自戦記(3)

こんにちは。KYです。

とりあえず近況報告から。

はい。このツイートの通り、三鳳での活動を、大学受験が終わるまで休止することにしました。
三鳳は楽しすぎて時間が溶けすぎるんですよね……。
ずっと受験まで打ち続けるわけにはいかないので、このタイミングでの引退となりました。
今後もTwitterはしばらく続けますし、noteも三鳳の振り返りとして時々更新していきたいと思います。

今回からは、三鳳で打った707半荘の中で、思い出に残る数半荘を順番に取り上げていきたいと思います。

初回の今回は、三鳳屈指の強豪2人と対戦した牌譜を振り返っていきます。

http://tenhou.net/0/?log=2020041518gm-00b9-0000-4bff8412

今回は非常に長い文章となるので、見出しを設定することにしました。
最初のの「穏やかな立ち上がり」パートは、ほとんど序盤の字牌の切り順についてしか語っていない(≒「押し引き」が全くない)ため、無味乾燥な文章となっております。また、「麻雀は実力ゲー(笑)」パートに関しても、たいしたことは書いていません(直球)
なので、「11000字も読めるわけないやろ!!」という方は、「クライマックス(1)」パートと「クライマックス(2)」パートを読んでいただければと思います。

南家スタートです。

穏やかな立ち上がり

かなり整っている3シャンテン。
三鳳村に入りたての頃は中から切っていたような気がしますが、経験を積むにつれて、役牌の扱いについての考え方が少し変わってきました。
中を残す理由の1つは、自分が重ねた時に嬉しいということですね。昔は「まあ嬉しいっちゃ嬉しいけど、端っこ切ってリーチ目指したいから他家に重ねられてる前に切っちゃった方がよくね?」という考えでした。しかし、ここには少し考え方に誤りがありました。それは、
「中鳴かれるのって嫌?」
というポイントです。この局はドラが發ですね。ドラが字牌の時は使いづらいというのは説明する必要もないでしょう。
仮に中を鳴かれたとします。その手って何点ですか?という問題です。当然發がトイツやアンコのパターン、赤赤北などのパターンはありますが、真ん中の数牌がドラの時と比べて「インスタント満貫」のできやすさは格段に下がっています。また、序盤だったら安くてバラバラで鳴けない場合、重なっていなくても、数巡後に切れば鳴ける形になる可能性も上がります。
自分の手がたかだかドラ1であるため、安手で局を進めてもらえるのならそんなには問題ないということです。
また、ドラが發であることは、自分が中を重ねた時に仕掛けやすくなるということにもつながります。リーチの平均打点が少し下がるため、自分が安手テンパイの時に少しだけ押しやすくなるということですね。

この考え方が絶対に正しいとは全く思っていません。ですが、サンマのセオリーが確立されていないので、ある程度は自分でシステム化して打つのもいいのではないでしょうか?

誰でもあがれる3900をあがって次局へ。

整った2シャンテン。いいですね。日頃の行いの成果でしょうか。
これは「役牌アタック」というよりは、純粋な「受け入れ枚数最大化」ですね。
たまにこのような手で数牌を切ってしまうプレイヤーがいますが、非常にもったいないと感じます。数牌は横に伸びるので、純粋な受け入れ枚数が字牌と比べて3倍以上あります。
親でかなり先手を取れそうなこの手なら、先制リーチドラ1に向かってまっすぐ進みましょう。

とはいえこれは残すかなぁ…
東を重ねれば簡単に親満、親ハネクラスが見えてきます。
どちらにせよかなり先手を取れそうなら、少しは決定打に向けて欲張っていいのかなと思います。
1sと1pの比較は難しいですね。純粋受け入れは3p受けがかぶっている分1p切りの方が広いのですが、3pを引いたときにピンズが135のリャンカン形になるメリットを重視しました。
構想通り3pも引いて、またもや誰でもあがれる2000オールで連荘。サンマは親番の平均局収支が+1000点ぐらいあるので、親を続けられるのは嬉しいですね。

