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スペシャルティコーヒーって?(前編)


未来の教科書に「コロナ時代」と載りそうな今を

皆様どのように過ごされているのでしょうか。

お体ご自愛ください。

stay home

お家で過ごす時間が否応なく増えて、コーヒーの需要は伸びている感覚があります。

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今回は、以前にも少し触れた

「スペシャルティコーヒー」

について掘り下げてみよう!の前編を書いてみたいと思います。

「スペシャルティコーヒー」とは?


高度経済成長の大量生産、大量消費の時代を経て、今一度本当に価値のある物を見直す時期に来たように思います。相場商品であるコーヒーもその例外ではなく、過去に量と低価格を至上としたため、品質は置き去りにされ、生産者の収入と地位は低下し、土壌は荒れ、消費者のコーヒー離れが加速してしました。
こうした反省から、消費者に素晴らしいと評価されるコーヒーは何であるかと問われたのが、スペシャルティーコーヒー誕生のきっかけでした。

コーヒー豆(地面)

より高い品質を通じて本来のコーヒーの魅力は見直され、素晴らしい品質に対してプレミアムを支払うという概念の誕生は、いままでの生産者との関わりを再認識することにつながりました。生産国の中でも、その貧しさから自然破壊、児童就労などが行われていた産地ではスペシャルティーコーヒーの出現によって販売プレミアムを得ることができ、金銭面の不安が軽減され、消費国では称賛に値する素晴らしい品質を享受できる事となったのです。

「スペシャルティコーヒー」の定義


特定の生産国の小地域、区画内においてもたらされ、その土地の気候、土壌、人の3要素によって構成されるテロワール/マイクロクライメット(微小気候)を表現し、魅力のある風味特性を持つコーヒーを“スペシャルティーコーヒー”と呼んでいます。

スペシャルティコーヒーの変遷


1978年、米国Kunutsen Coffeeの代表Erna Kunutsen女史はフランスのコーヒー国際議会において、“特別な地理的環境が生み出す微小気候(マイクロクライメット)がもたらす、特徴的な風味特性を持った新しいカテゴリーのコーヒー”に対して初めて“スペシャルティーコーヒー”という名称を用い、その存在を提唱しました。


70年代当初、コーヒーの最大の消費国である米国は大量生産、大量消費のバルクマーケットの渦中にあり、膨大な需要に対応すべく多くの物資を輸入する必要がありました。その中でコーヒーもその例外ではなく、質は軽んじられ、量の供給のみに重きが置かれました。こうした流れは急激にコーヒーの価値を落としめることとなり、飽和するいわゆる不味いコーヒーによって消費者の関心を失っていくという状況に陥りました。この時点よりコーヒーの消費量は減少の一途をたどり、さらにソフトドリンク等の台頭によってコーヒーは飲料としての魅力をさらに失っていきました。
こうした中で各国のロースターは消費者のメッセージを読み違え、量偏重であった過去の反省のもとに、消費者にとって魅惑的な飲料であったコーヒーを取り戻そうという機運が高まりました。安価なコーヒーが蔓延するマーケットの中、あえて高い付加価値を掲げ、消費者に対しその当時では最も魅力的な風味特性を持つコーヒーを提供し、その存在を問いました。

果実

買い付け担当者が生産地へ赴いて農園を視察し、彼らが要求する品質のコーヒーの生産に付加価値(プレミアム)を支払い、消費国の求める新たな品質基準を教育する。こういった新しい取り組みによって、それまで単なる相場商品であったコーヒーはそれ以上の新たな価値を伴った“スペシャルティーコーヒー”へ昇華されることとなったのです。
また、品質に対して対価を払うといった仕組みは生産者のモチベーションを刺激し、新たな品種開発、土壌開発、肥料開発、生産処理方法の研究が行われ、カップオブエクセレンスに代表されるようなオークションプログラムは、実需であるロースターと接する機会を提供し、“ダイレクトトレード”と呼ばれる直接取引が行われるようになりました。

今日ではこうした双方向の関係性が高まり、生産者から消費者への道筋、“From Seed to Cup”という概念はさらに発展し、スペシャルティーコーヒーは、今ではより多様性を増し、常に進化し続けています。


コーヒーピラミッド


コーヒーピラミド


COE(カップ・オブ・エクセレンス、※後編で説明します)カッピング評価基準および、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)カッピング評価基準をもとに経験豊かなカップテイスターの評価を下記のようにまとめています。{評価団体は複数存在するので、ご参考までに}


■Top of Top トップ・オブ・トップ
SCAJ、COE方式カップ評価 88点以上(COEトップ10以上のレベルです)
■Top Specialty Coffee トップ・スペシャルティコーヒー
SCAJ、COE方式カップ評価 85点以上(COE受賞レベルの商品です ※2016年COEより受賞基準が86点以上となりました)
■Specialty Coffee スペシャルティコーヒー
SCAJ、COE方式カップ評価 80点以上(カップ評価項目において4項目以上が6点以上)
■Premium Coffee プレミアムコーヒー
SCAJ、COE方式カップ評価 76点以上(カップ評価項目において全項目が5点以上)
■Comercial Coffee コマーシャルコーヒー
SCAJ、COE方式カップ評価 76点未満

※カップ評価項目・・・FLAVOR:フレーバー、AFTER TASTE:後味の印象度、ACIDITY:酸の質、MOUTH FEEL:口に含んだ質感、CLEAN CUP:カップのきれいさ、SWEET:甘さ、BALANCE:ハーモニー均衡性、OVERALL:総合評価の合計8項目から成り立ちます。
(各項目8点満点+基礎点36点=100点満点)


尻切れトンボ感が否めないですが、今日はここまでにしたいと思います。

少し専門的な用語が出てきて、説明不足な点もあったかと思いますがご容赦ください。

スペシャルティコーヒーとは

珈琲豆の生産は”生産者の労働の搾取(低賃金労働)”によって成立するものではなく、

いい作品(珈琲豆)の対価を正当に支払う、

ための評価基準のひとつである

といったところでしょうか。


では、また。



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