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ダークサイド・オブ・ザ・M○●N:トーキョーN◎VAシナリオ

 この記事は「トーキョーN◎VA THE AXLERATION」用のシナリオです。
 オーサカM○●Nを舞台に、少人数で「M○●Nっぽさ」を味わえるスタンダードなシナリオ、を目指したものです。古典的「西部劇」の成分も含まれています。
 ダダーッと書いてあるのでメチャクチャ長いです。ですが基本的には、一度ザっと目を通したら、あとは遊びながら順番にシーンを処理するだけで進行できるでしょう。プレイヤーはプレアクト部分まで読むことができます。

プレアクト

■シナリオデータ
▼プレイヤー人数
2人
▼想定プレイ時間
1~2時間程度
▼使用経験点
0~40点
▼使用サプリメント
 オーサカM○●Nの設定を使用しているため『クロス・ザ・ライン(以下CTL)』、および『ジ・アザーサイド(以下TOS)』が必要だ。

■アクトトレーラー
西の妖星オーサカM○●N。
そこは大自然とテクノロジーが相克する荒野の都。

同胞を救うため、死国から来たヒルコの少女。
彼女が踏み込んだのは、繁栄する巨大都市の影。
ヤクザのヒルコ狩りに、バイオ企業の陰謀。
恐るべきM○●Nの“闇の側面”(ダークサイド)だ。
無情の都市に、涙は露と消えるのか。
それとも――

トーキョーN◎VA THE AXLERATION
『ダークサイド・オブ・ザ・M○●N』

かくて運命の扉は開かれた。

■アクトハンドアウト
『①ヒルコ』:M〇●Nのヒルコ
『②アラシ』:M〇●N傭兵団の傭兵

『①ヒルコ』用ハンドアウト
コネ:キヌカ 推奨スート:クラブ
クイックスタート:内なる怪物(『TOS』p.52) 推奨スタイル:ヒルコ
 キミはオーサカM○●Nで生きるヒルコだ。キミはストリートで、同じヒルコの少女キヌカを助けた。彼女はさらわれた仲間を救うために、死国から来たという。キヌカはキミの力を見て、助力を求めた。キミは彼女のようなタイプを、放っておけない性分だった。
【PS:キヌカを手伝う】

『②アラシ』用ハンドアウト
コネ:グリムロック  推奨スート:ダイヤ
クイックスタート:ドローンマスター(『TOS』p.54) 推奨スタイル:アラシ
 キミはM○●N傭兵団の傭兵だ。かつて残虐行為や犯罪に手を染め、傭兵団の名誉を地に落とした男がいた。ヤツの名はグリムロック。M○●Nを追われたはずの男が、この街に舞い戻った。マダムM○●Nはキミに、グリムロックを制裁するよう命じた。傭兵団の名誉を回復するために。
【PS:グリムロックを制裁する】

■キャストの作成
●必要な神業
 《突破》および防御系2が必要だ。
●都市社会について
 このアクトで使用できる都市社会技能は〈社会:M〇●N〉となる。〈社会:N◎VA〉をこのアクトの間のみ〈社会:M〇●N〉に変更してよい。

■キャスト間コネクション
 相互に取得すること。

RL情報

RL用情報

■ストーリー
 死国に生きるヒルコの少女・キヌカは、同族の仲間たちと平和に暮らしていた。だが彼女の種族の希少な遺伝子情報を狙われ、傭兵たちによるヒルコ狩りにあう。キヌカの仲間たち数人が捕らえられ、M○●Nへと連れ去られた。キヌカは仲間たちを取り戻すためM○●Nへ向かう。
 傭兵たちを雇ったのは、ヤクザの天津組。天津組はさらに、バイオ企業BIOSから仕事を受けていた。その橋渡しをしたのは、BIOS子飼いの傭兵グリムロック。だがグリムロックには、真のクライアントがいた。正体を隠してフィクサーとして活動するヘイロンの産業スパイ、“金華将軍”ドミトリー張だ。グリムロックはBIOSを裏切り、キヌカの仲間たちを奪い去る。そしてドミトリー張の手引きで、M○●Nからガンワゴン経由でホンコンへと移送しようとする。
 キャストたちは様々な目的で、この争奪戦に関わっていく。ガンワゴンを襲撃し、ヘイロンの行動を阻止することで、このアクトは終了となる。