またもや整った2シャンテン。やはり日頃の(ry
これはオタ風から。抜きドラ2枚でめちゃくちゃあがりたい手です。9mと西の比較では、西を鳴かれて少しでもアガリ率を下げられることを拒否します。
また、この手は整っているとはいえシャボ受け、端牌が多く、受け入れ枚数がそんなに多い手ではありません。ということで、白を重ねる速度上昇が大きいと見ます。

これはもったいない部類に入るかな?
南と8sのシャボ部分が相当ネックだと思っているので、役牌のスピードを重視しましたが、純粋に受け入れ最大の字牌切りがいいように見えます。
下家に満貫ツモられで次局へ。

それなりに整っている2シャンテンです。
純粋に1翻差を大事に南から切ります。また、白か中が重なったら89sを払って自然に高打点を残しながら5ブロック手順を踏めますね。
ここで考えるのは發が出た時に鳴くかどうか。ペンチャンカンチャン残り、ヘッドレスでシャンテン数変わらずなのでスルーします。
この後親リーが入り、上家もほぼテンパイ確実、自分も化け物手1シャンテン(現物0)と全面戦争モードに入りますが、上家の満貫ツモで次局へ。

日頃の行いがいいはずなのに微妙な配牌です。
ドラ無し、愚形多め、6ブロックというどうすればいいのか分からない手ですね。
ソーズ一気通貫を逃すのは痛いのですが、ダブ南やカン3pは犠牲にし辛く、9mや西落としはダブ南が重なった時のスピードが落ちるため、124sから1か4を切ることになります。
手牌価値が非常に低いため、親の現物の1sを残す4s切りもありますが、ただでさえ重い手のスピードを遅くすることもないかなと思いました。安牌は9mや西があるので困ることは少なそうです。
ただ、同卓者2人が三鳳屈指の強豪であることから、「河を作ってダマテンを装う」という戦術も有効になります。そういった点では4sの方が優秀なので、定量的な比較は難しいかなと思います。

親の1s→5pは相当早い手が入っていると見て間違いないと思います。
早い役牌シャボに打つのもめんどくさいですし、リーチを打たれて打点が上がることを防ぐために役牌を放り投げます。

親が1mをポンして打2p。早いと言っていた親がこのような挙動をするのは恐ろしくて仕方がないですね。東アンコの14pとかありそうですね(笑)
自分は9mがアンコになったとはいえまだまだ遠い手。きちんと手を崩さずに現物を合わせます。

白ポン打1p

役牌が絡む可能性が高そうな仕掛けに白を切ってきた下家もそれなりの手は入っているのでしょう。
6pがトイツになり、ほんの少しだけ色気が出てきました。さすがに切り順的にほとんど当たら無さそうな4pぐらいは行きます。
愚形は5p先切りで99.9%否定されます。
また、2副露しているため、トイトイの可能性が残っている手であることが多く、5pを先切りして47pを固定して6ブロックに構えることは相当少ないでしょう。同じ理由で7pに関しても行きやすい(愚形に当たることはありますが)ので、粘れるだけ粘ってみます。

ちなみに下家が白を切った瞬間の他家の手はこのようなものでした。
南を切って安く済ませる思惑は外れたものの、早い手の場合は役牌トイツのケースが少し増えるというイメージは偶然当たっていましたね。
親の2600オールで連荘されます。

日頃の行い良いはずなのにな…
自分の都合で一番いらない牌を切る感じでいいですかね。パッとしませんが、西が重なった時にはやる気が出ますね。
他家にあがられることが嫌なので、手の進みようによっては役牌を絞ってもいいかなということで9mを切りましたが、正しいかどうかは全く分かりません。

