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この胸のときめきのすべて

名古屋の底冷えがじわじわ足音を立てる10月初旬、ガールズグループのサバイバルオーディション番組が配信開始になった。仕事終わりの空白を少しだけ埋めるつもりだったのに、気がついたら日々の楽しみとしてわたしの心を掴んだ。
強烈に頑張るおんなのこ達。それはどんなに時間を割いても実らない妊活や仕事に縛られて身動きがとれない退屈すぎる日常を貫く稲妻みたいなものだった。
10代という若さでダンスや歌のスキルだけでなく外見や性格まで人目に晒され点数で評価される世界に飛び込む彼女たちが夢見るのは誰かの希望になることだ。どれだけの覚悟と勇気をもって笑顔を向けてくれているのか、画面の向こうに響きそうなほど高鳴った胸は同時にとても痛かった。
投票システムのおかげか、遠くに居るのにとても近くで応援しているような気持ちにさせてもらえた。彼女たちに向けた「味方だよ」がなんだか自分自身にも用意された言葉のように思えた。贈り物にラッピングした箱のリボンを解くみたいなささやかな安堵のお陰で、毎日を悲観しすぎなくなったことに今でも感謝している。
そして番組から誕生したアイドルグループはついに今月、晴れやかにデビューを迎えた。夢を叶えた11人はわたしの胸の奥まで、春の陽気とともに雲の隙間から差し込むような煌めきに満ちた光を届けている。

諦めない貴女を見ているとちょっとだけ泣けてくるという話をしようと思う。
アイドルという存在は小さい頃、perfumeとの出会いからはじまり、ことあるごとにわたしの人生に音を立てて突然登場してきた。肩を叩いて頭を撫でて前を向かせてくれるお姉さんだったアイドル。今はもう振り向けばひと回り以上年下の女の子たち。
わたしは時々鏡を向けられている気分になる。年下でもどこか信頼を置いてしまうような精神力の彼女たちを反射して自分自身に眼差しが刺さる瞬間があるのだ。貴女が不器用でも嘘のない優しさで周りを愛し愛されているという事実が、今まで見ないふりをしていたわたしの拙さをそれでも美しいと認めてくれる。貴女が目の前で全力を証明することで、わたしの気力や頑張りたい気持ちを奮い立たせる。身を削ってまでいつだって誰かを幸福にするために前を向く貴女をみていると、これがの心の在処だと納得できる。
努力をたくさんみせてくれてありがとう、目の前の鏡に映る純粋な瞳に、わたしが自分のためにできる努力を見つけることができるよ。到底足りないだろうけどいつか恩返しができるといいな。
ひたむきで、明るく素直で、生まれたてのとても愛くるしい女の子達がわたしや多くの人の希望になり、夢がずっと続いていきますように。

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