■重要NPC

キヌカ
◆スタイル
ミストレス●、カブトワリ、ヒルコ◎
◆解説
「同胞たちは、私が取り戻す!」
 死国の汚染地域に暮らすヒルコ。エルフと呼ばれる、狩猟と採集に長けた穏やかな種族の長の娘。
 ヒルコ狩りにさらわれた仲間たちを取り戻すためにM○●Nへ。リーダーシップがあり弓の腕も立つが、街のことには全く不慣れだ。
 神業のみを使用するエキストラとして扱う。

グリムロック
◆スタイル
カブト、カブトワリ、アラシ◎●
◆解説
「傭兵ってのはなァ、殺して何ぼの商売よ!」
 歴戦の傭兵。かつてM○●N傭兵団に所属していたが、残虐行為や命令違反、汚職などに手を染め、追放された。
 現在はBIOSのエージェントとして活動中。天津組に派遣され、BIOSのためにヒルコ狩りを指導している。だが真の雇い主は、ヘイロンの工作員であるドミトリー張だ。BIOSの集めたヒルコのサンプルを、まとめてホンコンへ奪い去る計画を立てている。
 欲深な性格で、金さえもらえればどんな勢力にもなびく。強さこそがすべて、弱者をいたぶるのは強者の権利だという価値観の持ち主。
 火炎放射器を装備したウォーカーを愛機とする。

“金華将軍”ドミトリー張(チャン)
◆スタイル
クロマク◎、ヒルコ=ヒルコ●
◆解説
「良いヒルコもいれば悪いヒルコもいる。私は後者だということですよ」
 カエルの頭にスーツ姿の怪人フィクサー。その正体は、ヘイロンがM○●Nに送り込んだ産業スパイ。M○●Nに拠点を持たないヘイロンのために、ヒルコのサンプル(M○●N商工会議所によってM○●N外への流出が制限されている)を持ち出す任務についている。グリムロックの真の雇い主。
 ヒルコを“売る”仕事をしているが、自身もカエルの遺伝子形質を持つヒルコである。伸びる舌を鞭のように振るい、相手を絡めとる技を得意とする。

オープニングフェイズ

●シーン1:ヒルコ・ミーツ・M〇●N
シーンプレイヤー/登場:『①ヒルコ』/他キャスト登場不可
◆解説
 『①ヒルコ』がちんぴら(エキストラ)に襲われるキヌカを助けるシーン。
◆描写①
 オーサカM○●N、汚染された廃棄地区・テンペランスの裏通り。いかにもお登りさん然としたヒルコの少女が、ちんぴらたちに絡まれている。テンペランスではよくある光景だ。このままでは命が危ない。
▼セリフ:ヒルコの少女(キヌカ)
「私に触れるな!」(弓矢でちんぴらを射る)
▼セリフ:ちんぴらたち
(矢で射貫かれる)「ウギャァーッ!」
「ヤスがやられた! 三度の飯より強盗殺人が大好きで、雨の夜に捨てられた子犬を拾ったこともある、心優しいヤスが!」
「母ちゃんの誕生日には、女を風俗に売った金で温泉旅行に連れていってあげる、街一番の孝行息子のヤスを……なんてひどい小娘だ!」
「こいつも騙して娼館に沈めてやろうと思ったが、やめだ。ぶっ殺して、死体を新核酸市場で売りさばいてやるぜー!」
(ぶちのめした)「ひ、ひえー! 覚えてろー!」
◆描写②
 助けた少女は、『①ヒルコ』に礼を述べる。
▼セリフ:ヒルコの少女(キヌカ)
「助力を感謝する。あの人数相手では、さすがに危なかった」
「私はキヌカ。ある使命のために死国から来た。だがこの街は大きすぎて、途方に暮れていた。協力者を探していたら、あの連中にからまれてしまったのだ」
「お礼をしたい。私の天幕で茶でも淹れよう」
◆結末
 描写と会話を終えたら、シーン終了となる。