第1打に切った9mを引き戻して發切り。
宇宙打牌ですね。1切れとはいえ他家が切っていない牌を安牌として見るのはマズい。
自分は安牌見つけ出しや手順読み、放銃率計算など、全体的に守備が苦手なため、意識して安牌を残すようにしています。ただ、これ安牌じゃないんですよね。もともと手が悪くアガリはほぼないとはきえ、重なった時のアガリ率が余りにも違いすぎるのでさすがに良くないですね。
役牌を投げ捨てていたら西が重なって、仕掛けに対して安牌のみを切って素晴らしいリーチを打つことができましたが、親にハネ満をツモられます。

満貫リャンメンを蹴られ、ラス争い濃厚の点数、この配牌と、やる気をなくす要素がたくさんあるのは分かりますが、これは雑になりましたね。
手牌価値は低いため、ほぼ不要な1s切りでいいと思います。東切りもありますが、一応ホンイツの種として残そうかなというイメージです。

得意のドラ先切りを発動します。ただ、これもかなり怪しいですね。
オリに回りたくはないけど中を消費したくないということで發を選びましたが、よく分かりません。こういったところもセオリーがないので感覚頼みですね。
全く手が伸びず、親の一人テンパイで次局へ。ヤミテンが入っていそうというだというのは分かっていたので、感覚としては悪くありません。

耐えた甲斐がありましたね。良い配牌です。
ライバルの西家には厳しく、東よりは西から打ちます。ただ、手が良いので、白を先切りしてもいいかなと思います。対局中は白を重ねた3900も逃したくないなという思いでした。
手が良いと言っていましたが、全く伸びず、19字牌を河に並べ続けていたら流し満貫で6000点を得ることができました。ただ、親がテンパイのため連荘は続きます。

クライマックス(1)

ここまで「何も考えずまっすぐ進めるゼンツァー」の意見や感想を語っただけでしたが、次の局の振り返りはスペシャルゲストに登場してもらうことになりました!

この局は、同卓したしゅらるさんと共に振り返っていきたいと思います!
三鳳で守備型の強豪を挙げてくださいと言われればほとんどの人が筆頭に挙げるのではないでしょうか。自分も最も尊敬するプレイヤーの一人です。
ということで、「一番何も考えていない打撃派」が「一番いろいろ考えている守備派」にいろいろ伺っていきたいと思います。

早速ですが押し引き問題です。
しゅらるさん視点で下家のゼンツァー(僕)からリーチを受けたこの局面、あなたはどうしますか?

ちなみに僕はパッと見押すかなと思いました。

以下はDMで教わったことを編集したものです。(敬称略)
僕「安牌が現物1枚、あとまあ7sぐらいで、3p切れば安牌増えるので押すかなと思ったんですがどうでしょう?」
しゅらる「押し引きの要素には以下のものがあります。
①良形or愚形→愚形(見た目枚数3枚+ソーズ変化)
②打点→ダマで約6000点程度
③相手の北枚数(≒打点)→子の抜き2リーチ。約11000点(データ本より)
④自分の点棒(35000基準)→+19200点のまあまあ離れたトップ目
⑤切る牌の放銃率→体感20%
⑥安牌の枚数→まあ2枚。2pとほぼ7s、跨ぎも切れると見るなら2s6sも
⑦親子→親から子
⑧巡目→10巡目
となります。」
僕「そうですね。意外と抜き2リーチって高いですね…」
僕「放銃率は残り筋7本(跨ぎ考慮せず)だと15%ほどになりますが、4sの跨ぎが通ると見れば5本になって20%弱になりますね。(データ本より)」
しゅらる「で、ここまでをまとめると、これだけ浮いてるトップ目で、6000点3枚待ちのために20%で11000を切る価値があるのかという話になります。
安牌の枚数は2枚と微妙ですが、いざとなれば4s→白の切り順を信じて2sや6sを並べる方がマシかな、という感じです!」
僕「対面の国士(ほぼ通る1s、少し微妙な東を切っている)に関してはどうでしょう?」
しゅらる「ケアしきれないかなという感じです。その分横移動の確率も上がりますし。32000横移動ならトップ終了できますしね。」
僕「ちなみにもし4sと白の切り順が逆で、7sが安全とは言えなければどうなさいますか?」
しゅらる「それだと迷います。多分テンパイに取りそうです。(安牌が増えるので)危険牌を引いたらすぐやめます。」
僕「実戦ではどのぐらいまで考えられていらっしゃいますか?」
しゅらる「③⑤以外は簡単に分かりますね。③も押し引き以外の部分でも使うので自然と頭に入っています。
⑤の放銃率に関しては、毎回筋の本数を数えて放銃率を算出するというのは実戦的には役に立ちそうもないのであまり考えないです。」

