2018.03.10 

桜はタイミング良く咲いてくれなかったけど、人生においての門出と呼ばれるようなものをまた一つくぐった。
というか、普通は何気なくくぐるその門は、私にとって、どうしてもいつもよりヒールの音をかつかつと鳴らさなければくぐれないものだった。
当初の人生計画より、1年多く通ったその場所はきっとこれからも通るだろう道の先にある。海が見えて、たくさん人の行き交う大好きな場所。

最近、言葉が出てこない。
少し前までは闇雲にキーボードを開かなくとも、散った桜の花びらを運ぶ小川のように、時に暗い部屋にある締めの悪い蛇口のように、綴っても綴っても綴りきれないほど言葉が生まれた。
なのに今は必死にキーボードとスマホの画面に食いつきながら、もう絞りきった手ぬぐいを何度も絞るように言葉を生んでいる。
それがどうしようもなく、かなしく、くやしい。

普通は大人になって、いつまでもいろいろなものに想いを馳せて言葉を綴るなんてことないのかもしれないな。
だとしたら普通ってなんなんだろう。なんて哲学的なことを考え始める。
私は少しずつ普通になり始めてるのかもしれない。まだまだ普通じゃないけど、"普通の"世界に溶け込み始めてる気がする。
ずっと願っていたことなのに、どうしてこんなにこわいのだろう。

成人イコール大人とされるこの世界で、私はあと一年でどれだけのことを抱きかかえることが出来るのだろう。
零れ落ちたガラスのかけらを大切に出来るのだろう。

桜は散るのを待ってくれない。