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きみはカフカ(ぽんぽこのカフカを聴いて)

ぼくはピーナッツくんが好きで、そのご主人様の妹である甲賀流忍者ぽんぽこのことも好きだ。

そんな彼女がゆるキャラグランプリ挑戦の際に公約としてあげたぽんぽこ自身のオリジナル曲を作る。

それが果たされ初の単独オリジナル曲「カフカ」が発表された


ぽんぽこは先んじてVtuberとして活動しはじめたピーナッツくん自身が当時の状況で現状はウケないと判断したところから、兄ぽこがお願いできる女の子として実妹をデビューさせたところから始まる。

初期の頃のぽんぽこは今のように動画主体ではなく、同時期デビューのにじさんじ一期生同様にライブ配信を行うスタイルをとっていたが慣れない配信と月ノ美兎を筆頭にどんどん数字を重ねていく周りとの比較もあったかもしれないがそもそも自己評価も低く、そこからくる自信のなさでピーナッツくんがゲスト(形式上現在も)として常駐することになるのも時間がかからなかった。

ただ当時から他と一線を隔す個性的なデザインと、ぽんぽこ自身の性格の良さから滲み出る唯一の雰囲気でそれを愛してやまないファンは多かった。


今回リリースされたぽんぽこのオリジナル曲「カフカ」の一節

慣れない景色だ、いつも。

不安なんだ、ホントのところ。

思い通りには上手くいかないよな。


僕自身も多くの人もここは素直に解釈したと思う。配信なんてした事もないし、自発的にはじめたことでもないVtuber。

慣れないことばかり、不安は募る一方でそれでも続けていく中で思い通りにはいくはずもないジレンマ

ぽんぽこはあまり暗い感情を表に出さないけど、見てる側でも感じてたことだ


そして「カフカ」ではこう続いていく

否応もなく背負った 証拠不足の自信と期待。

どうせ辛いなら、不器用なままでいたい。


ぽんぽこ自身がVtuberとして伸び悩む中でも、独特の動画(実写※甲賀式3D)や後の24時間企画にも繋がるパンチのある企画で徐々に個人運営のVtuberの中では注目を集めることになる。

Vtuberの大型企画として恒例になった(なってしまった)ぽんぽこ24は、今年で第五回目を迎え、企業や個人の垣根を越えてお祭りの様相を呈している。

ぽんぽことピーナッツくんが演者も裏方も行うという割と狂気の沙汰ではあるが、5回の開催も特に大きな問題もなく敢行され見事やり遂げた。

これを機にぽんぽことピーナッツくんの界隈での知名度や存在感は増していく、そこからくる自信と他者から向けられる期待はぼくから見る感覚としては期待の方が大きい比重だと感じる

ぽんぽこは動画投稿も24も辛いしんどいとたまに漏らしてくれる、それでも楽しいが勝つと言ってくれるし辛かったことを良い意味で忘れて次に進んでくれる

器用にこなしてもこの辛さは変わらないのなら、不器用なまま実直にやっていこうという決意を感じる。里のみんなもそのままのぽんぽこでいいよといつも言ってるね


拝啓、灰色だった世界といつかの僕へ

手紙を書いた


あなたがいて、今日も快晴だ。

暗い話はポケットの中に隠したままでいい。

唄え、ずっと、僕等描く夕景。

たとえ正解じゃなくても、

まあいいっか。

飽きるまで笑おうぜ。


灰色だった世界といつかの僕は、Vtuberをはじめる前の彼女に今のぽんぽこから宛てた手紙。色のない世界から今は沢山の色で溢れてる

その時の君と画面の先の僕らか、周りの友人か兄か多くの〝あなた〟がいて今の彼女の心が今日も晴れ渡ってるのだとしたらとても嬉しいことだ

ぽんぽこは所謂お気持ちをしない、ぼくらの見えないとこであった理不尽なことや腹の立つこと界隈の闇。こういったことを表には絶対に出さない。逆に兄は楽曲に昇華して吐き出す。

これはどちらもとても素敵な事だ。

妹は暗い話をポケットに押し込んでファンに楽しいだけを感じてもらおうと振る舞い、兄はラップで吐き出すHIPHOPの文化的にも不平不満や怒りをぶつける事で聴く人の心にも響いていく。二人の考え方は両極かもしれないが阿吽のようにぽんぽこは口をつぐみ、兄は開け放っていることで良いバランスだ。

活動を続けるなかで何が正解だったのか、たとえ間違っていても「まあいいか」と笑い飛ばせるぽんぽこの芯の強さを唄っている部分だ


不確かな僕等の距離を

埋めるように言葉を紡ぐ。

伝えたいのはありがとうばかりだ。


どこの誰がどんな想いでどれくらいの距離感で見てるかわからない動画や配信。それを埋めるために沢山の事に挑戦しているぽこピー。

ぽんぽこが以前話してたことに

偶然ピーナッツくんのファンだったヨルシカのn-buna氏が第二回のぽんぽこ24に出演した際に、24時間内の即興作曲とはいえコメントから歌詞と曲を作ってぽこピーに贈ってくれた。

n-buna氏の事がボカロP時代から大好きだったぽんぽこは活動開始から一年も満たないこの時点でVtuberとして最大級の幸せを貰ったとし、今に至るまでの以後の活動はこの幸せをみんなに返していくためにやっていると断言していた。