●シーン2:名誉を汚す者
シーンプレイヤー/登場:『②アラシ』/他キャスト登場不可
◆解説
 『②アラシ』がマダムM○●Nから任務を命じられるシーン。『②アラシ』は報酬として1ゴールド(5報酬点)を得る。
◆描写①
 少し前のことだ。M○●Nに凶暴なミュータントが押し寄せる“胞子の日”。『②アラシ』をはじめとするM○●N傭兵団は、最前線であるテンペランス防衛のために出撃していた。だが同じ部隊のグリムロックは、ウォーカーに搭載した火炎放射器で、ミュータントを街ごと焼き払っていた。まだこの一帯では、一般人の避難完了は確認されていなかった。
▼セリフ:グリムロック
「げひゃひゃひゃひゃ、焼け死ねよォ!」
「何か言いたそうだな、『②アラシ』よう。どうせここに住んでるのは、ファーサイドにも入れない貧民どもさ。被害が出ようが知ったことかよ」
「けっ、興が削がれたぜ。給料分は殺したし、後は好きにしな!」
◆描写②
 M○●N傭兵団基地の司令室で、『②アラシ』はホログラフの老婦人マダムM○●Nから、任務の説明を受けていた。
▼セリフ:マダムM○●N
「それでは『②アラシ』、任務を説明します」
「M○●N傭兵団にとびきりの問題隊員がいました。名前はグリムロック。汚職や虐殺行為を繰り返し、傭兵団の名誉を地に貶めた男です」
「重大な規律違反で銃殺となるところを脱走し、M○●Nを去ったはずでした」
「そのグリムロックが、戻ってきました。しばらく前から、ストリートで活動する彼の姿が確認されています」
「グリムロックを制裁し、M○●N傭兵団の名誉を取り戻す。それが『②アラシ』、あなたの任務です」
◆結末
 『②アラシ』が任務を引き受けたら、シーンを終了する。

リサーチフェイズ

■リサーチフェイズ終了条件
 ガンワゴン襲撃地点へ向かうことで、クライマックスへ以降する。

●シーン3:キヌカの天幕①
タイミング:リサーチフェイズ最初のシーン
シーンプレイヤー/登場:『①ヒルコ』/他キャスト登場不可
◆解説
 『①ヒルコ』がキヌカから事情を聞くシーン。キヌカは『①ヒルコ』を協力者として雇う。報酬は3シルバー(3報酬点)相当のヒルコグマの肝だ。
▼描写
 キヌカの天幕は、テンペランスの外れにあった。薬缶を火にかけて茶を淹れる間、彼女の事情を聞かされることになる。
▼セリフ:キヌカ
「私がこの街に来た理由は、仲間を助けるためだ」
「私たちは死国に暮らすエルフという種族だ。死国のヒルコというと、凶暴で理性のないミュータントが大半だが、私たちは違う。狩猟と採集で、穏やかに暮らしている」
「なんでも私たちの体は、特殊な器官の宝庫だという。それを人間たちは欲しがっている。これまで何度もそういう連中が来たが、全部返り討ちにしてやった。だが先日の奴らは違った」
「強力な機械と兵器で、仲間たちを捕まえたと聞く。私はそのとき狩りに出ていて、集落を留守にしていて助かった」
「私は族長の娘だ。仲間たちを取り戻す使命がある」
「そうだ『①ヒルコ』、この街に詳しいのなら、力を貸してほしい。私は街に不慣れすぎるとわかった」
「少しならお礼もできる。死国で獲れたヒルコグマ(※)の肝を干したものだ。とてもよい薬だ。高く売れるぞ」
「『①ヒルコ』、頼む。一緒に仲間たちを救ってくれ」
(わかった)「ありがたい! さあ、ドクドクダミ茶(※)が入ったぞ。飲むとしよう」
◆結末
 『①ヒルコ』が依頼を受けたら、シーンを終了する。以後、『①ヒルコ』とキヌカはチームとなる。

