年収1000万は稼ぎ損なのか?

与党が決めた「未来応援給付金」に所得制限が付いたことで、あちこちから不満の声が上がっている。Twitterでは「#所得制限反対」のタグとともに様々な問題点が挙げられている。

で、結局のところどうなんだろ?所得制限ってどうなの?

ということで、お金の勉強中の私が調べてみた。

会社がくれる給料からは色々な金額が差っ引かれて自分のところに「手取り」として届くのだが、その差っ引かれる税金を計算するときには、必要経費として給料の一部が「控除」、つまり差し引かれている。扶養控除とかいうアレの類ね。

で、
①年収700万、専業主婦+17歳と22歳の子
②年収700万、専業主婦+小学生の子2人
③年収1000万、専業主婦+17歳と22歳の子
④年収1000万、専業主婦+小学生の子2人
という4パターンで試算してみた。

ちなみに①は財務省のHPの例をそのまま引用させてもらった。
なんで子供の年齢がこの設定なのか疑問に思う方もいるかもしれないが、おそらく「扶養控除」「特定扶養控除」に該当する子がいる方が控除額が大きくなり、税金が安くなり、「ほら税金はそんなに高くないですよ」と見せられるからじゃないかと思う。
(普通は国の出す「標準世帯」って夫+専業主婦+小中学生2人よね?)

で、その「控除」と控除後の「課税所得」(税金の計算の元となる所得)が以下。それぞれ一番上の紺色部分が「課税所得」、その下は諸々の控除。

それぞれの課税所得は
①228万
②329万
③538万
④639万
となる。

それじゃ、それぞれの税金は?というのがこちら。

①と③、家族構成が同じで年収が300万アップすると
税負担が約83万アップ。

②と④も、家族構成が同じで年収が300万アップすると
税負担が約93万アップ。

300万アップしても、200万ちょいしか手元には届かないのね。。。


と、ここで終わってはいけない。
年収1000万問題は所得制限掛けられていろんな手当がもらえなくなるという問題がある。そこも調べてみる。

例えば、高校生がいると年収590万までは私立も公立も実質無償化。
年収910万までは公立なら実質無償化。

児童手当は年収960万程度までなら受け取れる。月額1万円。
それを超えると特例給付として月額5千円。

医療費無償化は、多くの自治体は未就学児のみ対象。子育て支援充実している自治体では小・中学生も無償化だが、例えば東京市部の自治体では小学生以上は所得制限あり。
(ここでは2か月に1回通院、診察と薬代で3000円と仮定)

(ここでは保育園児はいないが、2歳までの保育料も所得によって差がある)


小学生2人がいる場合
年収700万→1000万になると、給料の額面は300万アップだけど、負担も109万アップ。

高校生、大学生の子がいる場合
年収700万→1000万になると、給料の額面は300万アップ、負担も95万アップ。

そしてこの先も、収入が上がればその分税負担は増える。ざっくり収入アップ分の3割(所得税2割、住民税1割)は税金に消える。

3割消えても7割残るんだから、手取り収入はアップする。
ってことは「稼ぎ損」とまでは言えないのか。。。?

いやいや。
頑張って働いて、年収700万から1000万になって、いっぱい税金も納めて、頑張ったんだから少し広い家に住みたい、いいもの食べたい、子どもにいい教育受けさせたい、って思っても、プラス300万の暮らしはできないわけだ。
年収590万以下の家庭が「高校は実質無償化だから公立でも私立でも好きなとこ行きな♪」って言ってる横で、「私立は3年間で300万近くかかるのか。。。」と唸るわけだ。
共働きで夫婦400万ずつ稼いでる家庭が「給付金10万だね、うちは2人分だから20万ね♪」って言ってる横で、「うちにはそんな金来ないよ。。。」と心の中で舌打ちするわけだ。

少子化対策、子育て支援、未来応援。。。
本気で思うんなら、所得制限とかセコいこと言わないで、所得チェックの作業に960億円も税金使わないで、パーっと全員に配ればいいのにね。
やらないってことは本気で少子化対策なんてする気がないってことよね。

(まだまだツッコミどころ満載なので、次回に続くかもしれません)


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