ぽんぽこはファンから受けた愛をいつも真摯に返そうとしてくれる「本当にありがとう」と

気づけば僕にはいつか、

歩みを止める為の理由なんて、

浮かばないほどに季節は移っていく。


拝啓、旅人、夜を歩む人

いつかどこかでまた逢える日を。


あなたがいない列車は今日を乗せて、遠く。

胸の鈍い痛みはまだ残ったままでいい。


はじめた当初こそ「もし彼氏ができたらやめるよw」などと言っていたぽんぽこだけど、隣で見てきた兄が驚くほどにVtuberとしての活動に真摯に向き合って取り組んで活動を続け走り抜けた結果4年目に入る

三年超に及ぶ歳月は決して短くない、Vtuberも沢山の引退や変化があったし、ぽんぽこから離れていったファンもいるだろう。

それでもその悲しみや痛みを胸に抱いたまま忘れないという決意と共に走り続ける決意を感じるそんな切ない歌詞だ。いつかどこかでまた逢えると信じて。

「サヨナラ」そっと溜息を切り取って、

名前も顔も知らないあなたから

受け取った花束を飾ろうか。


真っ直ぐに沢山の里のみんなのことを歌ってくれてるような気もする、別れや悲しいことがあってもファンからの言葉や多くのものがぽんぽこの心に飾られて和らいでくれていたらいいなと思わせてくれる


宵闇、車窓、君は、幸せそうに見えた。

君じゃない、僕だ。


何処でも行けると、この手を掴んだのは、

僕のような君だ。


謝る癖、ずっと空っぽな僕のこと、

全部、全部、抱きしめて進もうか。


〝君〟はVtuberとして活躍するぽんぽこで

〝僕〟はVtuber以前からの何者でもないぽんぽこ

何処か客観視して幸せそうにみえて、どんどん行動していく甲賀流忍者ぽんぽこも全部ひっくるめてぽんぽこなんだと自覚した彼女の決意

ぽんぽこは咄嗟に悪くなくても「あ、ごめんなさい」と謝る癖がある、自分には周りと比べた時に何もできないと魅力がないと卑下することも多い

全部抱きしめて前に進む決意の歌、それは化け狸の変化でもなく彼女の心が全てを受け止めて変身した姿なのかもしれない。


花は散る。

夏はゆく。

夢なんかいつか覚める、

なんて、

どうでもいいよ


前述のn-buna氏が書いてくれた「言の葉のうた」の最後が〝覚めない夢を見続けたい〟であり、沢山のファンから贈られたファンメイドのオリジナル曲「はなとなり」も最後が〝おやすみ、いい夢見てね〟だ。

これはぽんぽこのお別れの挨拶「おやすみにんにん!いい夢みてねー」から来ている

この世の真理として夢は醒めるものだし、花は散り、季節は過ぎゆく

そういった当たり前なんて「どうでもいいよ」と笑い飛ばせる強さがぽんぽこにはある


最後はこう終わっていく

告白のような

強がりのような

言の葉のような

はな唄のような

不器用に描いた僕の唄なんだ。


配信で拙いギターを片手に震えた声で歌いきれず兄にお願いして最後は一緒に歌ったモンパチの「小さな恋のうた」

n-buna氏から貰った活動の原動力になっている「言の葉のうた」

ファンから大きな愛を贈られて沢山泣いた「はなとなり」


それらを全部全部大切にして、ぽんぽこが僕らに贈ってくれた「カフカ」


ここまで触れていなかった歌い始めがこうだ

どんな話をしよっか。

手付かずだったキャンバスに何を描こうか。

どんな言葉を貰った?

何を返せたんだろうか。


ぽんぽこがオリジナル曲を作るにあたって、思い悩んで貰ったものや何を返してきたかを沢山考えて描きはじめたことがひしひしと感じ取れるとても素敵な始まり方だ


カフカは何を指すのか


ぽんぽこの尊敬するn-buna氏も「始発とカフカ」と曲にするほどよく話す、フランツ•カフカに沿って変身に多くの意味を込めてるのか

これはMVのコメント欄でみつけたんだが、甲賀のルーツ鹿深(かふかが転じてこうかになったといわれる)なのか

作詞作曲はぽんぽこがn-buna氏に並ぶほど大好きだというボカロPのEpoch氏。作詞はぽんぽこと沢山話をしてそれら全てを詰め込んだという。話がきてから動画や配信をみて全力でぽんぽこを理解しようとして寄り添って作ってくれたと心から感じる素晴らしい楽曲です。


ぽんぽこの歌声は少年にも少女にも聞こえる中性的とはひとくくりにできない儚さを含んだ澄んだ歌声で、今回は爽快なロックナンバーでもあるため力強ささえ感じる箇所もある


技術がある人が小手先で歌ってる曲は五万とあれど、背景抜きにしても心に沁み入る歌はそうそうない

カフカには自信のない彼女への無限の可能性と、シーンに囚われず響いていく力があると思わされる

沢山の人の耳に届いて心に響いてほしいそんな楽曲です











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