※ヒルコグマ
 死国に棲息するクマのミュータント。体長4m、体重2トンを超える狂暴な巨獣。硬化した皮膚は砲弾をも阻み、爪はウォーカーの装甲を軽々と引き裂く。その肝(胆のう)には薬効があり珍重される。
※ドクドクダミ茶
 変異ドクダミ・ドクドクダミの葉を使ったハーブティー。通常のドクダミと異なり、人体に猛毒となる成分が含まれる。その毒がヒルコの強靭な消化器官にはほどよい刺激となり、好まれるのだ。飲んだ場合、【生命】の制御判定を行なう。失敗すると、ヒルコならお腹がゆるくなり、ヒルコ以外なら吐き出してしまう。

●シーン4:天津組の倉庫
タイミング:天津組の倉庫を訪れた
シーンプレイヤー/登場:指定なし/〈社会:ストリート〉10
◆解説
 天津組の倉庫を訪れるシーン。倉庫は厳重に警備されている。レッガートループ(『TOS』p.145)15人2グループとのカット進行となる。トループを倒せば、倉庫を調べることができる。キヌカはエキストラであり、カット進行に関与することはない。
 倉庫には、さらわれたヒルコたちが監禁されている。宣言のみでこれを解放できる。キヌカの仲間たちはすでに移送されており、ここにはいない。グリムロックも天津組を離れ、BIOSに戻っている。
▼描写①
 天津組の倉庫では、捕らえられたヒルコたちが出荷の時を待っていた。警戒は厳重で、調べるには警備のレッガーたちを倒す以外になさそうだ。
▼セリフ:天津組のレッガー
(襲いかかる)「ンだッテメー! やんのかゴラァー!」
(倒した)「待った待った、降参や降参! うちには腹をすかせたニョーボとガキが待っとるねん、堪忍してや!」
(グリムロックについて)「あいつはうちの組が雇ってたわけやあらへん。うちの組にヒルコ狩りを依頼した企業が、ホンマの雇い主や。あいつはそっから派遣されてたんや。そっちを当たってや」
▼セリフ:捕らわれのヒルコたち
「ありがとう、助かった」
(キヌカの仲間たちについて)「その娘の仲間たちは、早々に買い手がついて、移送されていったよ」
▼セリフ:キヌカ
「仲間たちは……どうやら、ここにはいないようだな」
「遅かったか。どこに移されたのか……急いで調べなければ」
◆結末
 カット進行と描写を終えたら、シーン終了。以降、【仲間たちの移送先】【グリムロックの雇い主】をリサーチ可能になる。

●シーン5:キヌカの天幕②
タイミング:シーン4の直後
シーンプレイヤー/登場:『①ヒルコ』/〈社会:ストリート〉10
◆解説
 消沈するキヌカを励ますシーン。
▼描写
 キヌカの天幕。彼女は鍋を火にかけて煮込んでいる。天津組での調査が空振りとなったことに、さすがに落ち込んでいる様子だ。
▼セリフ:キヌカ
「……『①ヒルコ』、私は遅すぎたのかもしれない」
「仲間たちは無事だろうか。すでに解体されてしまっているかも」
(励ました)「……そうだな。もし手遅れだとしても、私がここでやめていい理由にはならないな」
「なあ、『①ヒルコ』は、なぜこうまでして助けてくれるんだ?」
(答えた)「ふふ、変わったやつだな」
「腹ごしらえをして、行方を追おう。カッパの鍋(※)だ、うまいぞ!」
◆結末
 会話を終えたら、シーン終了。

※カッパの鍋
 カッパはヤマタイおよび死国に棲息する、人型の甲殻類ミュータントだ。その肉はカニやエビのような味がする。頭頂部の「皿」と呼ばれる特殊な器官は、珍味として知られる。汚染されており、迂闊に食べると腹を下す。食べた場合、【生命】の制御判定を行なう。失敗すると、ヒルコならお腹がゆるくなり、ヒルコ以外なら一晩トイレから出られなくなる。

