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【雑文】地元の昔話の本より
自分の生まれ故郷の昔話を集めた本の中で、印象に残ってる話がありましてね。
若い頃はブイブイ言わせていた怪力の豪傑が、老いてからのこと。
若い奴らが屋敷に集まった折、「夜道で目の前に妖怪が現れたらどうするか?」という話題になった。
若い衆はみんなして、「そりゃおめぇ顔面ワンパンよ!」とか「ふん捕まえて投げ飛ばす!」と血気盛んに語る。
で、若い衆は最後にその老いた豪傑に「あんたはどうするね?」と聞いたそうである。
すると老豪傑は、
「そうさなぁ。まず提灯を下に置くだろうな。それから道に座って、念仏を十回唱える。それでも相手が消えていなかったら、提灯の火を消して、また十回唱える。そうすればまず、姿は消えておろうなぁ」と答えた。
若い衆は、あぁこれが「本物」の至った境地なのだなぁ、としんみりと感じ入ったそうな。
派手ではないのだけど、どうです、含蓄のある、いい話でしょう。
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