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竹工作 [竹のボトル・ドレス]

ボトルと竹の組み合わせ

竹林整備のボランティアで竹を切りながら、いろいろなことを考えています。以前、竹のボトル・ケースを作りました。その時に思ったこと。竹からボトルが出ている様は人の顔が出ているようにも見えると思いました。しかしボトル(体)のほとんどは竹の中に隠れてしまっている。ボトルの美しさと竹の美しさ、両方を表せるものができないかと考えました。

作ったもの

そこで作ったものが、ボトル・ドレスです。ボトルを人に見立て、肩から上が見えている、胸元や足元も開いている、そんな衣装のつもりで「ドレス」と名付けてみました。
ボトル自身もそのラベルもデザイナーさんが考えて作られた美しい造形だと思います。でも店頭で手に取ってもらう時点で注目を集めた造形が、飲み終わるとラベルを剥がされ、捨てられてしまう。なんだかもったいないと思いました。竹のドレスをまとうことで、ボトルがもっと価値あるものにみえるのではないかと考え、作ってみました。
とはいえ、実用性はありません。ボトル・ケース同様に洒落です

完成品2種類
ミニコーラ用
お茶用

洒落とはいえ、「結局これって、何に使うの?」が頭から離れない方へ。考えてみました。
活用例その1):在宅勤務(テレワーク)の際に、飲み物の定位置を決めるためドレスを固定しておく。ペットボトルが倒れる心配がありません。
活用例その2):新たな役目として、飲み終えたあとは花瓶なんか、いいんじゃないでしょうか。
活用例その3):・・・

これ以降は作った時のエピソードです。

作り方

1)割って乾燥

竹は乾燥すると割れると言われています。実際、私も多く経験しています。1年無事でも2年目に割れるなどもありました。そこで、最初に割りをいれるという作りがあります。まず、現場からもらってきた竹は油抜きした後、1節とその上の節の下で切り、縦に1か所割ります。が、ちょっと待った!。割ると節の面も割れ、その後の乾燥で更にそこから予期せぬ形状に割れてしまいます。そこで、最初に丸穴を開けてから割りました。割った後は節面を滑らかな曲線になるように削っておきました(乾燥時にさらなる割れの起点とならないように)。

最初の工程

2)形状検討

この状態で3か月以上乾燥させます(時々、節の面を観察しヒビが入りそうなら少し削りながら時を待ちます)。徐々に割った面が開いていきました。1か月もすれば重量変化は止まりますが、寸法変化はまだ続くようでした。十分乾燥した後、形状加工に入ります。

ドレスのようなデザイン。イメージはありますが、具体的な形状を決める必要がある、しかも曲線。そこで、まず、紙で試作することにしました。

アイディア

3)加工

デザインが決まれば、竹に鉛筆で線を描き、それに沿って切っていきます。およそのポイントはドリルで穴を開けておき、穴と穴の間は下のような細いのノコギリ(ホームセンターで購入)で切っていきました。
このときつづくづく思ったこと。やっぱり紙で試作し納得の形を決めておいてよかった。これ無しに加工しながら形状の試行錯誤はとても無理だったことでしょう。

ノコギリ

基本的には左右対称になるように、寸法は測らず感覚的にヤスリで整えていきました。そして完成したものが、最初に示した写真です。

最後下から見たに写真を載せておきます。節の面、こんな感じになりました。

下から見た、ボトル・ドレス

工業製品とは違う手作り品

工業製品には設計があります。寸法が決まっています。効率よく沢山つくるために。一方で「竹は竹のままで」という思いで作っている今回のような物は、およそのイメージはありますが寸法は決まっていません。目の前の竹をみて、割れの開き具合をみて、ペットボトルをみて。それらに合うようにデザインを考え、線を引き、加工する。だから1つ1つ寸法は微妙に異なります。

竹が完全な真円なら、加工も完全に左右対称でないと、みっともないと思います。ずれがあると不良品に見えてしまう。それが工業製品に溢れた現代に生きる私たち(?)の価値観ではないでしょうか。しかし自然物の竹は“ほぼ円”です。節面も“まぁ水平”です。だからこそ、目で見て“だいたい左右対称かな?”と思う程度の手作業加工がちょうど良いのではないかと思いました(そもそも人の顔だって左右非対称ですよね)。およその大きさイメージだけで作る現物合わせの面白さだと思います。

最後にもう一度。「竹は竹のままで」。そして現代社会のペットボトル。この2つの美しい組み合わせができたと、私は思っています。実用性はありませんけどね。
(竹林整備をしながら、こんなことを考え楽しんでいます。)

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