●シーン6:BIOS秘密研究所
タイミング:BIOS秘密研究所へ向かった
シーンプレイヤー/登場:指定なし/〈社会:企業、テクノロジー〉10
◆解説①
 BIOSの秘密研究所に潜入するシーン。
 研究所は厳重なセキュリティシステムに守られている。侵入するには、全員〈隠密〉か〈電脳〉の目標値13の判定を行ない、成功する必要がある。判定に失敗しても、侵入には成功する。ただしセキュリティに発見され、消耗する。[攻:P+10]の肉体ダメージを受ける。
▼描写①
 ニアサイドの一画、静謐な白亜の研究施設。キヌカの仲間たちはここに運び込まれたという。セキュリティシステムが警戒厳重で、力押しでは侵入できそうにない。
▼セリフ:キヌカ
「さて、どうやって忍び込むか……」
◆解説②
 侵入に成功すると、同じタイミングでBIOSの実験体を奪うためにやってきたブラックドラゴンの部隊と鉢合わせする。それを手引きしたグリムロックとも遭遇する。グリムロックは《突破》で研究所を完全に破壊し、強奪を阻止しようとする行動を防ぐ。実験体(キヌカの仲間たちを含む)を強奪して逃走する。
▼描写②
 侵入に成功すると、突然警報が鳴り響く。施設のあちこちで爆発や銃声が起きる。別の(もっと剣呑な)侵入者と居合わせたようだ。侵入者は高度に訓練された特殊部隊だ。舞台を手引きしているのは、傭兵ふうの男だ。その男が命じるままに、トレーラーにキヌカと似たヒルコたちが乗せられていく様が見える。
▼セリフ:傭兵ふうの男(グリムロック)
「げひゃひゃひゃ、BIOSさんの実験体はぜんぶ頂いていくぜ! 退職金がわりになぁ!」
(『②アラシ』に気づく)「てめぇ、『②アラシ』か? こんなところで会うとはなぁ。悪いが付き合ってるヒマはねぇんだ」
「おおっと、止めようったってムダだぜ! あばよ!」(《突破》で研究所を破壊、キャストたちは瓦礫に埋もれてしまう)
▼キヌカ
「あれは私の同胞たち! くっ、トレーラーに乗せられてしまう!」
「そんな、ここまで来たのに……!」
◆結末
 キヌカの仲間たちは、目前で連れ去られてしまう。描写を終えたら、シーンを終了する。【襲撃者たち】がリサーチ可能となる。

●シーン7:出発進行!
タイミング:「◆移送手段」をリサーチした
シーンプレイヤー/登場:ルーラーシーン/登場不可
◆解説
 ヘイロン側の動向を描写するシーン。
▼描写
 紀伊港とM○●Nを結ぶ重武装鉄道、ガンワゴンの発着場。コンテナが車両に積み込まれていく。その傍らで、グリムロックがカエル頭にスーツの男と話している。
▼セリフ:グリムロックとカエル男(ドミトリー張)
「BIOSから奪った素材はあらかた積み込んだぜ。連中の追手はブラックドラゴンの支社に陽動してある。楽勝だぜ」
「よろしい、M○●Nでの我々の任務は終了です。奴らの研究素材を奪ったことで、ヘイロンのバイオ産業トップシェアはしばらくは安泰です。ホンコンに戻ったら、バカンスを楽しむといいでしょう」
「せいぜいボーナスは弾んでもらうぜ。だが気になることがある。BIOSの研究所を襲ったとき、顔なじみを見た。BIOSとは無関係に見えたがな、そいつが追って来る可能性はあるぜ」
「その時は、あなたがどうにかしなさい。ガンワゴン防衛も仕事のうちです」
◆結末
 男たちはガンワゴンに乗り込む。地上要塞のように武装したガンワゴン車両がゆっくりと出発していく。ここで「SPS:ヘイロンの計画を阻止する(5点)」を提示する。シーンを終了する。

