの修正が入った。しかし、それも変わりつつある。打合せは早く切り上げられ、編集は最低限に、クライアントは1案でも納得して仕事を前に進める。自分がプランナーからディレクター的になって直接戦略ごとプレゼンするようになったことも影響してるかもしれない。働き方が変わった。会社以外のプロジェクトや、遊びにも目がいくようになった。(もともとそういう傾向はあったが、加速した)

長々と仕事関連の話をしたが、言いたかったのは、こういうこと。今までは寝られればいいというゴミのような部屋に住んでたのが、広めの部屋とゆとりができた時間で、「生活をしよう」という気持ちになってきたのだ。服や食といった、外の消費だけじゃなくて、家電とか、食器とか、植物とか。

皿やコップをひとつずつ、気に入ったやつだけ買い揃えるのが楽しい。まだ買ってないが、植物を見るのが楽しい。なんとなく相場も分かってきた。街を歩けば、自転車や植物や食器や服など、生活を楽しくするものが溢れている。旅行でお土産をほぼ買わないような乾いた人生だったけど、これからは何かしら買う人生になる気がする。

人が集まると、自分が育つ。

新しい部屋には、人が遊びにきてくれるようになった。掃除もするようになった。というか、型落ちのルンバを導入した。スケジュール機能がついてるやつで一番安いの。ルンバはかわいい。こいつのために片づけしようと思うくらい。玄関で力尽きていた時はビビった。人が来るといろいろと足りないものを指摘してくれる。それまでトイレットペーパーだけで暮らしいていたが、それは「ひくみ」である。と言われた。犯罪ではないが眉をひそめる程度のマナー違反。その意識の低さをひくみと呼ぶらしい。うっせぇ、と以前の俺は思っていたが、今の俺は社会性をばりばりに身につけて、なんらかの平均値を把握しながら特異点を目指すんだなどと息巻いてティッシュを買った。生活の高み。

ホームパーティー的なものをやったりもした。といっても、みんな来た人がやってくれた。ある者は手巻き寿司の桶を持参で。ある者はシャンパンを小脇に抱えて。ある者は高級醤油を持って。そしてあるものはメッセージ入りのケーキを持って。なんて大人なんだ。彼ら彼女らにはホームパーティーにおける「高み」が身についているのだ。俺はというと屋上を案内して、米を炊いただけである。皿とコップもいただきました。ふきんも。高みをめざしたい。

埼玉かどっかの古墳近くの工房でつくったはにわを設置して部屋が完成した。

そうやって、引っ越したことによって、豊かな暮らし、生活の高み、文化的かつ社会的生活を営んでいこうと決意したところでゴールデンウィークが終わろうとしている。引越しは連休前に限る。用事と買い物がたくさんできて、非常に良かった。今一番言いたいことは、植物ってどこで買えばいいんですかねってことです。

病院の屋上的な感じ。洗濯物が干せたりする。

ひっこし、すごく良いです。
良かったです。

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