待ちはかなり悪いですね。確かにあまりあがれそうな感じはしないです(笑)。
打点に関してはこれはけっこう大事なので覚えておいた方がいいかもしれないですね。僕はサボってました。確かデータ本の中でアバンテスさんも「このデータ見るためだけにこの本買うまである」とかおっしゃっていたような気がしますね。超重要事項なので、全ては網羅できなくても、ある程度把握しておくことは大事なのかなと思いました。
3pの放銃率に関しては難しいですね。自分は体感15%弱と思っていたので、少し押し寄りになっていたのかもしれません。

意見をいただいた後自分の中で考えた結果、わずかにオリ有利なのかなという結論にはなりましたが、自分は実戦ではオリられなさそうだなと思いました。やはりしゅらるさんの冷静な押し引きは素晴らしいと再認識しました。

少し進んでこの手格好。

自分で1枚切っている中を掴んだところです。

僕「この瞬間はさすがにほぼ通る中筋6sを切りそうですが、17pが切れて4pが中筋になって打ちやすくなったこともあり、次に57sを引いたら通ってなくても中を切るということはありますか?(好奇の目)」
しゅらる「この点棒状況では流局直前にテンパイだったとしても、局消化の意味があって伏せ優位です。(データ本より)
実は南1-2も伏せで、南1-3に至っては流し満貫されているのでテンパイ料ももらえないため、なおさら伏せるべきだったなぁと反省していました。
ということで、どうせ伏せるので、1シャンテンキープにほとんど価値がありません。なので何を引いても(通っていない限りは)中は切りません。中切りは確実にマイナスかなと思います。」

完全におっしゃる通りですね。「ここで討ち果たしてしまおう」とかそういったことは、後手を踏んでいるこの状態から考えることではありませんね。
リーチに対しても全然通ってない上に、3sを押した対面もけっこうな確率でテンパイですからね。そのようなリスクは負えません。

ちなみにこの局の結果は…?

うーん…

自分なら32800放銃していましたね(笑)

しゅらるさんにはこの後のシーンでも語っていただきます。

では脇の役満ツモでラス目に落ちた自分の視点に戻りましょう。次局に行きます。

麻雀は実力ゲー(笑)

先ほどのちゃぶ台返しで少し離れたラス目になりました。ですがこの点差なら諦めるほどではありません。
この点差のまま親が落ちるとけっこうしんどいので早く加点したいところですが、細かく何回か刻むよりは一撃大きいパンチを決める方が楽だと思うので悩ましいところ。
で、点棒状況を踏まえて何を切るかですが、自分は南切りとしました。
この手格好ならそれなりに先生のリーチ北+1翻ぐらいの先制リーチが打てそうで、さらに他家に役牌を鳴かれてスピードアップされたくない局面です。
スピードアップを防ぐには、
①役牌先切り
②役牌ガン絞り
の2つの案が考えられますが、絞って進められる手でも点棒状況でもないため、素直に先切りします。三元役よりダブ南の方が嫌なのでダブ南から処理。