●シーン8:ガンワゴン襲撃
タイミング:ガンワゴン襲撃地点へ向かった
シーンプレイヤー/登場:『②アラシ』/〈社会:ストリート〉10
◆解説
 ヘイロンのガンワゴン車両を襲撃するシーン。『②アラシ』が《突破》を使用することで、ガンワゴン車両に取りつく(※)ことができる。
▼描写
 ヤマタイの荒野をゆく、重武装鉄道ガンワゴン。その巨大な車両が、渓谷にさしかかる。ミュータントや山賊がよく襲ってくるエリアだ。当然ガンワゴン側も警戒している。飛行型ミュータントが飛来するのを、ハリネズミのように装備された防衛システムが迎撃する。無数の弾幕が飛び交い、ミュータントを撃墜していく。
 この走る要塞に、いったい何者が近づくことができるというのか?
▼セリフ:ガンワゴン警備隊
「ははは、ミュータントどもめ、懲りずに襲ってきやがる。ハチの巣になりたいらしいな」
「おや……1機、接近する機影を確認!」
「落とせ! このガンワゴンの防衛システムは無敵だ!」
(《突破》を使用した)「そんな……この弾幕を突破してくるだと!?」
「と、取りつかれました! こちらの近接防衛システムでは、近すぎて攻撃できません!」
▼セリフ:グリムロック(通信)
「うろたえるなグズども! 総員、戦闘配置(バトルステイション)! 白兵戦に備えろ!」
「やってくれるぜ、『②アラシ』……!」
▼セリフ:キヌカ
「『①ヒルコ』、ほ、本当に大丈夫なのか?」
「『②アラシ』……まるで鋼鉄の嵐だ!」
◆結末
 神業の使用と描写を終えたら、シーン終了。クライマックスへ。

※ガンワゴン車両に取りつく
 『②アラシ』とチームを組んでいれば、『①ヒルコ』とキヌカも、ともにガンワゴン車両に取りつくことができる。『②アラシ』の攻撃の隙にガンワゴンに接近するのでも、『②アラシ』のヴィークルに同乗して突入するのでも、演出は自由にしてよい。

情報項目

 リサーチフェイズ開始時に調べることが出来る情報項目は以下のとおり。
『①ヒルコ』:【キヌカの仲間たち】
『②アラシ』:【グリムロック】

◆キヌカの仲間たち
〈コネ:キヌカ〉〈社会:ストリート、テクノロジー〉
10 キヌカの種族の「特殊な器官」は、摘出するとすぐに劣化してしまう。保存も難しい。そのためキヌカの仲間たちは、しばらくは生かされているだろう。だがじきに解体され、殺される可能性が高い。
13 仲間たちを連れ去った傭兵たちの雇い主は、M○●N最大のヤクザ組織・天津組だ。仲間たちはファーサイドの天津組の倉庫に運び込まれた。アドレスを得る。

◆グリムロック
〈コネ:グリムロック〉〈社会:企業、ストリート〉
10 M○●N傭兵団を残虐行為により追放された傭兵。火炎放射器を装備したウォーカーを愛機とする。M○●Nから退去処分を受けていたが、最近舞い戻った。
13 ファーサイドのヤクザ組織【天津組】に雇われ、死国・ヤマタイのあちこちでヒルコ狩りを行なっている。

◆天津組
〈社会:ストリート、企業、警察〉
10 ファーサイドの新核酸市場に事務所を構える、M○●N最大のヤクザ組織。最近の主なシノギは、ヒルコ狩り。フリーランスを雇ってヒルコを狩り、その生体部品を研究素材としてメガコーポなどの各種機関へ売り飛ばすことだ。
13 ファーサイドの一画に、ヒルコの在庫を管理する倉庫を持っている。天津組の倉庫のアドレスを得る。

◆仲間たちの移送先
〈社会:企業、ストリート、テクノロジー〉
10 天津組にヒルコ狩りを外注したのは、M○●N最大のバイオ企業BIOSだ。
13 BIOSはバイオ産業のトップを、ホンコンのヘイロンに奪われている。トップシェア奪回のための研究に、ヒルコの生体素材を大量に必要としていた。そのためヒルコ狩りを天津組に外注していた。中でもキヌカの種族は、もっとも重要な素材とされる。
16 記録によれば、仲間たちはニアサイド内のBIOS秘密研究所に搬入された。アドレスを得る。

◆グリムロックの雇い主
〈社会:企業、ストリート〉
10 バイオ企業BIOSが、グリムロックの現在の雇い主だ。同社が天津組に外注したヒルコ狩りの指揮のために派遣されていた。BIOSの施設に行けば、何らかの情報が入るかもしれない。
13 BIOSも、グリムロックの真の雇い主ではない可能性がある。
16 M○●Nを追放されていたグリムロックをBIOSに紹介したのは、【金華将軍】と呼ばれるフィクサーだ。

