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古民家のすばらしさ

 弊社が古民家に特化した不動産仲介業を起業したきっかけは、四国八十八ヶ所巡礼で歩き遍路を体験した事がきっかけでした。

高知県須崎市の柳屋旅館さん

 かつて、高知県須崎市のお遍路宿として有名な「柳屋旅館」様に宿泊をさせていただきました。昔のたたずまいを残す大変趣のある古民家宿でした。
 その日は、大雨の降る夕暮れ時に宿へと到着したため、靴はびしょ濡れでした。
 翌朝、玄関へ行くと、なんと、夜の間に靴に新聞紙を詰めて一晩中ストーブの前で乾かして下さっていたのでした。
 足を入れるとポカポカしてとても気持ちが良かったことは今でも覚えています。お陰で目指す険しい山越えも軽い足取りで臨むことが出来たのでした。
 思い出すたびに、胸が熱くなります。残念ながら、現在は当時の経営者様はご高齢となり宿泊業は閉じられ、ご親族の方により物販や展示場となっているようです。

お遍路さんに対するお接待の文化に感動

※画像については引用先を失念しております。

 1200年続く四国八十八ヶ所巡礼四国には「お大師信仰」というものがあり、「同行二人」という言葉で表されるように、お遍路さんには、それぞれお大師様がついておられる。
 だから、お遍路さんにお接待をすることはお大師様にお接待することだと。中には、追っかけてでもお遍路さんにお接待をする方もいらしたそうです。

歩き遍路の道すがら見かけた古民家

日本の文化継承と伝統的建築物の存在意義

古民家は文化財的に価値があるのはわかるけれども…

登録有形文化財にした結果どうなのか

 文化財とは、神社仏閣などだけではなく、その地に住む人々の心のよりどころとなっている建築物も対象になります。
 しかしながら、個人の財産に多額の補助金が投入され、文化財として保存されてはいるものの、ほとんどが空き家のままで活用される事は無く、所有者死亡の後もその相続人が継承し、結局空き家のまま数十年ごとに多額の補助金が投入され、県の文化財課や市町村のコレクションとして保存し続けられる…
 これでいいのか…

空き家保存活動について最近思う事

高知県香南市赤岡町「初代赤岡村長宅 その後宗石履物店に」


これは、初代赤岡村長の邸宅 通称「赤れんが邸」です。
その後、宗石履物店さんが中古で購入しましたが、時代と共に事業を閉じ空き家になっておりました。

シロアリによる被害も大きく、所有者様は別場所に自宅を建てていたこともあり、取り壊す事になりました。

いよいよ取り壊しという日のその土壇場に、地元の人がなんとか残してもらえないかと家主さんに掛け合い、現在に至ります。

隣町の南国市 高知工業高等専門学校 北山助教による町屋再生プロジェクトが発足し、「おそうじワークショップ」が開かれ、弊社代表も参加してきました。

泥まみれの床を磨いているうちに、美しい赤れんがの床敷が現れた時には、みんな一斉に歓声をあげました。

しかしながら、最近になって疑問に思う事があります。

「空き家」は誰のものか?

「思い出があるから残したい!」とか「古い建築物を学ぶ教材として学びの場に!」など、所有者さんのご厚意に甘えてタダで使用している例が見受けられます。

その不動産は個人の財産です。所有者さんをないがしろにしていませんか?その活動にあたって、お家賃を支払ってますか?
声高に残そうなどと言っても、毎年の固定資産税は、所有者または相続人さんが負担しています。
勝手に工事を中止させて、キャンセル料は誰が負担したかと思うとゾッとします。

見た目ステキな古民家だから残してほしい、
でもお金は1円も出さないわよ・・・。

「軒下貸して借家とられる」

みんな、他人の財産について好き勝手な事を言って、所有者さんのご厚意に甘えてイベントを開いたり、有事の際、誰が責任をとるんだろう。

文化財的価値があるからなどと、もっともらしい大義名分を振りかざしても
他人様の所有物をタダで使用するのは危険な行為です。

空き家の古民家において、自分たちがやりたい事をやるなら
賃貸借契約を結ぶかまたは購入してからやりましょう。

最近流行の「自腹は決して切らずに、すぐクラウドファンディングで集金」しようとするその安易さには閉口しています。

最近、面識の無い方からSNSを通じて弊社にも「古民家を残そう!」「蔵の活用を!」と参加の依頼が来ることがありますが、

「その不動産はあなたの物ですか?」と尋ねた際に、
「近所の人の親族の所有だと思う…」などと返事が来た場合、即刻お断りします。

地域によっては、市街化調整区域等、宿泊業営業禁止やアルコール類提供禁止等々・・・用途に関して法律に基づく行政的規制があるという事を事前に知っておくべきです。

どんぐり不動産


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