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「必ず2倍以上の力を発揮して成果を出すの男」の話

突拍子もないタイトルですが、これは新卒採用で入ってきた

私がコンサルの前に勤めいていた会社は、ベンチャー企業で、採用活動も活発だった。新卒採用も同様である。




ビックマウス学生


「今の新卒やばかったよ笑」

ある日昼食にいった時、
食事中に仲良くしている人事の同期からニヤニヤしながら言われた。

新卒の面接は、本当に色々な人が来る。
数字に強いと豪語する学生、この資格を持っていると自慢げに話す学生。
熱血体育会大学生。本当に様々だ。

その学生に対して同期は、
「どうやって弊社で結果を出しますか?」
という質問をしたらしい。

その学生の答えは、
「私はここぞというときなら、必ず2倍以上の力を発揮して成果を出します。信じてください。」

そう答えたらしい。

よくいるビックマウス学生だ。

普通であれば質問に論理的に答えられなかった時点で、
採用されないと思っていた。
営業志望なら尚更だ。

「受からないだろうな。」
私はそう思っていた。

ですが、年が空けて4月。
その信じてくんは、営業部で採用されていたのだ。

短髪に焼けた肌の体育会系の子だった。
私と同じ部署に配属になったこともあり、
彼と関わることも多かった。

営業マンは自社サービスに詳しい必要がある。
しかし彼は、残念ながら飲み込みが遅かった。
扱う商材が無形で複雑なものであったのも相まって、
信じてくんの説明は、中々理解してもらえなかった。

「信じてくんよ。100%結果出せるんじゃなかったのかよ。」
と私は内心思っていた。

そんな矢先、彼の顧客で取引の話しが進みそうだという。
しかも金額的にも大きい取引だ。

「ちょっと、自信ないっす」

信じてくんは、不安そうな顔をしている。
おいおい、大丈夫かよ、100%どころか、半分の50%も出やしない。
話がちがうだろ。

彼にミスがあれば、お客さんは怒るだろうし、この取引が成立しなければ、
大損こくことになる。

信じてくんからも相談されていた私は、上司の指示もあり、
仕方なく信じてくんのサポートをすることにした。

その後、しばらく信じてくんの仕事を気にしながら、自分の業務をこなしていたとき、電話をかわってほしいと言われた。
サービスの説明が上手く伝わらなかったらしい。

あー、怒られるわ。と思いながら、電話をかわった。

そこでようやくわかったのだ。
ここぞというときに必ず100%成果を出せるといっていた本当の意味が。

お客さんは、怒るどころか、普通の声のトーンで、むしろ、はにかんでいるようだった。おまけに契約前提で話が進んでいた。

想像してみてほしい。
携帯を買いに行って、店員が携帯のスペックを説明できなかっらどうなるだろうか。
すぐに別の店員と話させてくれ、と怒るだろう。
ましてや契約なんてしないはずだ。

なのに、お客さんは信じてくんを気遣うような発言もしていた。
それだけ信じてくんは、お客さんに気に入られていたのだ。

よく考えてみると、それは僕も同じだった。
僕も彼を気遣って電話に出ている。
普段なら僕は、理解力のない人や、やってもないのに人を頼る人に厳しい。
だけど、そうならなかったのは心のどこかで彼を応援していたから。一緒に働く上で、彼がめちゃくちゃ真っ直ぐで、熱心で、誠実だとわかったからだ。

彼が面接で言い放った、
ここぞというときには、2倍以上の力を発揮して成果を出す。
は、本当だった。正真正銘、100%の男だった。

周りを巻き込む力、人に気に入られる力、
本人はきっと意識してないんだろう。
でも社内の人間は、皆なんだかんだいいながら、彼のサポートをしていたし、飲みに行ったりしていた。

私はそんな新卒の彼から素直に本気で仕事をすること
人を頼る大切さを学んだ。




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