◆金華将軍
〈社会:企業、ストリート〉
10 M○●Nで活動する謎のフィクサー。M○●Nのヒルコを、N◎VAのヒルコ街へ移住させる手続きなどをビジネスとしている。
13 そのビジネスはM○●Nからの技術流出を制限する新バイオ倫理法に抵触しており、M○●N商工会議所から危険視されている。
16 他のメガプレックスから派遣された産業スパイという噂もあるが、正体は不明(【金華将軍の正体】)

◆金華将軍の正体
〈社会:企業、テクノロジー〉
10 その正体はヘイロンのエージェント、ドミトリー張。その任務はM○●Nのヒルコの研究素材を、ホンコンのヘイロン本社へ送ることだ。
13 自身もカエルの遺伝子特徴を持つヒルコだ。M○●Nで収集したヒルコの生体素材をホンコンへ移送するために、【移送手段】を用意している。

◆移送手段(シーン6「BIOS秘密研究所」終了後、リサーチできる)
〈社会:企業、ストリート〉
12 ドミトリー張が入手したヒルコの生体素材は、紀伊港から船便で移送する。M○●Nと紀伊港までの間は、専用のガンワゴン車両を利用する。
15 ガンワゴンはハリネズミのように武装しており、接近すら容易ではない。《突破》を使用することで弾幕をかいくぐり、近づくことができる。
18 ガンワゴンの路線上に、襲撃に適した渓谷を発見する。襲撃地点のアドレスを得る。

◆襲撃者たち
〈社会:企業、ストリート〉
13 BIOSの秘密研究所を襲撃したのは、ヘイロングループのブラックドラゴン社の特殊部隊だ。BIOSは奪回のために、部隊をブラックドラゴン社に差し向けている。だが、同社はすでにもぬけのカラである可能性が高い。

クライマックスフェイズ

●シーン9:地獄行き弾丸特急
◆解説
 ヘイロン側のゲストたちと決着をつけるシーン。カット進行となる。
 ガンワゴン上での戦闘となる。ガンワゴンは巨大であり、ヴィークルに搭乗していても問題なく行動できる。
 勝利条件は敵ゲストを倒すこと。敵は以下の通り。キャストから近距離の位置にあるAとBの2つのエンゲージに分かれて配置される。
・グリムロック(※データは後述、エンゲージA)
・“金華将軍”ドミトリー張(※データは後述、エンゲージB)
・クグツトループ(『TOS』p.144)15人×2(すべてエンゲージB)
 キヌカは戦闘には関与しないが、以下の神業でキャストたちを援護する。どのように使用するかはプレイヤーが相談して決めること。
・キヌカの神業
《ファイト!》《とどめの一撃》《突然変異》
▼描写
 ガンワゴンの車上は、さながら戦場の様相を呈していた。キャストたちの前に、スーツ姿にカエル頭のヒルコが立ちはだかる。配下の兵士たちを従えている。火炎放射器を装備したウォーカー――グリムロックの機体もいる。
▼セリフ:“金華将軍”ドミトリー張
「お初お目にかかります。ヘイロンのドミトリー張と申します」
「我々のM○●N脱出を阻止しようとは。M○●N商工会議所の差し金ですか――え、違う? 仲間のヒルコを取り返しにきた!?」
「ははははは! そんなくだらないことのために、ここまで来たのですか。よろしい、ではその愚かさに殉じなさい」(戦闘開始の号令)
「私はお前たちとは違う。同胞のヒルコたちの屍の上に立ち、いずれはヘイロンのトップにも登りつめるのです。さあ、我が野望の礎となりなさい!」
(倒した)「ぐふっ、私にも、助けに来るような仲間がいれば……」
▼セリフ:グリムロック
「げひゃひゃひゃ! 『②アラシ』、てめぇのことは前々から気に食わなかったのよ!」
「傭兵に名誉なんてあるかよ。金をもらって殺し、奪う。それだけよ!」
(倒した)「ちくしょう! 先に地獄で待ってるぜぇぇぇ!」
▼セリフ:キヌカ
「同胞たちを取り戻す! 行くぞ『①ヒルコ』!」
◆結末
 カット進行が決着したら、シーン終了。指揮官を失ったガンワゴンは停止し、キヌカの仲間たちは解放される。エンディングフェイズへ。

