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藤井棋聖、タイトル戦予想他

注目の棋聖戦タイトル戦第一局はご承知の通り藤井棋聖の完勝に終わりました。渡辺名人が先手で朝日杯準決勝と同じ手順の相掛りを選択されたのが、藤井棋聖にとっては幸いしました。朝日杯ではほぼ敗勢に追い込まれていたので、その後藤井棋聖はこの戦型をかなり研究していたようです。渡辺名人としても前回負けてはいるものの、終局直前まで勝勢だった戦型なので、さらに研究を重ね自信を持って指されているようでした。

持ち時間の最大時間差が8二歩を藤井棋聖が指した時点で1時間28分でした。本来なら渡辺名人としては2時間は差を付けた上で形勢を優勢まで持って行きたかったところでしょうが、あの時点で初めて形勢は容易ならざるものがあると気付かされたのではないでしょうか。それがあの1時間以上の長考につながり、打開策を見いだせなかった・・・

現在の将棋は事前研究と戦型選択で7割の勝敗が決まるようです。
つまり序盤、中盤の終わりぐらいまでが研究手順ですから、当日の考慮選択範囲は中盤の出口から終盤だけになります。最終盤の詰み手順を除くとその間の指し手は片方十数手しかありません。今後研究がますます進めば考慮選択範囲は狭くなり、藤井棋聖のような終盤型の棋士が有利になるのは間違いありません。

二回戦は去年のタイトル戦が矢倉の連投で二連勝したので、今年も藤井棋聖は先勝した相掛りを選択するように思います。

三回戦は渡辺名人も後が無いので昨年の角換わりを選び、また研究手順をぶつけてくるでしょうが藤井棋聖も稲葉八段に敗れたばかりなので充分研究してるはずです。うまく行けば3連勝防衛もあり得ます。

もし、三回戦敗れても四回戦は先手なのでまた相掛りでこのタイトル戦に終止符を打つことが出来るでしょう。
従って、三回戦の角換わりを乗り切れば3連勝、無理なら3勝1敗で最年少タイトル防衛と九段昇段達成と予想しております。


2021年度可能対局数残: 85局 6/08現在

順位戦22年03月 11局○○○○○○○○○○○(今期既1勝,1敗,次 屋敷伸之 6/13)
棋聖戦21年07月 04局タイトル4*○(今期既1勝,次 渡辺明 6/18)
王位戦21年08月 07局タイトル7*○(次 豊島将之 6/29)
叡王戦21年08月 07局本戦○挑決○タイトル5*○(今期既3勝,次 丸山忠久 6/22)
JT杯戦21年11月 03局本戦○○○(次 羽生or千田 9/25)
竜王戦21年11月 12局本戦○○挑決3*○タイトル7*○(今期既1勝,次 山崎隆之 未定)
銀河戦21年12月 05局本戦○決勝トーナメント○○○○
王将戦22年02月 15局二次○○挑決リーグ○○○○○○タイトル7*○
朝日杯22年02月 04局本戦○○○○
NHK杯22年03月 05局本戦○○○○○(次 深浦or都成 未定)
棋王戦22年03月 12局本戦○○○○○挑決2*○タイトル5*○

合計 85局(トーナメント全勝、挑決とタイトル戦フルセット勝利)

今期初可能対局数 100局

今期既勝数計  6勝(勝率 0.750、振り駒勝率 0.333 2:4)
今期負け数計  2敗
今期喪失局数  8喪失

今期敗退棋戦:
王座戦21年10月 本戦1回戦●×××タイトル5*×(今期1敗、8喪失)

今期対戦結果:
2021/04/09 ○ 広瀬章人 叡王戦 八段戦 決勝 (先手 相掛り)
2021/04/16 ○ 八代弥 竜王戦 2組 ランキング戦 決勝(先手 矢倉)
2021/05/06 ● 深浦康市 王座戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/13 ○ 三浦弘行 順位戦 B級 1組 1回戦(先手 横歩取り)
2021/05/17 ○ 行方尚史 叡王戦 本戦 1回戦(後手 矢倉)
2021/05/31 ○ 永瀬拓矢 叡王戦 本戦 2回戦(後手 雁木)
2021/06/03 ● 稲葉陽 順位戦 B級 1組 2回戦(後手 角換わり)
2021/06/06 ○ 渡辺明  棋聖戦 タイトル戦 1回戦(後手 相掛り)


