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スプーントゥーアブレイン。

いやな夢を見た。僕は少し大きなスプーンを持って、食卓についていた。大きなスプーンを握っていると、唾液が止まらなく服にぼたぼたと垂れる。僕はテーブルに置こうと思ったけれど、手のひらがそれを拒否する。

「まぁまぁ、ご馳走が今からくりゃんす」

手のひらの声は、小学生の担任の声だった。三年生の時か、四年生の時か。特に思い入れもないから名前も忘れたし、顔もざっくりとしか覚えていない。でも、声だけははっきりと覚えていた。(あるいは、手のひらの声を聞いて、覚えていることを意識させられた)

すると、銀色のトレーがUFOみたいにメインディッシュを運んできた。それは、僕の頭だった。脳みそが剥き出しの、僕の頭だった。僕は反射的に、自分の首の上に頭が乗っかっていることを確認しようとした。しかし、手のひらは言うことを聞いてくれない。

「さぁさぁ、念願のご馳走でありゃんす」

左手も右脚も顎も、僕の脳みそを楽しみにしていた。スプーンが脳を掬った瞬間、形容しがたい鈍痛が走った。夢であることが夢であったみたいに。


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