見出し画像

”禁書”のコーナー

先日ESLを開講している地域の学校の図書館に行ったときに衝撃的な出会いがありました。
入口近くでおしゃれに展示された本のコーナーに立ち寄ったところ・・・
そのコーナーは名付けて「禁じられた書/banned booksのコーナー」でした。
そこでなんと私が作業中のBGMにしているGrace & FrankieのSeason1 Espisode 6で登場した"Gay penguin book"が置いてあるではないですか。
思わず「わー!」と大きい声を出してしまいましたが、この劇中に登場する本が目の前に現れるとは思わず、興奮しESLの宿題を後回しにしてさっそく読み始めました・・・せっかくの機会なので!

内容はNYにあるCentral Park Zooにいる2羽のオスのヒゲペンギン”RoyとSilo”が仲睦まじく行動してカップルになり、営巣するようになったので飼育員さんが他のカップルが産んで放置された卵を渡したところ見事抱卵して卵が孵り、子育てをする家族になったという実話に基づいた子供向けの絵本です。
なんと!実話だとは知らずに2重で驚きと感動でした。
タイトルも『and tango makes three』です。訳すとどうでしょうか『タンゴが2人(羽)を家族にした』みたいな感じでしょうか・・・
しかもこの2羽にはwikipediaのページまであります・・・!

『and tango makes three』
作者あとがき

Tangoを立派に世話したあとにはしばらくしてSiloがメスとカップルになったことがwikipediaには書かれています。
野生のペンギンにおいても同性カップルは観察されるそうなので、特段珍しいわけではなくしかもドイツの動物園にも同性カップルのペンギンはいる/いたそうです。

いずれにしても驚きすぎて図書館の司書さんに「なぜ、どこでこれらの本がbanされているのか」を質問するのを忘れたので明日にでも聞いてみます。
他にも『ライ麦畑でつかまえて』や『Harry Potter』も並んでいました。ライ麦~は特にキリスト教会からの反発で禁書になっていることは知っていましたが、ハリポタも・・・?
ハインリヒ・ハイネが言った「本を焼く者はいずれ人も焼くようになる」という言葉を禁書という言葉を見るたびに思い出します。
焼いてはいませんが、触れる情報や刺激を統制しようとする動きは自由を保障する動きとは真逆を向いているわけです。
国を束ねる大統領が聖書に手を置いて就任の宣誓をすることからもとても宗教色の強い国づくりがなされているアメリカは、別に「なんでも個人の自由~」という国ではないことを日常でも思い知ります。
他人が誰を好きになって関係を築こうとするのか、それさえも制限したがるとは・・・恐ろしいほど自由がないように感じます。
そろそろ結果が出そろってきた中間選挙でも人工中絶の権利を選挙の最大の課題とみなす割合が高いですが、CNNのキャスターも「これ(人工中絶)は女性個人個人の基本的な権利でありヘルスケアなので本来は争点になることではない」という趣旨の発言をしていました。
まあもし「他人の自由を奪うことも私達の”自由”だ!」と言う人がいれば(いますが)、子供が泣きだすような顔をしていることでしょう。

 ちなみに今回の中間選挙でCNNが出口調査で実施したアンケートの結果「下院(The House)の選挙で以下5項目のうちどれを最大の課題だと思いますか」は以下の通りでした。
 INFLATION 31%
    ABORTION 27%
    CRIME 11%
    GUN POLICY 11%
    IMMIGRATION 10%