完全な実力のみの和了を決めます。ほぼ横並びで次局へ。

上家のしゅらるさんが牌を置く向きを間違えてらっしゃるので困惑していました。

冗談はさておき、この苦しい局面で何を切るか。
自分はチートイドラ4の1シャンテン、メンツ手なら満貫2シャンテン。
子の抜きリーチの平均打点は約6000点です。
仮に西家に満貫(2100,4100)をツモられたと仮定すると、南3の状況は、
東384
南401
西265(自分)

となります。この点数状況だと、ラス抜け(or延長戦)条件は、
①トップ終了
ツモ→トリプル以上
ロン→倍満以上
②トップ目で西入
ツモ→倍満
ロン→南家から12000
③2着目で西入
ツモ→ハネ満
ロン→南家から7700,8000
④2着終了
ツモ→なし
ロン→親から6400~8000
横移動→南→親の18000、親→南の12000、
⑤ラス目で西入
ツモ→なんでも~満貫
ロン→南家からの①~④の条件を満たさない和了
おまけ:親の500オールはもう一局続行

と、意外と何とかなりますが、横移動がハネ満以上であるため、アガらないとほぼラスという状況です。4翻30符であったとしても南家は40000点を超えてるので、「なんでもあがれば西入」にはなりませんね。
一方、ここで西家に5200は5400(ツモの時より1翻少なめに見積もります)を放銃してしまったとしても、
東405
南393
西252

となり、

①トップ終了
ツモ→トリプル以上
ロン→倍満以上
②トップ目で西入
ツモ→倍ツモ
ロン→基本的になし
③2着目で西入
ツモ→リー棒が出ないとなし
ロン→親に7700~12000直撃
④2着終了
ツモ→なし
ロン→南家から7700~12000
⑤ラス目で西入
ツモ→300,500以外~3000,6000(ただしハネツモの場合はほぼ横並び)
ロン→親からの6400以下のあがり

となります。ゴチャゴチャしてますね…
満貫をツモられた場合と5200を打った場合を比べると、後者の方がツモった時の条件が少しキツくなっています。
ですが、7700以上を出アガリできればどちらにしても(瞬間は)ラス回避できそうです。
これらを総合すると、「そんなに変わらない」と言えるかなと思いました。
もちろんすべての点数を想定できるわけではありませんが、基本的には、打ってもツモられてもほとんど変わらないのかなと思います。

ということで、この手格好なら迷うことなく押します。
何から押すかですが、七対子もメンツ手も残す46p落としが良さそうでしょうか。

そのどちらからかというのが難しいのですが、将来9pで楽に迂回できるコースを残すために6pから行きました。ただ、そんなには変わらないような気がします。
見事に5200に刺さり、苦しいオーラスへ突入です。

完全な実力リーチで8000点を得ることができました。
裏1だったので、一発で出ていれば12000だったのですが、そこまでの高望みはできないですね。

シビアなじゃんけん大会(西場)に突入です。

これははっきりとミスですね。西場であることを忘れていました。
1切れの自風の南を切るか、全員の役牌かつラス目のダブ西である西を切るかは分かりませんが、切る優先度は西>白、中となるのは明確です。

これもダメな一打ですね。
南を重ねたところで間に合っていないと見て、安全度重視で南を切りましたが、さすがに自分が重ねた時のメリットを重視すべきに見えます。
別に西(中)を片方切ったところでもう片方は残りますから、安全度の差は微差だと思います。どっちかと言えば西家の方が早く見えるので、ここであがれなかった時に相当しんどい状況になります。そのことを分かっていればもっとあがりに向かって貪欲にならないといけません。

さて、局面は煮詰まり、次のようになります。

クライマックス(2)

下家は白ポン、打1枚目6pです。

自分は役なしドラ3テンパイ。但し、切り出す5sは危険牌です。
下家に通っていない筋は、25p、14s、25s、36sとなります。
下家はさすがにテンパイでしょう。
親はどうか。まだテンパイはしていないことが多そうに見えます(下家のポン出し6pに合わせている、その後もほぼ安牌しか切っていない)が、流局までにテンパイするかもしれません。
ということで、できればテンパイ料を取りに行きたいところ。自分がノーテンで、自分以外の2人が流局時にテンパイだとラス終了になってしまいます。
さて、この煮詰まった局面、何を切ってどうしましょう?
①5s切りリーチ
②5s切りダマ
③1p切り
④その他
さて…?