公式戦 藤井二冠の全敗局内容(42敗、先手16局、後手26局):(段位、タイトルは当時のまま)

2017年度(12敗、先手4局、後手8局)

2017.07/02 相掛り (佐々木勇気六段) 後手 竜王戦
2017.07/21 角換り (三枚堂六段) 後手 上州杯
2017.08/04 ゴキゲン中飛車 (菅井王位) 後手 王将戦
2017.08/24 角換り (豊島八段) 後手 棋王戦
2017.09/02 三間飛車 (井出四段) 後手 (連敗1st) 青流戦
2017.09/07 相掛り (佐々木大地四段) 後手 新人王
2017.11/23 横歩取り (上村亘四段) 先手 銀河戦
2017.11/29 横歩取り (大橋四段) 先手 棋聖戦
2017.12/10 相掛り (稲葉八段) 後手 NHK杯
2017.12/23 横歩(74)取り (深浦八段) 先手 叡王戦
2018.01/06 横歩取り (大橋四段) 先手 王位戦
2018.03/28 矢倉 (井上九段) 後手 王将戦

2018年度(8敗、先手2局、後手6局)

2018.06/11 ゴキゲン中飛車(今泉四段)後手 NHK杯
2018.06/29 矢倉(増田六段)後手 竜王戦
2018.07/06 雁木(斎藤慎太郎七段)後手 王座戦
2018.09/03 ゴキゲン中飛車(菅井王位)後手 棋王戦
2018.09/14 角換り (山崎八段) 先手 (連敗2nd) 王位戦
2018.11/23 角換り(斎藤王座)後手 叡王戦
2019.02/05 角換り(近藤五段)先手 C1順位戦
2019.03/11 四間飛車(久保九段)後手 棋聖戦

2019年度(12敗、先手4局、後手8局)

2019.05/23 相掛り (豊島名人・王位) 後手 銀河戦
2019.05/28 相掛り (都成五段) 後手 (連敗3rd) 棋王戦
2019.06/03 相掛り (佐々木大五段) 後手 王座戦
2019.07/08 四間飛車(久保九段)後手 NHK杯
2019.07/09 四間飛車(久保九段)先手 (連敗4th) 銀河戦
2019.07/23 角換り (豊島名人・王位) 先手 竜王戦
2019.08/11 横歩取り (三浦九段) 先手 JT杯戦
2019.08/29 角換り (村山七段) 後手 叡王戦
2019.10/07 相掛り (豊島名人) 後手 王将リーグ第二戦
2019.11/19 矢倉 (広瀬竜王) 先手 王将リーグ第六戦
2020.02/11 角換り (千田七段) 後手 朝日杯準決勝
2020.03/09 角換り (出口四段) 後手 棋王戦

2020年度(8敗、先手6局、後手2局)

2020.06/10 横歩取り (大橋六段) 先手 王座戦
2020.07/09 角換り (渡辺棋聖) 先手 棋聖戦第三局
2020.07/24 一手損角換り (丸山九段) 先手 竜王戦
2020.09/12 横歩取り (豊島竜王) 先手 JT杯
2020.09/22 横歩取り (羽生九段) 先手 王将リーグ第一戦
2020.10/05 相掛り (豊島竜王・叡王) 後手 王将リーグ第二戦
2020.10/26 四間飛車 (永瀬王座) 先手 王将リーグ第三戦
2020.11/22 角換り (木村九段) 後手 NHK杯二回戦

2021年度(2敗、先手0局、後手2局)

2021.05/06 矢倉(深浦九段)後手 王座戦本戦
2021.06/03 角換り (稲葉八段) 後手 順位戦 B級 1組 2回戦

藤井二冠は勝局よりも敗局を中心に検討していると思われます。敗局を何度も並べるのは負けた悔しさが都度浮かんでくるので苦しいものですが、それを積み重ねることで自らの課題が明らかになります。棋力が敗局当時より進めば進むほど恥じ入りたくなる、それをより大きく感じるようになります。つまり当時と現在の実力差を如実に知ることが出来る。

「この失敗を二度と繰り返さない!」その執念がますます身に沁みてこそより強くなれると・・・負ければ負けるほど強くなれると・・・

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