グリムロック
◆戦闘データ
スタイル:カブト、カブトワリ、アラシ◎●
▼神業
《難攻不落》《とどめの一撃》(《突破》使用済み)
▼能力値
理性:7/13(12) 感情:1/11(10)
生命:7/11(10) 外界:7/13(12)
CS:7 AR:1
▼技能(R=スペード、P=クラブ、L=ハート、M=ダイヤ)
操縦:ウォーカー 1R・・・
射撃 3R・LM
▼スタイル技能
ドッグファイト 5・・・・
ヘヴィファイト 3R・LM
花吹雪 3R・LM
近接射撃 3R・LM
▼装備
・息吹
攻:I+8 射:近~中 ※対象:範囲
・ターレットウルフ
防(S/P/I):3/3/4
・閃鋼
▼戦闘プラン
 セットアップに閃鋼を使用、CS+6。メインプロセスは〈射撃〉〈ヘヴィファイト〉〈花吹雪〉による攻撃。対象は「範囲(選択)」、達成値+5、ダメージ+12。

“金華将軍”ドミトリー張
◆戦闘データ
スタイル:クロマク◎、ヒルコ=ヒルコ●
▼神業
《腹心》《突然変異》《突然変異》
▼能力値
理性:3/9 感情:8/15
生命:8/13 外界:3/11
CS:9 AR:1
▼技能(R=スペード、P=クラブ、L=ハート、M=ダイヤ)
隠密 3・PLM
白兵 4RPLM
▼スタイル技能
透明化 3・・・・
牙の王 3・PLM
触手 3・PLM
怪力 2・PL・
▼装備
・タンゴスネーク+浸食同化体
攻:P+3 射:至近
・フォーマリティ
防(S/P/I):2/2/2
▼戦闘プラン
 メジャーで〈白兵〉〈隠密〉〈牙の王〉〈触手〉〈怪力〉。[射程:近]に変更。達成値+3、ダメージ+14、「BS:捕縛」を与える。《突然変異》は即死系神業と防御系神業をそれぞれ1回ずつコピーして使用する。

エンディングフェイズ

●シーン10:また会う日まで
◆解説
 『①ヒルコ』のエンディング。
▼描写
 仲間たちを取り戻したキヌカとの、別れの時がやってくる。
▼セリフ:キヌカ
「『①ヒルコ』、何もかも、お前のおかげだ、ありがとう」
「我々は、ヒルコ狩りの来ない、死国の奥地に移ることにする」
「……『①ヒルコ』、お前も来ないか? あの街で生きるのは大変だろう。お前なら大歓迎だ」
(断った)「そうか……私は荒野で、お前は街で暮らすのが性に合っているのだろうな」
「もし街にいづらくなったら、いつでも訪ねてこい。とびっきりの飯を食わせてやる。タイラントの脳みそとかな」
◆結末
 キヌカと仲間たちは、荒野に去っていく。『①ヒルコ』はそれを見届け、魔都オーサカM○●Nへの帰途につく。シーンを終了する。

●シーン11:傭兵の名誉
◆解説
 『②アラシ』のエンディング。
▼描写
 グリムロックを制裁したことを、マダムM○●Nに報告する。
▼セリフ:マダムM○●N
「グリムロックの死亡を確認しました。ご苦労さまでした」
「傭兵に名誉など必要ない――『②アラシ』、あなたもそう思いますか?」
(答えた)「なるほど、あなたらしい答えです」
「次の任務まで休暇を与えます。羽根を伸ばすとよいでしょう」
◆結末
 こうして『②アラシ』の戦いは終わり、ひととき鋼鉄の羽根を休める。シーンを終了する。

 これにてアクトは終了だ。お疲れさまでした!

※長すぎるため、スキ!をしたい方はこちらまで

 「トーキョーN◎VA THE AXLERATION」は有限会社ファーイースト・アミューズメント・リサーチの著作物です。この記事は同社の2次創作規約のもとで作成されています。

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