実戦は、

無筋の1sをツモ切りました。
残りツモは3回。それまでに、14sを犠牲にすることで他の無筋を吸収しようという作戦です。14sが通れば、残り筋は25p、25s、36sとなります。

2pツモは、1p切りで役ありテンパイに取れます。
36sツモも、1p切りで役ありテンパイ。
25sツモは、中筋4s切りでテンパイを取ることができます。

ということで1s切りが正着

なわけがありませんね。
まず実戦で1sを切った理由に、「7sのノーチャンス見落とし」という信じられない理由がありました。5sがダブル無筋だと思っていた。これはひどいですね。こういうヒューマンエラーは本当に避けたいところ。

さらに、5sがダブル無筋だったとしても、1s切りはあり得ません。
「危険牌を勝負してテンパイを取れていない」こと自体がひどいのです。「どうせ1牌勝負はすることになるからいつでもいいじゃなーい」と言われるかもしれませんが、
・瞬間の放銃率が25%程度あるように見える(打ったらけっこうラスEND)
・2p引き以外はあがれそうなテンパイにならない
・2筋or2回危険牌を引いたらテンパイ取れない場合がある

ということです。
普通に考えて、「最後にテンパイを取りに行くために無筋を切る」って明らかにおかしいですよね。リスクとリターンが見合っていない。

とも言い切れないのでは?という話がありますが、それは後述。

さて、待ちに関する情報を拾って読みを働かせたいところ。
ここで、重要なポイントがあります。1pが最終手出しではありますが、前巡に3pをツモ切っているため、一番ありそうな122からの3切りは否定できますね。なので、2pがシャボで当たることはありません。
同様に2p単騎も、123pから3pを切ってメンツをぶっ壊したことになるのでない。
リャンメンはどうか。別に誰の攻撃サインもないのに、ラス目が1334pから1pを切りますか?
ということで2p待ちは否定できます。
なので、1p2pを切って迂回しやすいので、1p切りが正解となります。

なんてことはないですよね。(これは1p切りを否定するものではありません。)
下家の1pはスライド(空切り)のケースもあります。
当然25pが待ちでないケースであっても、安全度を考慮した空切りは考えられます。ですが下家の方は強豪ですので、当然25p待ちで1pを所持していたら(12334p)、25p待ちの匂いを少しでも消すために1pか4pを引いたら空切りするでしょう。
ということで、25pが通るというような勝手読みは捨てましょう。

画像を再掲します。

しゅらるさんにも意見を伺ってみました。

しゅらるさん「5s切りリーチです。
残り3回のツモでテンパイを取りきらないと終了の可能性もあり、外す余裕はなさそうです。
ロンならば確定トップ、ツモでも+1翻でトップ、満貫ツモでも次局かなり優位になります。下からの出アガリを逃すダマは少しヌルそうです。」

このアンサーがけっこうしっくりきます。
1p切りオリ、5s切りダマと比べると期待値的には得だと思います。

ですが、いろいろ考えているうちに自分の中で一つのひらめきが生まれました。

めちゃくちゃ悩ましいところですが、自分は1sツモ切りで問題ないんじゃないかと思います。
先ほど1pがスライドの可能性が高いのではないか?という話をしましたね。これをスライドと読み切ることができれば、3巡前に通した1sは、この瞬間は安牌になります。

