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カップ焼きそばの作り方を芥川龍之介風で

まず、貴方はこの便利で怠惰な世の中に生きていることを祝福しなければならない。なぜなら、カップ焼きそばという、他人の労力と知恵の結晶をただお湯を注ぐだけで享受できるのだから。

さて、まずは湯を沸かさなければならない。これは電気ポットでも、ガスコンロでも良い。ただし、湯を沸かすという行為そのものに、少しでも詩的な情緒を感じる余裕があるならば、それは貴方の人間性を示す一端である。

次に、その湯をカップの中に注ぐ。しかし、ここで重要なのは、沸騰した湯がカップ焼きそばの乾燥した麺に注がれた瞬間に、貴方は何か深遠な哲学的意味を見出すべきである。例えば、人間の心が外部の刺激によってどのように変容するか、というような。

お湯を注いだ後、蓋をして3分待つ。この3分という時間は、決してただの3分ではない。この3分間、貴方は無為に過ごすのではなく、自己の内面を見つめ直す貴重な時間として活用するべきである。人間の一生が有限であることを思い出し、その有限の中で何を成すべきかを考えるべきだ。

3分が過ぎたら、湯を捨てる。この行為もまた、人生における無駄や不要なものを取り除く行為と重ね合わせて考えることができる。そして、ソースをかけ、混ぜる。この最後のプロセスこそが、貴方自身の手で人生の味を調整する瞬間であり、その結果は全て貴方自身に帰するという覚悟が求められる。

最終的に、貴方は一杯のカップ焼きそばを手にする。だが、それはただの食事ではない。貴方の人生観や価値観が詰まった一杯であり、それをどう味わうかは全て貴方次第なのだ。

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