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原因不明のメンタル不調と、それを<無難>にやりすごす術

なんだか体調がおかしい日があった。
胸が締め付けられるような痛み。でも心臓系のそれではなく、メンタル不調によるものだということは明らかだった。それ以上は何もわからない。

心配は何もないはずなのに

大事な試験、大勢の前でのプレゼン、締め切りが迫った仕事。
こういったものが控えているとき、胸のあたりがキュッとして落ち着かない感覚はないだろうか。
私を襲ったのはまさにその症状。

我が身を振り返えるが、別に差し迫った心配事など何もない。
自身は健康だし、大病している家族もないし、人間関係は良好。
仕事の方も大きな案件を抱えていない。作成しなければならない書類はもう片付いている。正直すこし暇なくらいだ。
しいて言うなら、これまでの人生で今ほど心配事のない暮らしができている期間はそうそう無い(ややこしい二重否定だな)から、ひょっとして今が幸せのピークなんじゃないかってことが不安。あとはもう落ちるだけというか。

辛くなったらどうするか

結局この不調は、サウナに行ってととのった後、深夜帯であることを気にせず町中華をたらふく食べて寝ることで解消された。2,000円もかからずに元通り。

ただ、最後まで原因は分からなかったのが気持ち悪い。
私の場合はたまたま解決できたから良かった。でも、こういう理由がはっきりしない不調に苦しめられている人っていうのは結構いるのかもしれない。みんなどうしているんだろう。

著名人が極端な選択をしたときの報道では、締めにかならず窓口の案内がある。
「相談してくれていたらよかったのに」という声も出る。
でも、なかなか言えないだろうなって。私も今回そうだったからよくわかる。

悩みの大小に関わらず、人に相談を持ちかけるときというのは「どうしたらいいか分からない」と言いつつも「きっとこの人ならこういう助言をするはずだ」なんて回答の予想を立てちゃったりするものだ。
「そういうこともあるよね」とただ共感してくれる人、「もうちょっと頑張りなよ」と励ます人、「そんなところもう逃げちゃえ」と原因から離れることを勧める人。相手の性格で、どのパターンの答えが返ってくるかはだいたい見当がつくものだ。
(ときどき、気丈に見える人が実は過去に辛い経験をしていて、相談の折にそうしたエピソードを聞くことができて驚くこともある。だから一概に決めつけられないし、相談を持ちかける価値は十二分にある)

仕事、人間関係、金銭、健康。自分を苦しめているものが何なのかが分かれば相談もできるけれど、先日襲った原因不明の苦しみはどう表現すべきか?
言葉にするならこうなる。

「何の心配事もないのに胸が苦しいし、焦っていて逃げ出したい気持ちだし、なんだか死んでしまった方がいい気がするんだけど」

こんなこと言われたって、相談受けた側もきっと困るに違いない。
私だったら困るもの。

「とりあえず仕事を休んでみたら?」とアドバイスしても、
「どうして?仕事に悩みがあるわけでもないのに?同僚に迷惑をかける選択をそう簡単にできないよ」

「家族と少し距離を置いたら?」とアドバイスしても、
「家族関係に悩んでいるわけでもないのに?家族にはどう説明したらいいの?『疲れてしまったからしばらく家を離れます』なんて言ったら絶対に心配をかけるし、それがきっかけで関係が壊れてしまったら?」

「とりあえず家でジッとしてなよ」とアドバイスしても、
「これまでパワフルに仕事してた人間が急にひきこもったら絶対に心配かけるでしょ」

うーん、難しい。
たとえば「頭痛」とか「腹痛」とか、内科的な疾患が連想できるような症状でもあれば、それを理由に療養もできるんだけれど。
「焦燥感」なんてものだけでは、休む口実にならない。よっぽどメンタルヘルスに理解がある環境でないと無理でしょう。

「なんか落ち着かないのできょう会社休みます」なんて言える?私はごめんなさい、言えない。

   注釈:精神疾患で戦線離脱する人を咎める意図はまったく無い。実際に私の同僚もうつで休職中で、心から回復を願っている。ただ、私の場合は勇気が無くて言い出せないというだけ。

とにかく逃げ道は持っておけ

本当は精神科なり心療内科を受診できるのが一番だけれど、初診予約の取りづらさ、そもそも受診の時間を作れない、保険加入へのハードルとなることにどうしても抵抗が…というわたしのような人もいるだろう。
また、服薬に抵抗がある、病院にかかるほどなのかもう少し見極めたい人も。
趣味でもなんでも、こういうときに逃げ道を持っておくのは大切だと思う。

仮病を使ってでもいいから、”元気になったあとの暮らし“に響かない形で、回復できる術を知っておきたい。
思い切った決断なんて、なかなかできないから。

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