下家は白ポン→6p手出し→6p手出し→1p手出しです。
1pを安牌として持っていた?そんなことはないでしょう。2個目の6pを切る時点で、6pは親には現物、南家には片筋でシャボには刺さらない牌です。6pの方が安全と言えるでしょう。
というわけで、1pは関連牌もしくはスライドとなります。
①1pが関連牌の場合
考えられるケースに、112、122、133、122234、134556、112344、アンコからの切り出しが考えられます。
先ほどの話で、112、122と133、122234は否定できます。
134556に関しても、自分から6pが全て見えてるためあり得ません。
112344。なくはない気がしますが、8pが全見えな以上、2個目の6p切りが空切りには見えず、不自然なケースが増えます。
アンコからの切り出しも、1pが見えている枚数によって否定できます。

ということで、1pが関連牌のケースはほとんどなさそうです。
なので、1pはスライド、よって1sは安牌と読むことができます。

とすると、残り筋が1本減るため、5sの危険度が30%を超えることになります。
いくらあがればほぼトップのリーチとはいえ、危険度30%牌を押してめくり合いにも勝つというのはかなり厳しいのではないかと思います。
それならば、「安牌を切ってテンパイを目指す」ことになるので、自然な一着となります。
ちなみに結果は…?

ドヤ顔オブザイヤー受賞作品ですね。

実戦の短い思考時間の中では1sが通りそうということは読み切れないので、5s切りリーチが無難かなと思います。
天才ならば別ですが、自分のような凡人は、あの局面で5s切りリーチを選択することができる能力を高めるべきなのかなとは思います。しかし、手出し1pに違和感を覚えることができたというのは少しは上達したのかなと喜ぶことにします。

ちなみに、この局でのしゅらるさんの手組について非常に参考になる局面があったので取り上げさせていただきます。

僕「ここで1m切りではなく6p切りを選択された理由は何ですか?」
しゅらるさん「ここで切るのは1mでも6pでも大差ないかなと思います。
ここで6pの理由としては、
点棒状況として「2人テンパイ流局でトップ」「ノーテンでも有利な点棒で西2ができる(体感期待順位1.85くらい)」「安牌あるからいつでも2着か流局を選べる」があって、
流局まで考えた時にかなり安全に行きたい状況です。
手牌的にどうせ3巡後くらいに切る6pなイメージで、それなら今安全に打っておこうという感じです。」

今5pが入っても2pは行けないとすると、自分が2枚持っている2pが通るケースはまあまあレアで、それならば1mがこの瞬間刺さる事故や、6pが下家にダマで刺さるという事故を避けた方が良さそうですね。
また、ここで6pを合わせてオリているように見せることによって、自分がひょっこりテンパイした時の3pの出アガリ率上昇が見込めます。
さらに、自分のオリを見せることによって、南家がテンパイを取らずに済むように誘導することができます。
親がテンパイである時に備えて、何も見せなければ南家はかなりテンパイを取りたい状況です。ですが、親がノーテンだと分かればオリる可能性が増え、期待順位が下がる満貫以上の横移動が起こる確率も減らすことができます。
自分だけがノーテンだと2000点払わないといけませんが、2人ノーテンならば1000点の支払いで済みますからね。次局の条件もわずかに変わりそうです。
ということで、自分も6pを切りそうです(後出し)

ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
内容に誤りがあれば指摘していただけると幸いです!

え?まだ1局残ってる?
そうですね。おまけとしてこの下に載せておきます。

2着目で親番を迎えますが、他家が「ツモ」と発声するとだいたいラスになります。頑張ってアガリましょう。

おまけ

この3sは、

鉄カンですよね。

どのみち、他家がトップ条件を満たすツモアガリをした場合、自分が放銃した場合はラスですよね。
しかも、自分はトップ確定に向けて打点が足りるかどうかまだ分かりません。
なので、ツモ回数を増やしつつ、ドラを増やしに行く方がいいです。
鳴かない理由がないですよね。

7s暗槓された時は死んだかと思ったけど
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

おわり

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